2017年11月30日、米調査会社ガートナーがCASB市場初となるマジック・クアドラントを公開した。2012年同社がクラウド利用時のセキュリティ懸念を解消するテクノロジー、フレームワークとして、初めて CASB(クラウド・アクセス・セキュリティ・ブローカ)を提唱してから、5年が経過。CASB市場では、マジック・クアドラントに注目が集まっていた。

■リーダはスカイハイネットワークス、シマンテック、ネットスコープ

 同レポートでは11社のCASBベンダーが名を連ねた。その中でリーダとして位置づけられたのは、先日マカフィー社に買収されたスカイハイネットワークス、シマンテック、ネットスコープの三社。この三社の選出には、特に驚きはない。むしろフォレスター、IDC、ガートナーといった主要な調査会社のCASB市場レポートが出揃ったことで、この三社がCASB市場を牽引していることを裏付ける結果となった。

■主要調査会社三社がCASB市場のリーダに選出した企業

  • 2016年 フォレスター社:スカイハイネットワークス、シマンテック
  • 2017年 IDC※:スカイハイネットワークス、ネットスコープ
  • 2017年 ガートナー:スカイハイネットワークス、シマンテック、ネットスコープ

 ※IDCはCASBではなく、クラウドセキュリティゲートウェイの評価

 なお、ガートナー社は同レポートで現在CASBを導入している大企業は10%に満たないが、2020年には大企業の60%がCASBを採用するとしている。(以前は、90%とされていたが、今回下方修正された。筆者としては現実的な予想に近づいたと見ている)

■今後はサイバー・セキュリティ・プラットフォームとしての競争へ

 ガートナーがCASBを提唱してから五年。これまではCASBソリューション単独での競争であったが、市場は次のフェーズへと進もうとしている。

 これは筆者の私見だが、CASB市場は三年以内にサイバー・セキュリティ・プラットフォームの構成要素の一要素として成長していくことになると予測している。現代のサイバー・セキュリティはどれか一つのソリューションを導入すれば攻撃を防げるわけではなく、複数ソリューションの組み合わせで防衛する「多層型防御」が主流になっている。現時点ではCASBの価値がまだ市場に浸透していないことも有り、CASB単独での導入が主流だが、三年以内には企業の大半は個々のセキュリティソリューション検討ではなく、近代化/高度化するサイバー攻撃に対して「レガシーセキュリティソリューション」を刷新し、CASBも含めた多層防御システムとして「サイバー・セキュリティ・プラットフォーム」の構築を検討するようになるだろう。

 マジック・クアドラントでリーダとして選出されたスカイハイネットワークスは先日マカフィー社に買収された。CASB市場はセキュリティ市場でも関心が高く大手ベンダーによる有望なスタートアップの買収が後を絶たない。CASBベンダーを買収する大手ベンダーの思惑は、有望なCASB市場に対する攻めの一手というのは勿論だが、複雑化するサイバー・セキュリティ対策の一要素として各社の考える「サイバー・セキュリティ・プラットフォーム・ビジョン」にCASBが無視出来ない存在と映っているから、と筆者は見ている。

 大手ベンダーに買収されることで、資金面、人的リソース、販売チャネルについては大幅に向上する。しかし、CASB市場は誕生してからまだ五年と歴史も浅く、市場の評価も確たるものにっていない「発展途上の市場」である。こういった状況下では「スピード」重要な競争力となる。リーダポジションで唯一買収されていない、ネットスコープがスピードを武器に技術革新を牽引していくのか、あるいは大手に買収された他社もスピードを損なうことなく、技術開発を継続していけるのか。それとも、サイバー・セキュリティ・プラットフォームとしてベンダーとしての総合力が選定ポイントとなっていくのか。

 今後も目が離せない状況が続きそうだ。