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好投の二神を打線が援護 陽川と北條は初の3安打! 阪神ファーム30勝到達

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

24日、阪神ファームは鳴尾浜でウエスタン・オリックス戦を行い、交流戦の全日程を終えた1軍からやってきた新井良選手と俊介選手がフル出場、清水選手も途中からマスクをかぶりました。みんなズボンを上げて黒いストッキングを膝まで見せる“ファーム仕様”の着こなし。全員揃っていて気持ちいいですね。なお1軍からは選手だけでなく和田監督や吉竹コーチらも視察に訪れ、さらにオリックスの森脇1軍監督も…という事態でマスコミ陣がものすごい人数でした。記者もカメラマンも普段の3~4倍!きょうはどうでしょうねえ。

試合は二神投手が7回を投げ、4安打2失点の好投で4勝目を挙げました。打線はオリックス先発・海田投手から12安打で7点(自責は4点)を奪うなど、計13安打で8得点。初めてDHで出場した陽川選手が公式戦初の3安打を放ち、北條選手も今季初でプロ2度目の3安打と勝利に大きく貢献しています。チームは30勝に到達。ことし相性のいいオリックスに対しては10勝3敗2分となりました。

《ウエスタン公式戦》6月24日

阪神-オリックス 15回戦 (鳴尾浜)

オリ 100 100 000 = 2

阪神 203 010 20X = 8

◆バッテリー

【阪神】○二神(4勝)-高宮-西村-久保田 / 鶴岡-清水(8回~)

【オリ】●海田(1敗)(5回)-東野(1回)-塚原(1回)-桑原(1回) / 伏見

◆本塁打 駿太1号ソロ(二神)

◆二塁打 バトラー、陽川、駿太

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]三:西岡   (5-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .353

2]中:俊介   (4-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .500

3]右:福留   (5-1-2 / 2-0 / 0 / 0) .231

4]一:新井良  (3-0-1 / 0-1 / 0 / 0) .000

5]指:陽川   (4-3-1 / 1-0 / 0 / 0) .236

〃打指:森田  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .233

6]捕:鶴岡   (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .240

〃捕:清水   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .188

7]二:黒瀬   (2-0-0 / 0-2 / 1 / 0) .229

〃打遊:西田  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .227

8]左:一二三  (3-0-1 / 1-0 / 1 / 0) .175

〃打左:伊藤隼 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .263

9]遊二:北條  (3-3-2 / 0-1 / 0 / 1) .234

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

二神  7回 105球 (4-7-1 / 2-2 / 1.26) 143

高宮 0.2回 12球 (0-0-0 / 0-0 / 0.75) 140

西村 0.1回   5球 (0-0-0 / 0-0 / 6.11) 136

久保田 1回 11球 (0-1-0 / 0-0 / 7.36) 143

先頭打者ホームランで始まった試合

二神は1回、先頭の駿太に2球目をライトへ運ばれ早々に失点しますが、そのあとを3人で片づけ、2回と3回は三者凡退!4回は先頭の三ツ俣に右前打され、続くバトラーの右中間二塁打で三ツ俣を還しました。しかし以降は6回に駿太の右翼線二塁打、7回は鉄平に四球と先頭を出しながらも後続をしっかりと断って無失点。7回を投げて4安打7三振1四球で2失点という内容です。

打線は1回、俊介の左前打と新井良の四球などで2死一、二塁として陽川が左前タイムリー。鶴岡の内野安打で満塁となり黒瀬の遊ゴロはエラーを誘って新井良が生還。これで勝ち越しました。3回は陽川と鶴岡が連打、暴投と黒瀬の四球で無死満塁となって一二三の三ゴロ併殺崩れの間に1点。1死一、三塁で北條は初球に偽装スクイズ!これで一二三が盗塁成功、北條の中前タイムリーで2人とも還って、この回3点を加えます。5回には1死から北條と西岡が連打し、俊介はサードの捕球エラーで満塁となって福留の遊ゴロで1点追加。

7回には北條と俊介の四球で1死一、二塁として福留の左前タイムリー。なおも一、三塁で新井良の中犠飛。この回も2点が入り、計8得点です。9回だけが三者凡退という攻撃でした。二神のあと8回は、高宮が先頭の山本をショート北條のエラー(バウンド少し変わったため捕った後にお手玉…)で出すも、内野ゴロ2つで交代。続く西村は2死一塁で三ツ俣を二ゴロに打ち取り無失点。9回は12日の中日戦(ナゴヤ)以来の登板となる久保田がバトラー、高橋、鉄平をビシッと三者凡退締めで試合終了です。

好投・二神は長打2本を反省

いきなり1発を浴びてしまいましたね、と話を振ると二神投手は「真っすぐです。甘かった。引っかけて真ん中に入ってしまって…」と苦笑。でもそのあとは3回まで完璧に抑えていて「だいぶよかったと思います。よかったです」と納得の表情。真っすぐの威力もあったのでは?「もうちょっと欲しいですね。ちゃんと指にかかったボールはいい感じにいけました」。惜しくも毎回ではなかったけど7イニングで7奪三振。「ことし三振は多いかな。前は2、3個で終わっていたんですけど。どちらかというと四球は嫌なので、早めに追い込んで三振を取れる確率が上がっているのかなと」

また7回の四球について「あれは要らなかった」と悔しがっています。もうひとつ「2失点目が…」と悔やむ二神選手。「バトラーには前回、神戸サブで3三振だったし、今日も最初に三振を取っていたのに。ホームランを含め、長打で2点を簡単にあげてしまった。これが、もうちょっと頑張らなきゃいけない要素だと思いますね」。それでも規定投球回数をクリアして、防御率1.26でリーグトップに登場!「あ、到達したんですか?でもすぐ消えますよね」。7回まで投げたので2日間は大丈夫です。「そうですか」と笑っていました。

“猛打賞”の陽川と北條

続いて“猛打賞”(ファームではスポンサー付きの試合以外、基本的に賞がないので猛打賞とは言いませんが)の2人です。まずプロ初の3安打を、初回から3打席連続で記録した陽川選手。「2打席目の右中間が一番よかったです。1打席目と3打席目は少し詰まりました。4打席目の見逃し三振は…ボールだと、自分では低いと思って。でも追い込まれていたのでストライクゾーンを広めに取っておくべき」と反省も。

この日は5番DHでの出場で「DHは初めて!びっくりした」と言います。和田監督が来られていたことは「意識せず、自分の力を出せるように結果だけを考えてやった」そうです。バッティングフォームというか、構えた時のグリップ位置が少し上がりましたね?「下げていた時に体を曲げていることが多かったので、そこを伸ばすという意味もあって少しだけ上げています。一番最初の頃ほどではなく、肩と水平くらい」。4番を打った時に「前は外の球ばっかりだったのが、インコースも厳しく攻められた」という陽川選手。その経験も生きているのでししょう。

北條選手も2回の1打席目から3連続で、今季初の3安打。でも「簡単に追い込まれてヤバイと思った。甘いとこに来たから打てただけ。たまたまです」という答えでした。去年は?と聞くと「1回だけ」と苦笑い。5月18日の広島戦(上富田)ですね。ことしは1回で終わらないように続けてください。八木打撃コーチは「3安打は初めてなの?」と少し意外だったようです。「追い込まれてからの対応はいいね。3回(のタイムリー)は偽装スクイズがあったから別にして、早いタイミングで打ってくれればもっといいかな」とのこと。

20日の広島戦(由宇)に続くスタメンで「気合が入っていた」という北條選手。「ずっと連続で出ていたのに、しょうもないケガをしてしまって…」と、突き指で離脱して全試合出場が途切れたことを悔しがります。悔しいといえば、8回のエラーも「小嶋さんは足が速いので焦りました。ミスです」と。これについては風岡守備走塁コーチが「左ピッチャーと左バッター、8~9割はショートに来る。バウンドが変わったのは気づいてたはず。あわてんぼが出たね。西田もそうやけど。西岡を見てみ。落ち着いて普通に捕ってたでしょう?」と説明しています。

6点差があったからって“隙”を作ってはいけない。技術がないとないけど、技術があるから隙ができるん」という風岡コーチは、さらに打球を捕り方で「(打球が来る力とそれを迎える力が)衝突したらダメ。ぶつかって落としてしまう。力を吸収しないと。この前のアメリカのゴールみたいに」と突然、サッカーW杯の話が出てきてビックリしました。あの、胸というかお腹で入れた得点のことですかね。風岡コーチ、いつも多彩な例えでわかりやすく教えていただき、ありがとうございます。

掛布DCが3安打の2人を分析

最後に掛布DCの陽川、北條談をご紹介しましょう。まず陽川選手です。「彼はいい意味で期待を裏切っている。いろいろやってるんだよね。グリップの位置を高くしたり。ただ1軍でやるにはもうちょっと時間がかかる。きょうの右中間の打球とかよかったよね。打ち分けているからね。言ったことをいろいろやろうとしている。左足のつま先が空かっていたのを直せといったら、それを意識しているし。彼の中でいくつかチェックポイントがあるはず。そうすると調子が落ちた時にもまた(自分なりのポイントをチェックして調子を)上げていけるから。陽川も北條もそれが強み」

北條選手については「教育リーグの頃に戻ってきてるんじゃないかな。体力的にも。体の芯ができてきた。前は本人も“芯”は感じなかったと思う。1ヶ月で4割近い打率を残した野球を、体が覚えている。追い込まれてからも選球眼がいいから。出塁率いいでしょう?ボールの見極めができるので、いい状態が続く。守れるのがいいよね。守備がよくなって打撃のリズムもよくなったというのもあるかな。全試合出られなかったのは残念だったねえ。平田監督とも、全部出れば自信にもなると話していたんだけど。でもあの期間が(逆にリセットできて)よかったのかも」という分析です。

そして掛布DCから、こんな言葉もありました。「北條の逆襲が始まるんじゃない?」。当の北條選手は「2安打した時にも、そう言われます」と笑っていますが…。

きょう25日は岩田投手が先発、オリックスはドラフト1位ルーキー・吉田一将投手です。なお阪神のドラフト1位・岩貞投手は24日の試合後にシートバッティングで打者10人に52球を投げ、5奪三振。いよいよ実戦復帰となり、来月2日の中日戦(鳴尾浜)で先発予定だそうです。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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