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セリエAの「1年で最も価値が落ちた選手」ランキング、上位にユーヴェ勢 吉田麻也は1億ダウン

中村大晃カルチョ・ライター
2020年10月2日、フィオレンティーナ戦での吉田麻也(写真:Maurizio Borsari/アフロ)

選手の市場価値が下がる理由は様々だ。もちろん、単純にパフォーマンスが悪ければ価値は落ちる。ただ、年齢や残り契約年数もダウン要素で、コロナ禍のような環境要因もある。

つまり、市場価値の低下は、選手の出来とは必ずしもイコールでない。それでも、1年間の下げ幅が大きければ、やはりそのシーズンは低調だったということも少なくないだろう。

移籍情報サイト『Transfermarkt』が先日、セリエA選手の市場価値を更新した。2020年7月1日からの約1年間で、最も市場価値を高めたのがフランク・ケシーだったのは、既報のとおりだ。

反対に、最も市場価値を下げたのは、クリスティアン・エリクセンだった。6800万ユーロ(約90億6000万円)から4000万ユーロ(約53億3000万円)と2800万ユーロ(約37億3000万円)の下げ幅だ。

2020年1月にトッテナムからインテルに移籍して以降、エリクセンは今季途中まで新しい環境とアントニオ・コンテのシステムに馴染めず、プレミアリーグ時代の輝きを失っていた。加入前に9000万ユーロ(約120億円)だった市場価値は、2020年12月で3500万ユーロ(約46億6000万円)まで下がっている。その後、シーズン半ばからは定位置を手に入れ、2021年5月の改定で市場価値は4000万ユーロに回復したが、いずれにしても大きな下げ幅となった。

一方で、下げ幅ランキングでエリクセンに続いたのは、王座から10年ぶりに陥落したユヴェントスの選手たちだ。2位から8位まで7選手が“老貴婦人”の面々となった。得点王に輝いたクリスティアーノ・ロナウドも含まれている。『Transfermarkt』によると、年齢などを考慮した結果のようだ。

以下、下げ幅が1000万ユーロ超と大きかった選手たちをリストアップしてみよう。

1位:クリスティアン・エリクセン(インテル)

-2800万ユーロ(約37億3000万円)

4月3日、ボローニャ戦でのエリクセン
4月3日、ボローニャ戦でのエリクセン写真:Maurizio Borsari/アフロ

2位:パウロ・ディバラ(ユヴェントス)

-2200万ユーロ(約29億3000万円)

2020年12月13日、ジェノア戦でのディバラ
2020年12月13日、ジェノア戦でのディバラ写真:ロイター/アフロ

3位:アレックス・サンドロ(ユヴェントス)

-2000万ユーロ(約26億6000万円)

5月23日、ボローニャ戦でのアレックス・サンドロ
5月23日、ボローニャ戦でのアレックス・サンドロ写真:Maurizio Borsari/アフロ

4位:アルトゥール(ユヴェントス)

-1600万ユーロ(約21億3000万円)

5月12日、サッスオーロ戦でのアルトゥール
5月12日、サッスオーロ戦でのアルトゥール写真:Maurizio Borsari/アフロ

5位:クリスティアーノ・ロナウド(ユヴェントス)

-1500万ユーロ(約20億円)

5月12日、サッスオーロ戦でのC・ロナウド
5月12日、サッスオーロ戦でのC・ロナウド写真:ロイター/アフロ

6位:アーロン・ラムジー(ユヴェントス)

1400万ユーロ(約18億6000万円)

2020年12月19日、パルマ戦でのラムジー
2020年12月19日、パルマ戦でのラムジー写真:Maurizio Borsari/アフロ

7位:フェデリコ・ベルナルデスキ(ユヴェントス)

1300万ユーロ(約17億3000万円)

2020年12月2日、ディナモ・キエフ戦でのベルナルデスキ
2020年12月2日、ディナモ・キエフ戦でのベルナルデスキ写真:Maurizio Borsari/アフロ

8位:レオナルド・ボヌッチ(ユヴェントス)

-1200万ユーロ(約16億円)

2020年12月2日、ディナモ・キエフ戦でのボヌッチ
2020年12月2日、ディナモ・キエフ戦でのボヌッチ写真:Maurizio Borsari/アフロ

9位:ヨシップ・イリチッチ(アタランタ)

-1150万ユーロ(約15億3000万円)

2020年11月21日、スペツィア戦でのイリチッチ
2020年11月21日、スペツィア戦でのイリチッチ写真:Maurizio Borsari/アフロ

10位:アレッシオ・ロマニョーリ(ミラン)

-1100万ユーロ(約14億6000万円)

2020年10月17日、インテル戦でのロマニョーリ
2020年10月17日、インテル戦でのロマニョーリ写真:ロイター/アフロ

10位:ステーファノ・センシ(インテル)

-1100万ユーロ(約14億6000万円)

2020年12月13日、カリアリ戦でのセンシ
2020年12月13日、カリアリ戦でのセンシ写真:ロイター/アフロ

10位:ドリース・メルテンス(ナポリ)

-1100万ユーロ(約14億6000万円)

2020年12月10日、レアル・ソシエダ戦でのメルテンス
2020年12月10日、レアル・ソシエダ戦でのメルテンス写真:ロイター/アフロ

10位:ラジャ・ナインゴラン(カリアリ)

-1100万ユーロ(約14億6000万円)

4月11日、インテル戦でのナインゴラン
4月11日、インテル戦でのナインゴラン写真:ロイター/アフロ

14位:マティアス・ベシーノ(インテル)

-1050万ユーロ(約14億円)

5月12日、ローマ戦でのベシーノ
5月12日、ローマ戦でのベシーノ写真:ロイター/アフロ

15位:ジェラール・デウロフェウ(ウディネーゼ)

-1000万ユーロ(約13億3000万円)

2020年12月12日、トリノ戦でのデウロフェウ
2020年12月12日、トリノ戦でのデウロフェウ写真:Maurizio Borsari/アフロ

なお、サンプドリア所属の吉田麻也は、今回の改定で市場価値320万ユーロ(約4億3000万円)となった。昨年7月1日からは80万ユーロ(約1億1000万円)のダウン。下げ幅ランキングでは、全体の160番目タイだった。

C・ロナウド同様、吉田の査定も年齢や契約年数が大きく考慮されたと想像できる。ベテランが市場価値を高めるのは難しく、彼らの評価基準は別にあると言えるだろう。

一方で、上位には、ディバラを筆頭に期待を下回った選手たちが少なくないのも確かだ。ただ、彼らは巻き返すことができる。カルチョの世界は極端だ。周囲の手のひら返しは日常茶飯事。来季の彼らに期待したい。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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