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甲子園球場で初めて行われる、ファームの『阪神‐巨人戦』

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

1軍はセ・パ交流戦の真っ只中です。阪神はオリックス、ソフトバンク、ロッテの3カード連続で「負け、勝ち」の3勝3敗で来ていたんですが、このたび西武に連敗。29日は13失点の大敗を喫してしまいました。5回の、しかも2死から同点に追いつかれた岩崎投手は悔しいでしょうねえ。そのあと鶴投手が3点、金田投手は2点、小嶋投手が5点、岩本投手も1点と、3人目の加藤投手以外みんな失点と、小虎ファンにとっては辛い展開…。

岩崎投手は登板機会がないこともあって登録抹消、そして8回に打者一巡で4安打2四球5失点の小嶋投手もファームへ戻ることになりました。代わって筒井投手が昇格するという情報です。複雑な心境ではありますが、ここは筒井投手に頑張ってもらって、小嶋投手も再昇格を目指して頑張っていきましょう!もちろん岩崎投手も。これからの季節、やっぱりナイターで投げられる1軍がいいですよね。

小鷹との3連戦で3得点のみ

ファームは27日から雁の巣でのソフトバンク3連戦でしたが、3試合で3得点と今季の小虎打線を象徴するような結果。29日なんて狩野選手のヒット1本!二塁に走者を置いたのが9回の連続四球だけで完封負けですからねえ。それにしても1安打っちゅうのは…。今季ここまで3安打以上は出ていたので、もちろん最少です。昨年も5試合ほど3安打というのがあり、2012年の最少は2安打。そして2011年の資料で出てきましたね、1安打の試合が。2011年8月10日の広島戦(鳴尾浜)で、完封ではなく1対1の引き分けです。

4回に先頭の黒瀬が四球で出て、狩野が三振して盗塁とキャッチャー會澤の送球エラーで1死三塁。4番・森田の三ゴロで1点先取。7回に広島・岩本の二塁打と會澤の右前打で1死一、三塁となり中谷の犠飛で同点となったもの。広島は8安打していますね。阪神は5回に野原将が放った中前打のみ。ちなみにこの試合は下柳、鄭、榎田、白仁田という投手リレーで、キャッチャー原口がフルでマスクをかぶりました。というわけで、今回は3年ぶりの1安打試合です。

巨人との交流試合を回顧

気を取り直して、この土日のファーム交流試合に臨みましょう!甲子園球場で、しかも巨人戦ですからね。イースタンとの交流試合で阪神は巨人としか対戦しておらず、昨年初めて鎌ヶ谷スタジアムへ遠征して日本ハムと戦いました。ただし2011年は別ですので、これは後ほど。

巨人とはジャイアンツ球場や静岡、こちらでは和歌山の上富田や滋賀の皇子山、あとは宮崎や沖縄などでの試合です。鳴尾浜はもちろん、甲子園もなかったのでは?と思ったら…まぼろしの『ファーム阪神-巨人戦 in甲子園』がありました!2011年7月1日に。ファーム交流試合は、ほとんどが土日の2連戦ですが、この時は金曜日からの3連戦が組まれていて初戦のみが甲子園、あとは皇子山。よりによって初戦だけが流れてしまったのです。

というわけで、無事に開催されれば甲子園初のファーム交流試合で、巨人と戦う小虎をご覧いただけます。ちょっと大げさですか(笑)。フェニックス・リーグを含め、対戦は他で何度もありますからね。でもやっぱり盛り上がるのは間違いないでしょう。巨人ベンチもウケてくれるかなあ、北條選手の登場曲『ヒゲのテーマ』。うふふふ!

ダーウィンが勝ち投手…懐かしい

ここ9年間で行われたイースタン・リーグとのファーム交流試合、巨人戦を振り返ってみます。2005年は両リーグの開幕カードで、いきなり巨人と対戦しました。3月26日と27日、読売ジャイアンツ球場に初遠征した小虎が2連勝。6対2で勝った26日のスタメンは

1]二:沖原     1]中:山田

2]遊:萱島     2]二:長田

3]右:葛城     3]三:吉川 

4]一:喜田     4]左:斉藤

5]左:桜井     5]一:三浦

6]中:藤原     6]右:亀井

7]三:筒井壮    7]遊:岩舘

8]捕:狩野     8]捕:加藤

9]投:杉山     9]投:野間口

懐かしい顔ぶれだけど、今なお現役を続けている選手もいますね!阪神は他に赤松、庄田、立川、中谷という選手らが出ています。この日は杉山のあと投げたダーウィンに勝ちがつき、最後は桟原も登板。喜田と藤原がホームランを打ちました。27日は3対2での勝利。前川、田村、牧野、桟原が投げ、巨人は木佐貫、條辺、酒井という継投です。

2006年は7月1日に掛川、2日に静岡で巨人戦が行われ1戦目は5対4で巨人の勝ちでした。これもスタメンをご紹介。

1]右:赤松     1]二:脇谷

2]遊:前田大    2]遊:岩舘

3]中:庄田     3]右:堀田 

4]左:桜井     4]一:吉川

5]一:喜田     5]左:三浦

6]三:藤原     6]三:大須賀

7]捕:狩野     7]中:十川孝

8]二:坂      8]捕:星

9]投:筒井和    9]投:姜建銘

この他に筒井壮、前田忠、岡崎、葛城、萱島、小宮山、高橋という名前がありました。庄田と岡崎にホームラン。投手は阪神が渡辺、相木がリリーフ、巨人は鴨志田、佐藤宏、酒井と続いています。翌2日は静岡で中村泰、若竹、そして地元の伊代野が完封リレー!7対0の勝利です。巨人は加登脇が先発でした。しかし筒井壮、筒井和とか前田忠、前田大とか懐かしいですねえ。前田大って大和選手ですよ。そして2006年はファーム日本一にもなった、忘れられない年です。

サヨナラ負けに危険球退場と波乱の那覇

2007年の阪神は交流試合がなく、2008年は和歌山の上富田で5月31日と6月1日に巨人と対戦しています。1戦目は能見、玉置、桟原と東野、真田、栂野で3対1で阪神の勝ち。1回に坂が先頭打者ホームラン、3回は桜井、今岡の連続二塁打で1点、最後は山田のタイムリー三塁打です。2戦目は若竹と金刃の先発で、巨人が中井の2ランなど14安打で6点。しかし阪神は田中のソロや相手守備の乱れも絡んで9安打で8点を奪って逆転!連勝しました。

2009年も阪神の交流試合はなし。2010年は4月17日と18日に沖縄セルラースタジアム那覇(もと奥武山野球場)のこけら落としイベントとして巨人-阪神戦が開催され、巨人の2連勝です。1戦目はナイターで、延長10回に石川が連打を浴び6対5のサヨナラ負け。翌日のデーゲームは1回に先制するも3回、秋山が4番・田中に新球場1号を打たれて同点。そして5回、先頭・加藤の左側頭部に死球…危険球退場となり、結局4対2で敗戦。「やってしまいました。コントロール“わや”でした」という秋山投手のコメントを思い出します。

2011年からは公式戦扱いに

2011年5月の宮崎。1軍と同じ交流戦期間限定ユニホームに照れていた藤井宏政選手です。
2011年5月の宮崎。1軍と同じ交流戦期間限定ユニホームに照れていた藤井宏政選手です。

2011年からはイースタンとのファーム交流試合も、ウエスタンの公式戦に組み込まれることになりました。また新しく『みやざきサンシャインシリーズ』と題してフェニックス・リーグと同じ宮崎各地の球場で5月17日から22日まで巨人、ヤクルト、西武(イースタン)、阪神、広島、ソフトバンク(ウエスタン)の6チームが参戦して6試合ずつ開催。でもシリーズ化することなく、この年だけで終わっちゃいましたね。

阪神は西武戦を1つ流していますが、巨人とは2試合とも消化して5月17日は延長10回、0対0の引き分け。先発は吉岡と藤井でした。22日は清原と福田が先発。清原は味方のエラーと犠飛での2失点ながら、打線が1回の1点のみで負け投手になっています。そうそう、この時期の阪神は、1軍の交流戦に合わせてファームも期間限定ユニホームでしたね!ミツバチみたいな、かわいい写真を載せておきましょう。

また2011年は7月にも巨人戦がありました。先に書いた通り、甲子園の初戦が雨で中止になって行われたのは滋賀県皇子山での2試合です。これは巨人の持ちカードだったんですね。まず2日は小嶋と福田が先発、8回に黒瀬と原口のタイムリーで逆転して2対1で勝ちました。3日は 蕭と小野の先発。9安打しながら森田の犠飛による1点だけ、巨人は4安打で1点を取り引き分けです。

2012年は5月19日と20日、宮崎のアイビースタジアムで2試合が予定されていましたが20日は雨天中止。19日は小嶋と江柄子が先発して4対3で勝ち。2013年は日本ハム戦のみで巨人とは試合が組まれていませんでした。トータルしてみると巨人とは2005年以降、7シーズンで13試合を行って7勝4敗2分。あら、相性いいじゃないですか。

ついに実現?甲子園初のファームTG戦

今回は甲子園での開催とあり、30日公開の映画『X-MENフューチャー&パスト』とタイアップして、このファーム交流試合・阪神-巨人戦のポスターが製作されたのはご存じですね。X-MENのポスタービジュアルを阪神の若虎選手によって再現されたもの。阪神電車のキャンペーン車両や、大阪駅前地下街に貼られたポスターはご覧になりましたか?

選抜された10選手と平田監督を、映画キャラクターのポーズに合わせて撮影。2013年公開の『ライフ・オブ・パイ』では球団マスコットのトラッキーを起用したコラボポスターが制作されましたが、今回のように実際の選手を起用し、ポーズも映画ポスターを再現するという大規模な映画タイアップは球団史上初だったそうです。撮影した時期は選手たちも「いつだったっけ?」というくらい前で、森田選手は「長袖を着ていたから開幕してすぐくらいかも」とのこと。

主役担当だった伊藤隼選手はただ苦笑いで、森田選手も「立ってただけ」と言います。岩貞投手に聞くと「いや、ぼく背中だし。いきなり“後ろ向いてください”って。え、背中だけ?」と思い出して爆笑。実際は横からのショットなんですが、その横顔がなかなかの哀愁でしたよ。そして一二三選手は捕球の構えみたいなポーズです。「もっとすごい顔をしてと言われたんですけど、そら無理ですって(笑)」。想像するに猛獣が獲物を狙う感じ?そんな顔の演技も見たかったですねえ。

もう映画も公開され、地下街や電車内の掲示も終わりましたが、タイガースの公式サイトではまだ見られます。ちょっと小さくて判別しにくい選手もいますけど。

31日の先発は秋山投手でしょうかね、おそらく。6月1日は榎田投手みたいな話を聞きました。巨人はセドン投手と小山投手だそうですよ。また球場内に、30日から受付が始まった『マツダオールスターゲーム2014』ファン投票の公式投票用紙が設置されていますので、ぜひご利用ください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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