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山本昌投手に翻弄された小虎打線 完封負けで今季甲子園初黒星

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

24日も阪神甲子園球場でのウエスタン中日戦でした。ずっと1ケタ安打ですし、得点も「3点以上取っちゃいけないって決まりがあるのか?」と平田監督が苦笑いするほど、徹底して3得点以下の試合が続いています。この日はついに完封負けを喫したので、3得点以下は10試合連続となりました。でもその間のチーム成績は6勝3敗1分け。ピッチャーが頑張っていますよねえ。なお24日のお出迎えは高宮投手、玉置投手、荒木選手、阪口選手でした。写真がなくてすみません。

《ウエスタン公式戦》4月24日

阪神-中日 5回戦 (甲子園)

中日 100 000 000 = 1

阪神 000 000 000 = 0

◆バッテリー

【阪神】●榎田(1敗)-二神-藤原 / 日高

【中日】○山本昌(1勝2敗)(6回)-鈴木翔(1回)-小熊(1回)-S濱田(1勝1敗1S)(1回) / 桂

◆二塁打 高橋周、緒方、中田

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左一:一二三 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .175

〃走中:横田  (0-0-0 / 0-0 / 1 / 0) .111

2]中左:緒方  (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .297

3]指:狩野   (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .190

4]右:伊藤隼  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .286

5]捕:日高   (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .250

〃打:岡崎   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .400

6]一:中谷   (2-1-0 / 0-0 / 0 / 1) .169

〃打三:荒木  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .355

〃打:原口   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .176

7]三:陽川   (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .161

〃打左一:柴田 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .220

〃打:清水   (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .250

8]遊:北條   (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .145

〃打遊:阪口  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .267

9]二:西田   (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .172

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

榎田 4回 53球 (2-3-0 / 1-1 / 2.25) 141

二神 4回 63球 (5-4-0 / 0-0 / 1.35) 144

藤原 1回 12球 (2-0-0 / 0-0 / 1.08) 139

初回の1失点だけで敗戦

榎田は1回、2死から高橋周に右翼線二塁打を浴び、続く福田の中前打で1点を先取されます。以降は4回にファースト中谷のエラーで堂上剛を出しただけ。予定の4イニングを2安打1失点で投げ終えました。

ついで二神がロングリリーフ。5回は先頭の中田に右前打されるも桂の遊ゴロ併殺打などで無失点。6回は3連打で1死満塁のピンチに、堂上剛を一ゴロに打ち取りホームイン阻止、松井佑はこの試合最速の143キロ真っすぐで見逃し三振!3者残塁でした。7回は中田の二塁打のあとを連続三振などで抑え、8回は三者凡退です。

9回は藤原が内野安打と犠打、中田の左前打で1死満塁。桂の一ゴロを、この回からプロ初のファースト守備についた柴田が捕ってバックホーム…と思ったら三塁走者は突っ込んできませんでした。そのまま柴田が一塁ベースを踏んで2死となり、最後は三ゴロで追加点を与えず。

打線は1回に緒方が二塁打を放つも他は飛球ばかり。2回は中谷が中前打、初球で盗塁失敗など3人で終了。3回も西田の中前打、4回は日高の四球、5回は北條の左前打、6回は緒方の四球と、山本昌に対して毎回走者を出しながら無得点。7回はドラ1ルーキー鈴木翔に、左の代打3人がピシャリと抑えられます。

8回は1死から一二三が中前打。2度のけん制で帰塁した一二三でしたが、治ったばかりの右太ももの状態を考えてでしょうか、途中で交代します。代走の横田はカウント3-1となったところで鮮やかに盗塁成功!1死二塁となったものの緒方と狩野が連続三振…。9回は濱田に対して伊藤隼が右前打で出ますが、今度は右の代打3人が凡退で試合終了。

「投手は何人でも推薦できる」

きょうも平田監督の談話からご紹介します。「榎田はまあまあ球のキレもよかったんじゃない?1回は2死取ってから(高橋)周平にタイムリー打たれたけど、あれだけやもんな。スピードもキレも悪くないやん。二神もよく粘った。要所要所の、ここってとこでね」と投手陣の健闘を称え「ピッチャーは頑張っとるよ。なかなか打つ方は上がってこんなあ。ピッチャーは何人でも1軍に推薦できるけど、野手は寂しい」と少しため息まじり。

盗塁については「8回の、いいところで横田が決めた。あのプレッシャーがかかるとこで行ってくれたよ。まあ後が打てなかったけど。中谷(2回に失敗)もアウトになったってええねん」と、前を狙う意識を評価しています。また緒方選手は二塁打と四球でしたが、8回1死三塁で空振り三振。「あそこで四球を選んで一、二塁にする選手になってほしい。田上なら四球で出たはず。勝負どころに強い選手にならんとな」。もっともっと上を目指せ、と注文をつける平田監督でした。

榎田はさすがの修正力

降格後初登板、先発の榎田投手は4回2安打1失点。「1回2死から簡単に点を取られたところは反省。真っすぐは前の巨人戦あたりから感覚的にはよかったです。ヤクルト戦も悪くはなかった」そうです。そこに緩いスライダーやチェンジアップを使っていこうと、日高選手と話をして「1回はボールが高かったけど、それを過ぎたらある程度は投げられたかな。よくはないけど悪くもない」内容だったと言います。

4イニングは予定通りで「その中でやりたいことをやろうと思っていた。もう少しやりたいことはありましたが、ある程度は出せた」とか。もう少し、というのは?「まだ悪いボールがあるから、そこでしっかりカウントを取ること。特にスライダーですね。それが、ランナーを出してからボールになるので精度を上げたい」と榎田投手。とはいえ立ち上がりからの修正ぶりはさすがでしたね。

走者がいる時こそ100%の力で…二神

二神投手は4イニングで5安打無失点。「2番手で、1点ビハインドという競った試合だったけど、ランナーを出しながら結果としては0点で抑えられた。でも、まだまだやることはあります」。ランナーを背負ってからは直球が多かったような?「それは日高さんの考えもあったかと。日高さんとはオープン戦で組ませてもらったくらい。こんなに長いイニングは初めてですね」

満塁の締めも、それ以降の回も力強い真っすぐで奪った三振は圧巻でしたね。「この前(18日のウエスタン広島戦)投げた後から、強いストレートを課題にブルペンでも練習してきたので」。この日の最速だった144キロという数字にも「あれが常に出せないと話にならない」と、自身にノルマを課していました。

「スライダーでしっかり振れていなかったのか軽打されてライト前とかあったので、満塁のピンチで腕が振れたのはよかった。本当はピンチを作らないのが一番ですけどね。ピンチの時とか、たとえば味方がエラーした時に、もっとギアを上げていきたい。ランナーがいる状況で自分の力が100パーセント出せるように」。再昇格に向けて二神投手はさらなる進化を目指します。

ようやく納得のヒットが出た西田

練習後の西田選手。いいヒットが出てニコニコだったのに写真では無表情?…わざとです。
練習後の西田選手。いいヒットが出てニコニコだったのに写真では無表情?…わざとです。

西田選手が、ホッとしたような表情で「やっと出た…」とつぶやきました。試合の結果で笑顔を見せる西田選手は久々ですね。18打席ぶりのヒットが出ても、そこから6試合連続で1安打ずつしていても「まだダメです」と言っていたので、きっと納得できるバッティングではなかったんでしょう。

24日はいい当たりの中前打に続き、5回の中飛も8回の二直も内容は“快打”です。これまでと何か変化は?「ありました。ボールを長く見られました。ボールと自分との距離しっかり取ろうと思って」。これまで思う形でヒットが出なかった原因の一つに「打席で体がピッチャー側へいってしまっていた」点を挙げ、それは「打ちたい、打ちたいって気持ちが強すぎて…」と西田選手。

「でも、きょうはよかったです。3打席とも全部よかった」。西田選手らしい、本当に嬉しそうな顔でまた笑いました。そうそう、それでなくちゃ!たとえ1本ずつでも、これで7試合連続安打です。いいヒットをどんどん打ち続けてください。

連続といえば一二三選手。“甲子園プロ初ホームラン”の翌日が大事と、山本昌投手からヒットを打ちたいと張り切っていたんですが、残念ながらそれはなし。でも8回の打席で小熊投手から、テレビ解説中の掛布DCが「一二三、こんなバッティングできましたか~!」と感嘆する中前打を放っています。それについては「普通ですよ」と本人。でも「1本出てよかった」とのこと。まだまだ継続していきましょう。

北條選手は、お父さんと同い年の山本昌投手から5回に左前打。「きょうは後ろに体重を残して、ちゃんとスイングできた」。守備もいい動きでしたね。「はい、きょうは練習中からよかったです」。風岡守備走塁コーチも「試合前の練習でも、きょうは低く低く意識してやっていた。あとは良かったり悪かったりでなく、いい状態を保つこと。でないと1軍では守れないからね」と、ステップアップに期待。

なお前日、掛布DCから「ひげダンスのステップを1つして打席に入れ」と言われた件について「最初の時に一瞬だけピョンとやった。でも打てなかった(二飛)ので次はせず」だそうです。ただし実際は、単につまずいたようにしか見えなかったとそうな(笑)。中日ベンチでは笑いをこらえるのに必死だったという話題のテーマ曲。北條選手本人は「思ったより長くて恥ずかしい」という本音でした。

盗塁を決めた横田選手、ファーストを守った柴田選手の件は次回。その他に玉置投手の話なども書かせていただきます。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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