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未来の小虎は大物?奈良のプチおかわりくん 《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
17日、試合後の野球教室で話題をさらった“プチおかわり”くん(右から2人目)。

17日に奈良県橿原市の佐藤薬品スタジアムで行われたウエスタン・リーグの阪神‐オリックス戦。試合結果と内容は前回の記事で書きましたが、きょうはそれ以外の話をご紹介します。

これまでの教訓を生かして

毎年この佐藤薬品スタジアムでは年に一度、公式戦を行っている阪神ファーム。昨年までは9月で、それでも暑さにノックアウトされるのが常でした。初めて行ったのが6年前でしょうか。駅から球場へ着くまでの間に、もう倒れそうなカンカン照り。スタンド観戦を余儀なくされ、なのに帽子も日傘もなかった私は売店で購入したマフラータオルで、とにかく頭を保護しながら見たのですが…試合の記憶はまったくありません。

もちろん水分補給は、注意されるまでもなく必死で行いました。そんな状況ですから、お客様はみんな同じ。自動販売機はイニングが終わるとすぐ長蛇の列で、飲料は瞬く間に売り切れてしまいます。補充してすぐには冷えないけど、生暖かくても何でも構わないと列に並んだら、なんと今入れたばかりなのに冷たいスポーツドリンクが出てきたのです!聞けば地元のボランティアの方々が、ご自身の家で冷やして運んでくださっていたとか。もう涙が出るくらいありがたかったこと、今でも覚えています。試合終了までに飲んだ500ミリリットルのペットボトルは6本!おかげで乗り切れました。

翌年は教訓を生かし、日陰の席に座らせていただいたのですが…やはり熱気でやられてヘトヘト。以降はもう行くことを断念していました。よって久しぶりで、またありがたいことに席を取っていただいたのですが、日陰に限れば風も時おり吹いて少し楽だったような気がします。とはいえ日なたは相変わらずの暑さ。雨予報だったのに降る気配すらなく、晴れてくるんですもんね。あちこちで不安定なお天気が続く中でも、やっぱり橿原は晴れます。

なお水分に関しても教訓を生かして、1リットル分は持参しました。皆さんは大丈夫でしたか?ことしオリックスも佐藤薬品スタジアムで試合をやっていますが、4月中旬のこと。いいなあ、4月で…とうらやましく思ったものです。それはそれで寒かったりするんでしょうけど。

野球教室の話題独占!

さて試合後には恒例の野球教室が行われ、ことしも多くの少年少女が参加しました。平田監督やコーチ陣、そして3時間半の試合を終えたばかりの選手たちも笑顔いっぱいで指導。いつもに増して元気な子どもたちで、あちこちで選手と会話をしています。コーチの皆さんも「向こうから積極的に話しかけてくるし、聞いたらすぐに答える。みんな元気いいなあ」と楽しそうでした。背番号0の周りにも子どもたちが大勢いたので「今の誰か知ってる?」と尋ねると「やまとせんしゅー!」とニコニコ。

そんな中で一番目立っていたのが冒頭写真の“プチおかわりくん”です。体が他の子たちの2倍くらい、いやそれ以上あるかな。何といっても人懐っこい笑顔が最高!行く先々でコーチや選手につかまり、体を触られていました。最初に声をかけていた黒瀬選手が「中村くん!」と呼ぶので、いや~いくらソックリでも中村くんって…と思ったら「ホントに中村くんなんですよ」と。本当に中村くんでした。

写真A 原口選手のトスでティーバッティング
写真A 原口選手のトスでティーバッティング
写真B いい表情で“食いついた”筒井コーチ。右は黒瀬選手。
写真B いい表情で“食いついた”筒井コーチ。右は黒瀬選手。
写真C 思わずウエストのお肉をつかむ荒木選手。
写真C 思わずウエストのお肉をつかむ荒木選手。
写真D 今度はおなかのお肉に手を出す荒木選手。
写真D 今度はおなかのお肉に手を出す荒木選手。
写真E まだ興味津々の荒木選手と原口選手を前に、笑顔の中村くん。
写真E まだ興味津々の荒木選手と原口選手を前に、笑顔の中村くん。
写真F 原口選手にフォームを見てもらっているところ。
写真F 原口選手にフォームを見てもらっているところ。
写真G 「いいねえ!」と平田監督の指導を受ける中村くん。
写真G 「いいねえ!」と平田監督の指導を受ける中村くん。

地元・橿原市の野球チーム『白橿北ベアーズ』の中村幸弘くん。いま小学6年生で身長146センチ、体重80キロ。背番号は「2」ですがファーストを守っています。バッティング練習でも、集合した時も必ず「キミこっちおいで」と呼ばれるので、他の子はやきもち焼くんじゃないかと心配したけど余計なお世話でした。一緒にいたチームメイトの少年は「新聞に載るの?写真撮って書いてください。この子のこと」と推薦するくらい。

写真Aは最初のバッティングで原口選手にトスを上げてもらう中村くん。パワーはあるけど打ち損じも結構見られました。このあと黒瀬選手に教えてもらったようです。写真Bは黒瀬選手が話している中村くんに気づいて、目を見開く筒井コーチ。さすが“食いつき”は早かったですねえ(笑)。メチャクチャ嬉しそうに近づいてきて、しばらく談笑。

その直後、これまたものすごい食いつきを見せた荒木選手が素早く近づき…つかみました!写真Cは、まず中村くんの脇腹を。ついで後ろにいる選手に何かいいながら、写真Dのように中村くんのおなかを。そして写真Eで原口選手に言ったのかな?「柔らかくて気持ちいいよ~」とか。あ、これは憶測です。会話は聞こえませんでした。でもいじられている中村くんの、この笑顔がいいでしょう?

荒木選手がトスを上げてバッティング、原口選手はそばで姿勢を少し直してあげています。それが写真F。ここで、ついに平田監督が発見!そりゃもう気づかないはずありませんからね。「こっち来い」と呼んで話をしたあと素振りを見ました。何回かスイングさせて「おおー!いいねえ」と平田監督(写真G)。すこしチェックしてから再度スイングをして終了。その後もモテモテのプチおかわりくんでした。

平田監督の「何かあげなさい!」

野球教室の閉会式では、いつもと逆で先に子どもたちの代表選手が挨拶したんですが、平田監督の「もっと前に」という言葉で前進したら整列する阪神の選手と相当近くなり、それでさらに緊張してしまったみたいです。何度か詰まりながら話し終え、今度は北條選手がチームを代表して「関西の子は野球がうまいと思いました!これからもっともっとうまくなって」と挨拶(写真H)。ここから監督のムチャぶりが始まります。

締めの挨拶は横田選手でなく、北條選手でした。
締めの挨拶は横田選手でなく、北條選手でした。

まずタイガースからのプレゼントを北條選手が渡し、同じ代表の子に「大和、何かあげろ~」と突然言われた大和選手が急いでロッカールームから何か取ってきてプレゼントしました。その写真は18日の記事に載せていますが、ベンチ前の東マネージャーや選手たちが大笑い。それにしても大和選手、さすが動きが速かったですね。これで普通は終わるところなのに、平田監督が中村くんを前へ呼びました。そして何故か「陽川!何かあげなさい」と。

呼ばれた中村くんはビックリして遠慮がちに出てきて真っ赤になっていますが、もっと驚いた陽川選手はとりあえず持っていたリストバンドを手渡しました。この写真も18日分に掲載済みです。中村くん、いい笑顔ですねえ。それと普通は羨ましいとか、自分もほしいのにとか思うでしょうに、後ろに写っている子どもたちがものすごく嬉しそう。やっぱり人柄なんですかね。

締めは参加した子どもたち全員との記念撮影。阪神は“若手選手”だけの予定でマネージャーから「大和より(年が)下の選手は参加」という説明がありました。ってことは大和選手は入るの?入らないの?と考えていたら平田監督から鶴の一声。「全員や、全員。せっかく来てくれたのに負けたんやから、申し訳ないやろ。10対5やで」と、最後は苦笑いです。これで冒頭に載せた、選手全員参加の記念撮影となりました。

写真を撮っている時も、中村くんは選手たちに話しかけられたり触られたり(笑)。いい思い出になったでしょうね。中村幸弘くんんが『奈良のおかわりくん、甲子園へ!』なんて取り上げられる日を楽しみにしています。

挨拶なしでリラックス?横田選手

締めの挨拶するのは、ここのところ一番年下の選手と相場が決まってたはずですよね。淡路の時は横田選手が「北條さんに教えてもらいます」と言って、緊張しながら任務を果たしました。なのに今回はまた北條選手に戻ったには何故?横田選手は「僕がやると…」うまくまとまらないから?「そうなんです」。と言いながらホッとしていますね、きっと。

この日の試合では2回に今季6つ目の盗塁を決め、4回はヒットも打って柴田選手の二塁打で長駆ホームイン!いい走塁でしたねと言うと「楽勝です!」と笑いながら、ちょっこっとだけドヤ顔でした。その横田選手と中村くん、7つしか違わないんですね。

きょう19日からのソフトバンク2連戦(鳴尾浜)は岩本投手、二神投手の先発と聞きました。大和選手はきょうフル出場する予定です。なおソフトバンク戦が終わると今週後半は公式戦がなく、久しぶりに大学との交流試合を行います。23日が京都大学、24日は大阪商業大学。どちらも鳴尾浜で、12時半試合開始の予定です。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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