韓国海軍レーダー照射事件について日本側が最終見解を発表

日本防衛省「韓国レーダー照射事案に関する最終見解について」補足説明資料より

 1月21日、日本防衛省は韓国海軍レーダー照射事件について音声を公開しました。火器管制用レーダー探知音が連続的な音になり、周期的な捜索用レーダー探知音との誤認は有り得ないことを示す目的です。併せて照射事件の最終見解を纏めて図解を交えながら説明を行い、照射を受けた火器管制レーダーの機種は「STIR-180」であることが明記されています。これで韓国側との協議は打ち切ることになります。

韓国レーダー照射事案に関する最終見解について:防衛省(2019年1月21日最終更新)

捜索レーダー誤認説の完全な否定

 韓国側では駆逐艦搭載「MW-08」対空捜索レーダー誤認説と警備救難艦搭載「シャープアイ」水上捜索レーダー誤認説が唱えられていましたが、どちらも稼働中は360度常時回転する捜索レーダーに分類されます。稼働中は常時回転せず目標にアンテナを向け続ける火器管制レーダー「STIR-180」とはレーダー電波の当たり方が全く異なるので誤認は有り得ません。捜索レーダーの電波の当たり方は周期的なものになりますが火器管制レーダーの電波の当たり方は連続的なものになります。それは今回発表されたレーダー探知音を聞けば誰にでも分かることでしょう。

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P-1哨戒機威嚇飛行説の完全な否定

 韓国側からは日本自衛隊の哨戒機が高度150m距離500mの危険な威嚇飛行を行ったとの反論が行われましたが、日本側は国際民間航空条約に則った安全な距離を保っており「アメリカ軍やNATOの通常のオペレーションも同様の基準に則って行われている」と説明しています。国際民間航空条約は軍用機には適用されませんが軍隊が準用するのは普通のことであり、実際にアメリカ軍も準用することを内部文書で基準として明記しています。また実際に2015年5月31日に黒海でアメリカ海軍のイージス艦「ロス」がロシア軍のSu-24攻撃機に高度180m距離500mで接近飛行されたケースでは、アメリカ政府は飛行自体については問題ないとしています。

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 韓国側は「自分たちは軍艦に対する監視飛行では3海里(5.6km)離れる」と主張していますが、そんな遠い距離では直接目視での艦番号の確認が難しく、日本だけでなくアメリカを含めた他国もそのようなことはしていません。全く監視飛行の仕事にならないので有り得ない主張です。

日本防衛省「韓国レーダー照射事案に関する最終見解について」補足説明資料より
日本防衛省「韓国レーダー照射事案に関する最終見解について」補足説明資料より

 そして日本側は2018年だけで4月27日、4月28日、8月23日に韓国駆逐艦「クァンゲトデワン」に対して12月20日に起きたレーダー照射事件の際とほぼ同じ距離まで哨戒機で接近して撮影していたが、韓国側から抗議は無かったことを提示しました。また日本はこれに限らずロシア艦や中国艦が海峡を通過する際に同様に接近して撮影しており、その都度公表していますが、接近撮影に対してロシアや中国から抗議を受けたことはこれまで一度もありません。つまり韓国側の哨戒機の飛行に対する主張は国際的に見ても有り得ないものだとわかります。

通信状況が悪く無線が聞こえなかった説の完全な否定

 韓国側は日本哨戒機からの呼び掛けに韓国駆逐艦が応答しなかったことについて通信状況が悪く聞こえなかったとしていますが、当時の現場海域は波の高さが1mと冬の日本海としては珍しいほど穏やかな海況で、通信状況が悪くなるような天候状態であったとは考えられません。韓国側は当初「波が高かったので全レーダーを用いて漂流船を捜索していた」「波が高く天候状態が悪かったので無線がよく聞こえなかった」と説明していましたが、実際には波が低かったので前提が全て崩れてしまっています。そして未だに韓国側からは波が低かった事実への説明が一切ありません。

しかし、当日の現場海域は、晴天で雲も少なく、通信環境は極めて良好でした。また、海自 P-1 哨戒機は、韓国駆逐艦に呼びかけた同じ通信機器(この通信機器は飛行前、飛行中及び飛行後に正常に作動していたことを確認済み)を用いて、埼玉県の陸上局と通信を行っていたほか、現場から約 240km離れた位置を飛行していた航空自衛隊の練習機が、この韓国駆逐艦に対する同機の呼びかけを聞き取っていたことも確認しています。

このように良好な通信環境であったにもかかわらず、通信が明瞭に受信できなかったとは通常では考えられないことであり、実際に韓国側が公表した動画では、韓国駆逐艦内において海自 P-1 哨戒機の乗組員の呼びかけ内容(「KOREAN SOUTH NAVAL SHIP, HULL NUMBER 971, THIS IS JAPAN NAVY.」)を明確に聞き取ることができます。

出典:日本防衛省「韓国レーダー照射事案に関する最終見解について」補足説明資料より

 韓国自身が公開した音声からも「艦番号971」が聞き取れることは分かっています。韓国駆逐艦クァンゲトデワンが自身の艦番号971を聞いていながら自分の事だと認識していなかったなど有り得ないことです。聞いていながら都合が悪いので無視をしていたと捉えるしかありません。意図的に嘘を吐いていることになります。レーダー照射自体よりも無線の応答を無視したことがより深刻な問題だと言えるかもしれません。

 そして日本側は韓国との協議を打ち切ることにしました。その決断に至った経緯は、あまりにも酷い内容で目を疑うものでした。

防衛省は、実務者協議において、更なる客観的根拠の提示を求めましたが、韓国側からは、そのようなものは示されず、逆に「脅威を受けた者が、脅威と感じれば、それは脅威である」などの全く客観性に欠ける回答を繰り返しています。

こうしたことから、防衛省では、韓国側の主張は、客観的根拠に基づいていない説得力を欠いたものであり、火器管制レーダー照射に関する重要な論点を希薄化させるためのものと言わざるを得ないと考えています。

出典:日本防衛省「韓国レーダー照射事案に関する最終見解について」補足説明資料より

 韓国側はP-1哨戒機の飛行が脅威であるという根拠を何も客観的に提示しておらず、無意味な強弁を繰り返しているだけです。信じられません・・・準同盟国同士の国と国との対話でこのような態度が有り得るのでしょうか? もはやこの案件では韓国と対話を続けることは無意味であると日本側が判断したのは、仕方がないことでしょう。

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