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スリランカ、2022年7月9日は、国民が大統領と首相を辞任に追いやった歴史的な日になるのか?

にしゃんた社会学者/タレント
大統領官邸に押し寄せたデモ隊の姿(文:にしゃんた)(写真:ロイター/アフロ)

 7月9日は、スリランカの歴史に刻まれ、語り継がれる忘れえぬ日になるに違いない。昼過ぎにスリランカ市民からなる群衆がスリランカ大統領官邸に突入し、完全に制圧した。群衆の次の目標は首相官邸で、彼らは大統領官邸と同様に占拠に成功した。デモ隊と警察との混戦で2人の警察官、32人のデモ隊の負傷者も出たが、デモも目的は比較的順調に進み、成功裏に終ったと言えよう。

 大統領官邸への民衆の突入後、首相の呼びかけで全党会議が開かれた。マヒンダ・ヤパ・アベイワデナ国会議長が主宰するこの会議で、党首の過半数によって次の4つの重要な決定がなされたことが明らかにされた。

(1) ゴーターバヤ・ラジャパクシャ大統領とラニル・ウィクラマシンハ首相は直ちに辞任すること。

(2) 大統領代行を任命するため、7日以内に国会を召集する。

(3) 議会の過半数を占める新首相の下で、全党による暫定政権を発足させる。

(4) 短期間で選挙を実施し、新政権を樹立する。

 この直後、ラニル・ウィクラマシンハ首相は、スリランカの首相を辞任すると発表した。彼は、「すべての国民の安全を含む政府の存続を確保するために、私は本日、党首たちの最善の提案を受け入れ、全党政権への道を開く。これを促進するために、私は首相を辞任する。」とツイッターで発表した。

 辞任にあたり、ラニル・ウィクラマシンハ首相は、今週、全島で燃料配給が再開されることと、世界食糧計画局長の訪問を予定していること、さらにはIMFへの債務維持報告書が間もなく完成することを考慮してこの決断を下し、国民の安全を確保するために、野党党首のこの提案に同意したことを現地メディア(news wire)が明らかにした。

 その後、音声メッセージを発表し、スリランカでは今、燃料や食料が不足しており、それを解決することが重要な時期であると述べ、辞任と同時に一刻も早く新政府を発足させる必要性を強調した。

 マヒンダ・ヤパ・アベイワデナ議長は、本日行われた、特別党首会議での決定事項についてゴーターバヤ・ラジャパクシャ大統領に文書で通知したと現地メディア(news wire)が報じた。現時点ではラジャパクシャ大統領側からの声明は出ていないが、近く何らかの発表があると思われる。

社会学者/タレント

羽衣国際大学 教授。博士(経済学)イギリス連邦の自治領セイロン生まれ。高校生の時に渡日、日本国籍を取得。スリランカ人、教授、タレント、随筆家、落語家、空手家、講演家、子育て父などの顔をもっており、多方面で活動中。「Mr.ダイバーシティ」などと言われることも。現在は主に、大学教授傍ら、メディア出演や講演活動を行う。テレビ•ラジオは情報番組のコメンテーターからバラエティまで幅広く、講演家として全国各地で「違いを楽しみ、力に変える」(多様性と包摂)をテーマとする ダイバーシティ スピーカー (多様性の語り部)として活躍。ボランティアで献血推進活動に積極的である。

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