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ダンカンへの人種差別・誹謗中傷で母親謝罪 「鍵は教育」「子どもは僕らを映す鏡」

中村大晃カルチョ・ライター
4月11日、セリエAインテル戦でのダンカン(写真:ロイター/アフロ)

なぜそのようなことをするのかと、憤る人がほとんどのはずだ。だが、残念なことに、SNSにおける人種差別・誹謗中傷は確かに存在する。そして、それらの行為を働く者の一部は、罪深さを理解していない。

カリアリのアルフレッド・ダンカンは、4月25日のセリエA第33節ローマ戦後、インスタグラムで人種差別の被害に遭ったことを明かした。一夜明けた26日、差別行為を働いた人物の母親は、ダンカンとカリアリに謝罪している。

インスタグラムを通じてダンカンに送られたのは、侮蔑、黒人蔑視、そして家族の死を願う言葉だった。報道によると、ダンカンは送り主が若者と知り、SNSで責任は親にあると訴えていた。

「本人ではなく、両親の責任だ。鍵となるのは教育だよ!何を考えるかではなく、どう考えるかを子どもたちに教えるんだ」

この訴えが届いたのか、ダンカンは27日に謝罪のメッセージが届いたことを明らかにした。

「昨日、僕を侮辱した人の母親が、僕とカリアリに謝罪してきた。僕は受け入れる。過ちを理解し、ただそうとしてくれたからだ」

「人種差別の言葉にはそれほど関心ないが、両親には触れるな。選手たちには、そこに至るまで犠牲を払ってくれた人たちがいるのだと知るべきだ」

「これは特に親たちの教訓にしなければいけない。子どもたちは僕らを映す鏡だからだ」

カリアリは公式メディアでダンカンの言葉を伝え、「リスペクトのレッスン」と賛辞を寄せている。

問題を指摘し、謝罪を受け入れ、今後に活かそうというダンカンの訴えが、少しでもより良い未来につながることを願う。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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