Yahoo!ニュース

昨年秋から赤丸急上昇中!阪神・緒方凌介外野手にブレイクの予感

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

ことし2年目を迎えた選手たちに、ルーキーイヤーを振り返ってもらう『○○選手に聞いてみました』シリーズ、今年度のラストは緒方凌介外野手(23)です。PL学園、東洋大学を経てドラフト6位で阪神に入団。大学4年の春に右ひざ前十字じん帯を損傷、同7月に手術をした影響で出場試合数はそう多くありません。まず1年目の成績をご覧ください。

◆1軍公式戦

2試合(途中出場)

1打席 1打数0安打0打点 得点1

◆ウエスタン公式戦

48試合(うち先発12試合)

78打席 65打数14安打5打点 打率.215

本塁打0、三塁打0、二塁打3

盗塁6(失敗2) 失策0

三振12、四球8、死球2、犠打2、犠飛1

◆非公式戦[教育リーグ、育成試合等]

21試合(うち先発13試合)

62打席 54打数9安打4打点 打率.167

本塁打0、三塁打2、二塁打0

盗塁6(失敗1) 失策0

三振5、四球6、死球1、犠打1、犠飛0

◆フェニックスリーグ[練習試合を含む]

16試合(すべて先発)

65打席 56打数19安打4打点 打率.339

本塁打1、三塁打2、二塁打1

盗塁7(失敗1) 失策0

三振10、四球7、死球2、犠打0、犠飛0

◆台湾ウインターリーグ(優勝決定戦を含む)

22試合(うち先発15試合)

75打席 69打数24安打4打点 打率.348

本塁打0、三塁打3、二塁打1

盗塁11(失敗1) 失策1

三振11、四球6、死球0、犠打0、犠飛0

本人もビックリ!4月末に1軍初昇格

「ケガ人で入って、1年間は足をしっかり治すことがメインでしたが、あんなに早い段階で1軍の舞台を踏むという経験をさせてもらいました。でも、そこからまたケガで離脱してしまって…。あのままいっていれば、もう一度チャンスがあったかもしれないと思うとケガした自分が悔しいし、残念でなりません」。これが緒方選手のルーキーイヤー回顧。「100点満点で20点か30点」と、かなり辛い自己採点です。

春季キャンプは安芸で、しかも右ひざの様子をみるため別メニュースタートでした。3月の教育リーグから試合に出始め、ファームの公式戦にも少しずつ出場。ところが、まだ公式戦のスタメンもなかった4月30日に「自分でもビックリしました」という1軍昇格!「7月くらいから試合に出られたらと言われていたので、オールスター明けで1軍にと思って頑張っていました。あの昇格はオマケみたいなものですね」

そのあとファームで順調に試合をこなしていたのに、5月下旬から1か月以上ゲームから離れます。本人の言う“ケガ”のためですが、新たな故障ではなく疲労が溜まって、手術した右ひざに痛みが出ただけ。「もともと1年間は様子をみる予定だったので焦ったりせず、しっかり治そうと思った」という緒方選手の公式戦復帰は、オールスター明けになりました。

印象に残った試合は、やはり1軍のヤクルト戦(5月3日、甲子園)だそうです。6回裏、二塁打を放ったマートン選手の代走で初出場、伊藤隼選手のヒットで生還し初得点を記録。「初めて出て、初めてホームに還ってきた時に、やっとプロに入れたんだなと実感しました」。そのままライトの守備につき、7回に立った初打席ではピッチャーゴロ。5日の同戦でも9回に藤井彰選手の代走で出場するも翌6日に抹消されています。

自分の持ち味は何か?取り組んだ意識改革

台湾のウインターリーグでは、出塁するたびに執拗な牽制球で警戒された緒方選手
台湾のウインターリーグでは、出塁するたびに執拗な牽制球で警戒された緒方選手

しかし秋からはフェニックスリーグ、秋季キャンプ、台湾でのウインターリーグと、上記成績打もわかるように、充実した時間が過ごせたと言います。特にウインターリーグは途中で打率が首位にもなり、最終的には優勝決定戦を除くリーグ戦21試合の打率と安打数で惜しくも2位ながら、盗塁と得点は単独トップでした。「自分がこの世界で目指している結果が出せた。高い打率と出塁率、盗塁、得点など。満足してはいませんが、やりたいことがしっかりできたので良い収穫です。来年につながると思う」

ウインターリーグにも参加していたソフトバンクの高田知季内野手(23)は、亜細亜大学出身で緒方選手と同リーグ。大学の全日本合宿でも親交を深めたそうで「僕と身長があまり変わらないのに長距離も打てるし、もちろん足も速くて肩も強い。すごく刺激を受けた」と言います。ただ緒方選手は「今まで思いきり振って遠くへ飛ばす自信があったけど、出塁率を上げないと自分を生かせない。高田は強打者というより巧打者。小技もこなせるし、いい意味で嫌なバッター。自分もそういう、敵に回したら厄介だと言われる選手になりたい」と、プロに入ってから意識改革に努めました。それが秋に実りを迎えたわけですね。

では最後に、今季の抱負をお願いします。「まず、去年できなかった1軍での盗塁を決めたい。その前提として1軍定着が目標です!」。今は鳴尾浜で強化自主トレ中の緒方選手。昨年は右ひざの回復具合を見ながらだったので、新人合同自主トレは別メニューでした。「合同自主トレ初参加」となんだか嬉しそうです。そして「春のキャンプもずっと別だったから、本隊でやるのは今回が初めてですね」とニコニコ。しかも、ことしはきっと沖縄・宜野座の1軍キャンプ参加になるでしょう。

『緒方選手に聞いてみました』は、まだ続きます。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事