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本拠地・鳴尾浜での“開幕戦”は逆転負け

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

セ・リーグ、パ・リーグとも、ついに開幕しましたね。阪神は東京ドームで巨人との対戦。幸先よく滑り出したと思ったのに、とんでもない結末で…。でも終盤に金田投手と二神投手の登板を見られたのは嬉しく思います。点差もあったので少しは楽に投げられたかな。またルーキー梅野選手も出場しました。8回の金田投手、9回の二神投手ともヒットを許しながら無失点で終了。いや~ホッとしました。

しかし、これでもかってくらいジャイアンツのお歴々が並びSMAPも登場するセレモニーがあり、試合前から大変だっただろうなあと思い、金田投手に聞いてみると「意外に緊張しなかったです!いい経験できましたね」という返事。とはいえ開幕戦、東京ドーム、巨人打線というのを一度に味わったんだから、もう怖いものはないでしょう?「まだ怖いものだらけです」。ぷっ!これから1つずつクリアしていってください。

さて昼間のファームも、いわゆる本拠地オープニングゲームだったわけですが、まあ“鍛練の場”鳴尾浜というわけで、特に始球式やアトラクションもなく淡々と試合は始まりました。スコアボードの球速表示もスムーズな立ち上がり。まだ150キロは出ていなかったですね。

暑いくらいで最高の観戦びよりだったものの、試合展開は非常に遅く3回終了で1時間半。あえて左投手ばかり4人を登板させたということでしたが、4人とも失点しています。敗因は前半のビッグイニングでしょうか。

《ウエスタン公式戦》3月28日

阪神-広島 1回戦 (鳴尾浜)

広島 104 100 101 = 8

阪神 021 100 000 = 4

◆バッテリー

【阪神】●小嶋(1敗)-山本-藤原-吉見 / 小宮山-鶴岡(8回~)

【広島】福井(1回0/3)-○斉藤(1勝)(2回)-岩見(2回)-横山(1回)-フィリップス(1回)-S今村(1S)(2回) / 中村亘-倉(7回~)

◆本塁打 迎1号ソロ(小嶋)、高橋4号ソロ(吉見)

◆三塁打 一二三、安部

◆二塁打 迎、中谷

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:柴田  (3-1-0 / 0-2 / 1 / 0) .250

2]三:荒木  (4-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .313

3]遊:西田  (5-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .077

4]一:森田  (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .375

〃打:横田  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

5]指:日高  (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .500

〃打指:原口 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

〃打指:阪口 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .250

6]捕:小宮山 (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .000

〃打捕:鶴岡 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .000

7]二:北條  (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .105

8]左:一二三 (3-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .130

9]右:中谷  (4-2-1 / 0-0 / 1 / 0) .200

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

小嶋 3回 72球 (6-3-3 / 5-5 /15.00)

山本 2回 31球 (1-1-1 / 1-1 / 4.50)

藤原 2回 29球 (1-1-1 / 1-1 / 2.25)

吉見 2回 50球 (4-2-1 / 1-1 / 4.50)

序盤に再逆転されて敗戦

連続三振で立ち上がった小嶋でしたが、3番の迎には初球を打たれて左中間へのホームラン。その裏の攻撃で、左前打した柴田が1死後に西田の三振で盗塁を決め、暴投で三塁へ進むも森田は三振に倒れ無得点。しかし2回は福井が日高に四球、続く小宮山にはヘルメットを直撃する死球を与えて危険球により退場処分となります。代わった斉藤に対し、北條が犠打で1死二、三塁として一二三が右犠飛。さらに中谷の中前タイムリー!勝ち越しに成功しました。

ところが3回の小嶋は1死から9番・上本に内野安打(ライナー性の打球にショート西田がジャンプしてグラブに当てる)を許し、2つの暴投で三塁まで進めてしまいます。そして鈴木将の左前タイムリー、庄司にも左前打、迎は四球で1死満塁となり4番・高橋に左前2点タイムリー。2死後にも連続四死球でまた満塁にしましたが、打者一巡して美間は中飛。この回4安打3四死球2暴投で4失点です。

ついで山本が登板。4回は1死から鈴木将に死球と盗塁、庄司は空振り三振でしたが迎に左中間タイムリー二塁打を浴びます。5回はビシッと三者凡退です。3人目の藤原は6回が三者凡退、7回も簡単に2死を取りながら高橋に四球を与えて次の安部にセンターへタイムリー三塁打。山本、藤原とも1安打で1失点という結果でした。

最後は吉見、鶴岡のバッテリー。8回は連打と犠打、四球で1死満塁とした吉見が後続を断ち無失点。しかし9回は先頭の高橋に粘られた末、レフトへホームラン。もう4号なんですね!あとは内野安打1本で片付けたものの、4投手で12安打され8点を失っています。

一方の打線は4回に先頭の中谷が三塁線を破る二塁打を放ち、柴田の一ゴロで三塁へ、荒木の二ゴロで生還!ただし得点はここまで、ヒットもあと1本しか出ていません。6回に先頭の一二三が横山からセンター左へ大きな当たり!ぐんぐんと伸びた打球はフェンスを直撃する三塁打となりました。でも中谷は一邪飛、柴田の一ゴロで一二三は挟殺…。荒木の四球で2死一、二塁としますが西田は捕邪飛で無得点。

7回は代打・鶴岡の四球以外、森田、代打・原口、北條が三振。8回も柴田の四球のみ。9回は代打の横田が振り逃げ(記録は三振と捕逸)で出塁したもののチャンスを広げられないまま試合終了です。

新しいツーシームに期待 小嶋

小嶋投手は「決め球として放っているボールを実戦で使うことがあまりなかったのもあるかと」と言います。それはどんな?「ツーシームを投げたり、ツーシームから追い込んで落とすような感じの球です。今までのツーシームは落ちずに少し変化していたけど、今のは落ちるもの。ツーシーム自体はことしからで、落ちる感じのを投げ出したのは最近ですね」

少し前にシートバッティングでゴメス選手を空振りさせたのが、その落ちるツーシームだったようです。「やっぱりバッターに投げないとわからないので、きょうは多めにと思って投げました。ストライクを取りにいく時と、ボール球を振らせる時など、もう少し考えて組み立てないと」と話しました。

久保投手コーチは「あそこ(4回)のビッグイニング。四死球3つ、あれやなあ。四球を絡めて欲しくないところで。ボール自体はよくなってるから、段階的に上げていかないと。キャンプでよかったもんねえ。貴重な左、と言ってもらってるうちに変わらないとね」と分析。あえて左投手ばかり投げさせたのは「競わせているから」だそうです。「その中で、藤原の今回の四球は前と違って意図が見える。攻めていっての四球だった。筒井も投げさせたかったけどねえ。2イニングずつにしたのは、球数を投げないとわからないから。1イニングじゃ“偶然”ってのもあるでしょう?それに1軍は連投もある。きのうの岩本も3イニングだったけど、それくらい投げないと1軍の1イニングはやれないよ。ある程度のイニングは、なるべく与えたい」とのこと。

山本投手は「入りというか、1イニング目と2イニング目の気持ちが違っていて…。2イニング目のピッチングを1イニング目にしないといけない。2イニング目にいい意味でリラックスして、普通に投げれば抑えられるという気持ちになった。最初はちょっと力みがありました」と反省。ただ「もう大丈夫です!次は抑えます」と力強く言っていたので安心しました。

犠飛と適時打の同期コンビ

チーム8安打4得点中、唯一のタイムリーとマルチヒットだった中谷選手。9番という打順も珍しいですね。勝ち越しタイムリーに「チャンスだったのでよかった」と言いつつ、6回無死三塁の3打席目に「もう1本打ちたかった。もっと貪欲にいけたと思う」とも。そして4回の二塁打は「多分スライダー。真っすぐを待っていたから対応できた、うまく振れたかな」と振り返っています。

同点犠飛の一二三選手。6回の三塁打は、もうちょっとでホームランでしたよねえ。「チェンジアップです。惜しかったですね」。うまく打った!「そうですね」。あまりに疲れていたのか、早く引き揚げたかったようでコメントは以上です。

チーム初の無失策、しかし西田は

残念ながら開幕1軍を逃した西田選手は、ようやくファーム初安打で「きょう開幕しました」とのこと。最後の中飛は鈴木将選手のファインプレーに阻まれたけど、当たりはとてもよかったですね。「いい感じで明日につながっていけばいいなと思います。それより6回一、二塁の時に打ちたかった」と悔しがります。

エラーもなくて何より。「エラーしましたよ。3回の内野安打。あれは捕らなダメです。僕のミスから大量失点になることが多い気がして…」と反省しきりでした。確かに風岡守備走塁コーチもそんなこと言っていたような。とはいえ記録では阪神のエラーなし。開幕して6試合目で、ようやくチーム無失策となりました。

最後に、高山選手は15日の教育リーグ中日戦(ナゴヤ)で右ひざを痛めてリハビリ中です。また同じく16日の中日戦で右手に死球を受けた伊藤隼選手は、代打や代走で試合には出ていましたが、山下トレーナーによれば「出場できなくはないんですけど、しっかり治してからということで」と現在は戦列から離れています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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