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ルーキー横田慎太郎選手がプロ初の三塁打&勝利打点! 阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

7月になりました。すっかり夏ですね。阪神のファームが汗を流す鳴尾浜は容赦なく日差しが降り注ぎ、辛くて厳しい季節。でも暑い暑い夏を越えた時、新人選手たちは一気に大きくなるんですよね。その瞬間を皆さんもぜひ目撃してください!

さて、1日は鳴尾浜での中日戦でした。そして試合後には新加入の建山投手がシートバッティングに登板。平田監督は「さすがだな。あとはゲーム勘を取り戻すだけ。状態を見てだが、ゲーム登板も早くなるんじゃない?」と話しています。では試合結果です。

《ウエスタン公式戦》7月1日

阪神-中日 15回戦 (鳴尾浜)

中日 301 010 000 = 5

阪神 021 010 12X = 7

◆バッテリー

【阪神】二神-久保田-山本-高宮-筒井-○玉置(2勝3敗9S)-S小嶋(1勝4敗8S) / 岡崎-小宮山(9回表)

【中日】●若松(2勝5敗1S)(8回) / 杉山-田中(6回~)

◆本塁打 福田3号ソロ(山本)、新井良1号ソロ(若松)

◆三塁打 高橋周、横田

◆二塁打 陽川

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]二:荒木  (5-2-1 / 0-0 / 0 / 1) .296

2]三:西田  (4-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .226

3]左:緒方  (4-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .333

4]右:新井良 (4-2-1 / 0-1 / 0 / 0) .333

5]指:森田  (1-0-1 / 0-2 / 0 / 0) .248

6]一:陽川  (4-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .247

7]捕:岡崎  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .234

〃打中:柴田 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .272

8]遊:北條  (3-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .246

9]中:横田  (4-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .215

〃捕:小宮山 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .140

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

二神   3回 62球 (4-2-2 / 4-3 / 1.70) 142

久保田 0.2回 18球 (2-0-1 / 0-0 / 6.75) 142

山本  1.1回 23球 (3-1-0 / 1-1 / 1.93) 138

高宮   1回 11球 (0-1-0 / 0-0 / 2.40) 143

筒井   1回 13球 (1-0-0 / 0-0 / 2.29) 141

玉置   1回 14球 (0-1-0 / 0-0 / 3.33) 144

小嶋   1回 20球 (0-2-1 / 0-0 / 3.95) 145

阪神12安打、中日10安打の打ち合い

二神は1回、2四死球などで1死一、二塁として4番・高橋周の中越え三塁打で2点を失い、続く中田の二ゴロを荒木がトンネルしてしまって3点目。2回は三者凡退でしたが、3回は2死を取ったあとに中田から3連打を浴び…福田の右前タイムリーで1点。予定の3回を終えて4安打4失点です。

その間に打線は、1回に荒木が右前打、西田は四球、緒方の三振でそれぞれがスタートするも荒木が三塁でアウトになり、その間に西田は三塁へ。しかしここは無得点です。2回は森田の四球と陽川の左前打で一、二塁として1死後に北條のショート内野安打で満塁。まず横田の二ゴロで併殺が崩れる間に1点を返し、続く荒木の中前タイムリー!3回は新井良の左前打などで2死一塁となり、陽川が右中間へタイムリー二塁打を放って1点差にしました。

4回は久保田が2安打と1四球で2死満塁として降板しますが、代わった山本が高橋周をスライダーで見逃し三振!ところが続投した5回、山本は福田にホームランを打たれます。それ以降のリリーフ陣は6回の高宮が三者凡退。7回は筒井が福田に左前打を許したものの無失点でした。8回は玉置で、2奪三振の三者凡退。

一方、2点のリードを許して打線は7回に西田が左前打、緒方は中前打、新井の四球で1死満塁となり、森田の右犠飛で追いつきます!8回は代打の柴田が中前打、北條の犠打で1死二塁として横田がレフトへ大きな当たり。急造外野手の福田がもたつく間に横田は俊足を生かしてタイムリー三塁打!続く荒木は投ゴロで、若松が捕って三本間にいる横田の方へ。三塁へ戻ろうとして少し足が滑った横田ですが、若松の送球エラーで生還しました。

9回は小嶋が登板。先頭・古本への5球目は三塁方向のファウルフライで、西田と北條が追いかけます。途中で北條が声をかけたようで西田は動きを止めたものの、当の北條も何故か慌てた様子。結局、捕れませんでした。次の球で二ゴロに打ち取ったので問題はなし。高橋周は見逃し三振、中田に四球を与えながらも、最後はこの日3安打2打点の福田をフォークで見逃し三振!試合終了です。

1軍登板前に意識?二神

二神投手は「左バッターの高橋と中田に打たれましたね。1回は長打でやられたけど次の福田で頑張れたんですが…3回に3連打で1点取られたので」と4番から7番までズラリと並んだ左打者に対して「そこを抑えないといけなかったのに」と反省。1軍昇格前ということで3イニングだったわけですからね。「軸になる真っすぐの感覚をつかめるのが遅かった。もう少し早く出さないと。腕はしっかり振れてはいたんですけど」と言っています。

平田監督は「悪くはないんだけど、きょうは意識したかなあ。いつもの二神より、立ち上がり意識したかも。まあ、あとは上が決めること。悪くないよ」と話し、久保投手コーチも「(1回の)四球、死球のとこ。あそこがね。ボール自体はいいよ。ずっと調子はいいから。きょうの結果は良くなかったが、ずっといい。それは認めている」とのこと。記者陣に「チャンスだから頑張って」と言われた二神投手は「はい!」と大きくうなずきました。

4回は満塁のピンチをしのぎながら、5回にホームランを許した山本投手。「打たれたのはカットボールです。不用意な1球。考えれば防げました」と悔やみます。福田選手とは今まで何度かやっていて「結構いい当たりされていたのに、しっかりコースに投げられなかった」そうです。1日空いたものの5試合連続登板となりましたが「疲れはありません。5月の方が投げられなくて、しんどかったくらい。肩の状態もいいですし、先頭の入り方もよかった」と前向き。なお4回に高橋周から見逃し三振も奪ったように「スライダーは打たれていないんですよ!」と手応えありの様子。

気づけば、というのも失礼ですが…8セーブ目を挙げた小嶋投手は「全然ダメです。0点に抑えたというだけで、一度も3人で終わっていない」と不満顔でした。この日は2死から1四球。「ボール自体はいいとしても、ストライク入らないと意味ない。結果は大事やけど内容も要りますからね」。このところクローザーでの登板が続いている小嶋投手ですが「玉置がちょっと調子落としていたので。でももう帰ってくるでしょう」と言っています。

スパイクの件、ファウルの件など

新井良選手はホームランについて「真っすぐを待っていて(打ったのはカーブ)センターにという感じです」と振り返り、降格後は5試合すべてでヒットを打っているものの「普通ですね」とコメント。またライトの守備も「普通です」とニッコリ笑って引き揚げました。

伊藤隼選手と入れ替わりでファームにやってきた緒方選手は、この日レフトでフル出場。「外野は全部できるようにしとかないと。1軍でレフトを守ることが少ないと思うので、こっちでやれるのはありがたいです。とにかく今は与えられた場所でやるだけ」。1回の無死一、二塁の三振は「力みというか、最後にピッチャーがいいボールを投げた。何としても当てて転がさないといけないところ。ヒットを打つだけでなくケースバッティングも大事。しっかりできるようにしないと」と猛省です。

2回表の2死走者なしで岩崎選手の打席途中に、なぜかベンチへ戻ってきた緒方選手。「スパイクの交換」という珍しい中断説明のアナウンスが流れました。あれは何だったの?「スライディングした時にスパイクの歯が折れたというか、曲がってしまったので。そのままで大丈夫かなと思ったんですけど、ケガするといけないし(古傷の)ヒザへの影響もあるかと。ベンチに替えを準備してあったから審判に言って取りに行かせてもらったんです」。フィギュアスケートで靴ひもが切れたり、エッジのボルトが緩んだりするような感じですかね。急に戻ってきてビックリしましたが、ケガの予防としてはいい決断だったかも。

次に、ファウルフライが捕れなかった9回の守備について、西田選手と北條選手に聞いてみました。だいぶ追いかけた西田選手は「北條がOKと言ったので追うのをやめた」と。そして北條選手は「打球を追いながら、西田さん結構いってるな~と思ったけど『ショート!ショート!』って声が聞こえたから『オッケー』と。で、その時に一瞬…西田さんを見てしもたんです」と言います。なるほど、ボールから目を離した魔の一瞬ですね。でもエラーはついていませんよ。「ほんまですか?よかったぁ!」。心底ホッとしていました。

「簡単に終わっちゃいけない」必死さが生んだ決勝打

遠征中の強化練習でボールを追う横田選手。あと少しでクリア…と緊張しつつ笑顔も。
遠征中の強化練習でボールを追う横田選手。あと少しでクリア…と緊張しつつ笑顔も。

最後は、そんな北條選手が「きょうのヒーローでしょ」と認めた横田選手の話です。8回の三塁打は「ほんとに集中してました!」とのこと。試合を決めるタイムリーは「プロでは初めてです。前の打席で北條さんが打ってるのに僕は打てなくて(6回、遊ゴロ併殺打)、どうにかしようという気持ちがいつもより強くなった」と言います。そのまま打席に送ってもらったしね。「はい。試合に出させてもらって、しかも最後は、いつもなら代打を送られるところ。自分よりうまい先輩がいっぱいいるのに。だから簡単に終わっちゃいけないという気持ちでした」

そう一気にしゃべってから、こっちを見て「という言い方で合ってますか?わかりますか?」と不安顔の横田選手。大丈夫。ちゃんと伝わっていますよ。とてもいい説明です。そして走塁のことで、まず三塁打は「いけると思ったから」と涼しい顔。さすがですね。三本間に挟まれた時は一瞬滑ったように見えたけど?「あれは“技”です。荒木さんを二塁へ行かせるために」とニヤリ。わざとやったんですか?すみません、コケかけたのかと。北條選手がきょうのヒーローだと言っていましたよ。「いや~もっと真面目なヒットがいいですねえ」…真面目なヒット???「あ、違います。まともな、の間違いです」

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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