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「KANA-BOON」が語る「音楽で世界を変える」本当の意味

中西正男芸能記者
メジャーデビュー5周年を迎えた「KANA-BOON」の谷口鮪(右)と飯田祐馬

 今年メジャーデビュー5周年を迎えた4人組ロックバンド「KANA-BOON」。高校の軽音楽部メンバーからスタートし、若者に絶大な支持を受ける存在となりましたが、24日には地元・大阪府堺市の大浜公園でライブイベント「ヨイサヨイサのただいまつり!2018 in 堺」も行います。さらに、10月からは5周年にちなみ国内と台湾で計55公演を行うワンマンツアー「Let's go 55 ONE-MAAN!!」も開催。5周年をきっかけに歩みのスピードをさらに上げてもいますが、ボーカル・ギターの谷口鮪(28)さんとベース・コーラスの飯田祐馬さん(28)は「今でも迷った時は『音楽で世界を変える』という言葉の本当の意味をかみしめています」と言葉に力を込めました。

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地元・堺でのビッグイベント

谷口:デビュー前に拠点にしていたのが堺の「三国ヶ丘FUZZ」ですし、それ以外のライブハウスでもお世話になりました。練習をしていたのも堺。その堺で5周年に大きなことができる。これは本当にありがたいことだし、ここからまた大きく変化していきたいとも思っています。あと、せっかく各地からお越しいただくわけですから、僕らのライブきっかけに、堺の美味しいご飯屋さんとかを楽しんでもらいたいなと。僕たち2016年から“堺親善アーティスト”もさせてもらってますので、その立場からも言わせてもらっています(笑)。

飯田:堺には本当に良いところが多いですから。

5年の歳月

谷口:この5年を思い起こすと、思い起こされるのは2016年の初ツアー。これは、すごくうれしかったですね。アマチュア時代は遠征すると言っても、近場の神戸、京都。あとは東京、名古屋くらいやったんですけど、メジャーデビューして、北海道、九州、四国、東北にも行けた。そして、初めて行くところにも、自分たちを好きでいてくれる人がいる。不思議な感覚でもありましたし、高校の軽音楽部から始まったバンドがここまで来られたんだと。

飯田:5年やって、ファン層も変わってきたというか、広がったなと。昨年(MBS・TBS系の)アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の主題歌を担当させてもらって、その結果、親子連れの方で来てくださったり。これから何年も音を鳴らし続けてきたら、今連れられて来ている子どもたちが、親になって、今度は自分たちの子どもを連れてきてくれるのかなと。そんな感覚も出てきましたし、より一層、みんながちゃんと帰ってこられる場を作ろうという思いにもなりました。

曲に込めるもの

谷口:曲の作り方も変わりましたね。学生時代は「プロのバンドになるんだ!」という夢への不安や葛藤。アマチュア時代は日々のバイトの悶々とした思いとか、自分の中のことを歌うことが多かった。

飯田:学生時代とかアマチュア時代の「自分たちを知ってほしい」「良いものを作っている自分たちを見てほしい」という、ま、そういうガムシャラさがカッコ良かったりするのかもしれませんけど、今はそこが変わってきてますね。聴いてくださる方々がたくさんいてくれる。そうなると、学生時代に自分が憧れのアーティストの音楽を聴いてエネルギーを感じていたように、今度は自分たちがそれを与えていきたい。おこがましいかもしれませんけど、その思いの方が大きくなっています。

谷口:高校時代の部活動から始まって最初はただただ楽しくて「これが続けばいいな」と思っていた。高校を卒業してアマチュアでやっていた時は、アルバイトの大変さとかはあるものの、しんどいと思ったことはなかった。むしろ、しんどいのはデビューをしてから。ただ音楽をやっているだけじゃダメなんだなというのが重くのしかかりもします。全てにおいて、やるのは自分しかいないし、人を頼りにしてちゃいけない。ただ、もちろん、今の立場でしか味わえない楽しさもある。それぞれの時代、それぞれの立場で、常に考えることはあるんだなというのはこれまでの時間で感じました。

飯田:僕も、ま、よくある話なんですけど、中学の時は学校をさぼりまくって家に引きこもっていた時期もありました。そんな時に、テレビで「ASIAN KUNG-FU GENERATION」を見て「とにかく、今のままじゃアカン…」と衝撃を受けまして。ただ、まさか自分で音楽をやるとは思っていなかったんですけど、友達が誘ってくれて、縁あって今のバンドのメンバーに出会った。そこから、プロを目指すための気持ちを作って。ちゃんとプロになりたいなら、そのままじゃだめだと。それまで実家暮らしだったんですけど、プロになると決めたその日に家を出て、バンドの練習場所の近くに引っ越しました。ただ、親にも「ちょっとバイトに行ってくるわ」と言って家を出てきたので、親からしたら「エライ、長いバイトやなぁ…」と思ったかもしれませんけど(笑)。

音楽で世界を変える

谷口:やらせてもらう中で、いろいろな人にも会えました。「三国ヶ丘FUZZ」に出ていた時に、お世話になっていたスタッフさんで、その当時で30代前半くらい。少し年の離れたお兄さんみたいな方がいらっしゃいまして。

飯田:僕らのパートナーというくらい、本当にお世話になった方で。

谷口:当時、僕らは20代になって「よく“音楽で世界を変える”と言ったりするけれど、現実問題、音楽で世界は変えられないという思いになってきた」というようなことをその方に話したんです。じゃ、そこで言ってくださったことが今でも道しるべになっています。「“音楽で世界を変える”という言葉の本当の意味は、聴いてくれている人の心の中の世界を変えるということなんだよ。一人一人の価値観を変える。その集合体として、結果として、今までとは違う形に世界がなっていく。そういうことなんだよ」と。

飯田:今回の堺のイベントもそうですけど、何かしら、そんなことが起こってくれたら本当にうれしいなと。それで言うと、この前、堺のカレー屋さんに行ったんです。初めて行くお店やったんですけど、どんな思いでイベントをやるのか、そんな話をしたら、お店のおばちゃんが「え、いつやるの?ほんで、バンドの名前、なんちゅうの?」と一生懸命聞いてきてくれて。注文を取るメモに日程やらを書き留めて「おばちゃん、見に行くからな」と言ってくれました。初めて会ったのに、そんなことを言ってくれるのは本当にうれしいことやなと。

谷口:まさに、そういうことやもんな…。で、カレーは負けてくれたん?(笑)。

飯田:それはやっぱり商人の街・堺やから。ちゃんと正規の値段を払いました(笑)。

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(撮影・中西正男)

■KANA-BOON(かなぶーん)

ボーカル・ギターの谷口鮪、ギター・コーラスの古賀隼斗 、ベース・コーラスの飯田祐馬、ドラムの小泉貴裕が高校時代の軽音楽部のメンバーを中心に結成した大阪・堺出身のロックバンド。2012年に4000組が参加したオーディションを勝ち抜き「ASIAN KUNG-FU GENERATION」のオープニングアクトを務め、話題になる。13年にメジャーデビュー。ファーストアルバム「DOPPEL」はオリコン初登場3位を獲得した。16年には、初の海外公演を含む全国ツアー「KANA-BOONの格付けされるバンドマンツアー 2016」を開催。これまでのシングル作品のカップリング曲を集めたB面集「KBB vol.2」を9月19日にリリース。同24日には地元・大阪府堺市の大浜公園でライブイベント「ヨイサヨイサのただいまつり!2018 in 堺」を行う。また、10月からは5周年にちなみ国内と台湾で55公演を行うワンマンツアー「Let's go 55 ONE-MAAN!!」も開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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