賞の選考に論争はつきものだ。リオネル・メッシの7度目のバロンドール受賞は適切だったのか。おそらく、この議論に正解はないだろう。受賞者がロベルト・レヴァンドフスキだったとしても、その是非を問う声が鎮まることはない。

だが、その「論争」と、偉人に対する敬意を問う指摘は異なるはずだ。バロンドールを主催する『France Football』誌の考えは違うのだろうか。

イタリアの『Gazzetta dello Sport』紙は12月1日、バロンドール授賞式で母国の英雄パオロ・ロッシが軽視されたのではないかと報じた。

授賞式では、この1年で亡くなったディエゴ・マラドーナとゲルト・ミュラーが追悼された。オマージュ動画とともに、メッシとレヴァンドフスキがそれぞれゆかりのあるレジェンドたちを回想している。

ミュラーはバロンドール受賞者だ。現役時代に受賞資格がなかったマラドーナは昨年、「ドリームチーム」に選出されている。つまり、今年のバロンドールを競ったメッシとレヴァンドフスキの回想とともに、直近で亡くなったバロンドーラーをしのんだということだ。

だが周知のように、2020年12月にこの世を去ったロッシも、1982年のバロンドール受賞者だ。同年のワールドカップ・スペイン大会で得点王とMVPに輝き、イタリアを3度目の世界王者へと導いたロッシは、まぎれもないサッカー界のレジェンドである。

Gazzetta dello Sportは、マラドーナとミュラーを追悼するのは当然であり、France Footballが用意した映像も素晴らしかったとしたうえで、ロッシについて一切触れられなかったことは残念だと指摘。「単純に忘れられていたという印象」で、France Footballの「失態」だと伝えた。

これに対し、France Footballのパスカル・フェレ編集長(先日のクリスティアーノ・ロナウドの非難は記憶に新しい)は、「このような類の騒動に首を突っ込みたくない」とコメントしている。

「私が何を言おうと歪めて伝えられる。式典のあらゆる側面を、物議を醸すように解釈することはできない。必要があればロッシの家族と直接話す」

実際、バロンドール規模の賞にもなれば、物議は絶えない。重箱の隅をつつくような声も数多いだろう。だが、ロッシに対する敬意の欠如ではないかと疑問視するのは、そのひとつなのだろうか。

Gazzetta dello Sportによると、その後France Footballはロッシの妻フェデリカ・カッペッレッティさんに謝罪し、1月に別の式典でロッシをたたえることを提案したという。報道どおりであれば、少なくともフェレ編集長がいう「必要」はあったということだ。

なお、Gazzetta dello Sportは電子版で「このバロンドールはまだ信頼できるか?」とアンケートを実施。2700人超のユーザーのうち、約96%が「ノー」と断じている。