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「6月、野球はこれからや!」と平田監督 小虎のチャンスもこれから

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

阪神ファームは10日からナゴヤ球場での中日3連戦。きのう10日は朝のうち晴れていたのに、試合が始まると曇一色。風向きも大きく変わり梅雨空復活の気配でした。3つとも試合が消化できるかどうか、心配ですねえ。初戦はともに7安打ながら効率よく攻めた阪神が勝利。このカード6勝5敗1分けとなりました。

柴田、痛いけど昇格で笑顔

試合後、いそいそと荷物を片づける柴田選手を発見して「行くの?」「行きますよ」という会話。福留選手に代わって昇格するようです。実は柴田選手、5回の攻撃中に死球を受けてテーピングをしたまま。辻投手の初球、139キロの真っすぐが背中の右側にドスッと…。柴田選手はしばらく動けなかったんですよ。骨には異常なさそうな様子だったものの「めちゃくちゃ痛かったですよ!息が止まりましたもん」と。ただし、痛いなんて言ってられるか!という気持ちでしょうね。握手を求められた荒木選手に「レフト頑張れよ(笑)」と声をかけ、1軍では「自分のできることをやるだけ」とナゴヤ球場をあとにしました。

死球に顔をゆがめる柴田選手。でも痛みは我慢!1軍昇格で今はもう千葉にいます。
死球に顔をゆがめる柴田選手。でも痛みは我慢!1軍昇格で今はもう千葉にいます。

《ウエスタン公式戦》6月10日

中日-阪神 12回戦 (ナゴヤ)

阪神 001 021 000 = 4

中日 000 100 000 = 1

◆バッテリー

【阪神】○岩本(4勝2敗)-渡辺-高宮-久保田-S小嶋(1勝3敗4S) / 岡崎

【中日】●辻(3敗)(5回)-小熊(1回)-鈴木義(2回)-矢地(1回) / 桂

◆本塁打 荒木2号ソロ(小熊)

◆二塁打 堂上剛、高橋周

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:柴田  (3-1-0 / 0-1 / 1 / 0) .263

2]二遊:北條 (4-2-3 / 0-0 / 0 / 0) .226

3]右:伊藤隼 (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .246

4]三:陽川  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 1) .215

5]一:森田  (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .252

6]遊:西田  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 1) .249

〃二:荒木  (2-1-1 / 1-0 / 0 / 1) .323

7]捕:岡崎  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .300

8]中:横田  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .185

9]投:岩本  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000

〃投:渡辺  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打:阪口  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .217

〃投:高宮  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:久保田 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打:原口  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 1) .300

〃投:小嶋  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩本  5回 89球 (6-4-3 / 1-1 / 3.22) 140

渡辺  1回 20球 (0-1-1 / 0-0 / 0.56) 144

高宮  1回 16球 (0-2-0 / 0-0 / 0.00) 142

久保田 1回 11球 (1-0-0 / 0-0 / 8.44) 142

玉置  1回 15球 (1-2-0 / 0-0 / 4.43) 143

北條、技ありの連続タイムリー

先取点は阪神でした。3回に2死から柴田が中前打して盗塁成功。続く北條の左前打で生還しています。先発の岩本は1回2死から藤井に四球を与え、盗塁も許しますが無失点。2回も堂上剛に右翼線二塁打、3回は森越の中前打と毎回走者を出しながら抑えていました。ところが4回、先頭の高橋周に左中間フェンス直撃の二塁打、古本の左前打と初めて連打を浴び無死一、三塁。次の堂上剛の二ゴロを処理した北條からの送球が乱れ、西田は捕れず(記録は西田の捕球エラー)。この間に高橋周が生還して同点。

しかし5回の攻撃は、岡崎が右前打や岩本の犠打、柴田の死球に暴投などで2死二、三塁となって、北條が今度は右翼線へのタイムリー!柴田も還って2点を追加しました。その裏の岩本は先頭から連打され2死後に四球を与えるも、満塁のピンチをしのいで無失点。5回6安打1失点で交代しました。

6回には陽川と森田が2人目・小熊の前に連続三振を喫したあと、西田に代わって5回の守備から出場の荒木がレフトへホームラン!以降は9回に岡崎が右前打しただけで追加点なし。投手陣は6回の渡辺が荒木のエラーや四球はあったものの得点を与えず、7回の高宮は2奪三振の三者凡退。8回は久保田が、9回は小嶋がそれぞれ1安打ずつ許しましたが、危なげなく抑えて試合終了です。

平田監督はまず、4回にエラーした西田選手を次の守備から下げた点で「当たり前や。あの回、ピッチャーにどれだけ負担をかけたかってこと。本人も一番わかっとるやろ」と説明。ただし「そのあとベンチでしっかり声を出してたよ。そしたら明日も使おう、ってなるやん。代わった荒木もホームラン打ったしなあ」と話しました。また「今回は一二三も残してきてるし」と鳴尾浜で残留練習となった選手のことにも触れています。いわゆる“指定席”というものはない、勝ち取れとの意味でしょう。「まだ6月。野球はこれからやで!」と。

そして「この前のオリックス戦でリリーフ陣にカツを入れたら、きょうは抑えたやん。小嶋でもバッターに向かっていくようにやってた。高宮は今年ずっと安定してる。ずっといいよ。なぜ落とされたか、なぜファームにいるのか。もう一度見つめ直してトライしてほしい」と1軍から戻ってきた投手陣の、さらなる奮起を促します。先発・岩本投手には「まだ物足りん。ピンチでよく粘ったけど、もうちょっとスピードもほしいかなあ。満塁のピンチで(ボールが)伸びた、あれを随時出さんとダメ。高橋周平から三振を取ったフォークも磨いていかないと」と、伸びしろに期待するがゆえの注文です。

フルでマスクをかぶったのは1年ぶり

「岡崎もよくやってる」と平田監督はフルでマスクをかぶった岡崎選手も高く評価。岡崎選手に「久しぶりやねえ、フルでマスクをかぶったのは」と言ったら「いつ以来ですかねえ。調べてください(笑)」と。ことしは先月24日の中日戦(淡路)が初の先発マスクでした。この時は6回までで交代。昨年は3月から5月の間にキャッチャーでの先発出場が4度あって、うち3試合がフル出場。最後は5月26日のオリックス戦(丹波)です。よって1年と半月ぶりということですね。しかもここ2年、岡崎選手のスタメンマスクだった試合でチームが勝ったのは昨年5月26日と、きのう10日のみ。

「何回か出させてもらって勝てていなかったんで、勝てたことが一番よかった」と岡崎選手。打撃もマルチヒットですよ。セーブを挙げた小嶋投手は「太一さんのおかげです」と言って帰っていきましたしね。岩本投手については「真っすぐがよかった。コースを間違えなければ強さもあったので、変化球を前へ飛ばされるくらいなら真っすぐ勝負と思っていた。よかったです」と振り返っています。

岩本投手は「久しぶりやったし、いいんじゃないですかね」とのこと。そういえば1軍にいた時はリリーフでの登板だったので、先発となると先月14日以来。やはりナゴヤ球場での中日戦でした。同じように味方エラーから失点しています。最後はピンチを作りながら粘りの投球、と言ったら「僕はピンチとは思ってないんですけどね」と笑顔。それは失礼!満塁の場面で相手を圧倒する球がいっていましたよね。「そりゃ打たれたくないですもん」。それを随時出せと監督が…「はい、わかりました!」。また笑顔です。

6回に号ソロを放った荒木選手は「風ですよ、風。ほんとに」とそれだけ。8日に登録抹消となったばかりですが、途中出場の最初の打席で、すぐまた1軍へ戻るぞ!というアピール弾です。ところで柴田選手がレフトの守備を託していきましたね。「いや~外野が少ないですからねえ」と苦笑。よろしくお願いします。

10日のナゴヤ球場で荒木選手がダメ押しのソロ!ただ「風ですよ」の一言でした。
10日のナゴヤ球場で荒木選手がダメ押しのソロ!ただ「風ですよ」の一言でした。

ナックルを投げちゃった?

3回と5回に、左右へ2打席連続タイムリーを放ち3打点の北條選手。「1本目はボール球。チェンジアップです。追い込まれていたから真っすぐのタイミングで、届いた。いい待ち方?いえ、たまたまです。真っすぐのタイミングで変化球が来ても、強いスイングができるようにしたい。あれはたまたま。まだ確率が低いので」。2本目はフルカウントからの6球目を右翼線へクリーンヒット。「外ギリギリのボール球を見極められたし、スライダーも見極められた。ヒットを打てる真っすぐが来たので打ちました。真っすぐを待つ状況を作れたのがよかったと思います」

西田選手にも少し聞きました。はい、エラーについてです。「あそこはもう、1個アウトを取ればいいところだったんで言い訳できないです」。交代させられた後、ベンチで大きな声が出ていたとか。「はい、それはもう!」

風岡内野守備走塁コーチは「ダイレクトの送球なら落とした方のミス。ワンバウンドだと投げた方のミス。きょうの場合、ダイレクトにいったから西田にエラーがついた。北條は、ギリギリのプレーをせんでもいいのに慌てて。あとで『僕、ナックルボールみたいなの投げてしまいました』って言ってた(笑)。西田も慌てたのかもなあ。2人して、お互いに謝りあっていたよ」と苦笑いです。

「慌てたというか、ボールをしっかり握りきれてなくて…こう指でつかんでる感じ。そのまま投げたからヒュヒュヒュ~と」。“ナックルボウラー”北條選手は、指先だけでつかんだボールの動きを言葉と手振りで説明。いや、笑っちゃいけませんね。西田選手にエラーがつき、三塁走者が還って、岩本投手の自責点となったわけですから。これで負けていたかもしれないし。とはいえ「僕の送球ミスです」「いや捕れんかった俺が悪い」と言い合う2人を想像して、ちょっとニンマリしました。ぜひ次に生かしてください。

横田選手は2三振を含み4打数ノーヒット。「打てないっす…」と肩を落とします。すると北條選手が「ええやん。この前3本打ったし。僕まだ3安打ないもん、ことし」となぐさめ(?)ました。そこへやってきた陽川選手が「僕も2安打までしかないですよ」と。陽川選手は1年目ですけど、2人とも今季は公式戦で1試合3安打がまだなかったんですね。なんだか意外。6日のオリックス戦で3安打した横田選手は反論できないまま、でも黙ってブンブン首を振っていました。

「最近当たってばっかり…体に」

最後は、7回に代打で登場して三振に倒れた阪口選手なんですが…空振りしたあとボールが足に当たって、かなり痛そうな歩き方でベンチに下がりました。あれ、自打球?ファウルじゃないのかな。でも帰ったってことは三振?どうやら振ったバットに投球は当たらず、振り終わった阪口選手の左ひざをワンバウンドで直撃したもよう。なかなか見ない光景に記者席でも少し笑いが。阪口選手、ごめんなさい。

「めっちゃ痛かったけど、めっちゃ恥ずかしかったから、大急ぎでベンチに戻りました。かっこ悪い!」とアイシングした足をまだ引きずりながらタクシーへ。「最近当たってばっかりです。体に」…うまいこと言いますね。意気消沈の阪口選手には申し訳ないけど、納得しちゃいました。きょうは“バットに”当たるよう祈っていますよ。

きょう11日の名古屋はお天気が下り坂。先発は歳内投手だと思われますが、どの程度降るのか気になるところですね。なお前日に登録抹消となった福留選手が合流し、試合に出場します。10日はネット裏でスコアをつけながら試合を見ていた榎田投手も中継ぎで登板予定。記者陣も一気に増えそうです。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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