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ローマ、5失点で崖っぷちも「屈服は禁物」 奇跡の再現を信じるべき5つの理由

中村大晃カルチョ・ライター
4月24日、CL準決勝1stレグでサラーに苦しんだローマ(写真:ロイター/アフロ)

ドーバー海峡を渡ったローマ帝国は、イングランドの地でエジプトの王に屈した。だが、人々はかすかな望みを捨てていない。オリンピコで、再び奇跡が起きることはあるのだろうか。

4月24日のチャンピオンズリーグ(CL)準決勝ファーストレグ、ローマはリヴァプールに敵地で2-5と敗れた。昨季まで在籍していたモハメド・サラーに2ゴール2アシストを許し、69分までに大量5ゴールを喫しての完敗だ。

だが、サラーが交代した終盤、ローマは2点を返した。もちろん、3点差の黒星という厳しい状況は変わらない。しかし、ローマがバルセロナとの準々決勝で3点ビハインドから奇跡の逆転劇を演じたのは周知のとおりだ。そして、今回もまた、ローマは本拠地オリンピコでセカンドレグを迎える。

◆屈服は禁物

ショッキングではあるが、まだ終わりではない――イタリアではそういった声も上がっている。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は試合後レポート記事で「CL決勝は遠い。だが、バルセロナ戦の快挙の後で、『不可能』と言う言葉を使ってはならない。結局は、また3-0で勝てばいいのである。あり得なさそうだが、すでに見た映画だ」と記した。

『メディアセット』も「最後の瞬間まで育むべき夢を前に、屈服することは禁物だ。ローマは戦わずして屈することに慣れていない。不可能を繰り返そうという絶望的で並外れた試みとなるセカンドレグでは、オリンピコの忠実なる軍隊もそばにいる」と、ホームでの挽回に期待を寄せている。

マリオ・スコンチェルティ記者は『コッリエレ・デッラ・セーラ』のコラムで「理論上は最悪の結果だが、誰もそう言うことはできない」「楽観的だが、かなりの真実でもある。まだ勝負はついていない」と、あきらめてはいけないと主張した。

◆「奇跡の再現」を信じる理由

『メディアセット』や『スカイ・スポーツ』は、実際に「奇跡」を信じるだけの理由があるとしている。

1. エースの存在

エディン・ジェコは、今季のCLで7ゴール3アシストを記録。ラウンド16のセカンドレグから4試合連続得点中と波に乗っている。

2. ホームでの好調

今季のローマはCLでのホームゲームで無敗(4勝1分け)。しかも失点していない。チェルシーやバルセロナといった強豪から3ゴールを奪って快勝している。

3. サポーターの後押し

オリンピコは満員御礼が確実。1984年の雪辱に燃えるロマニスタは、「12番目の選手」としてローマの武器となる。

4. リヴァプールの守備力

両メディアは、フィルジル・ファン・ダイクを除くリヴァプール守備陣に穴があるとみている。ロリス・カリウスは「信頼に足らず」、デヤン・ロブレンは「気を抜く」ことがあり、両サイドは「守備より攻撃が得意」と指摘した。

5. バルセロナ戦の経験

優勝候補の一角を相手に、ローマが奇跡を起こしてから、まだ20日も経っていない。しかも、今回は1失点しても4ゴールを奪えれば突破という“余裕”もある。

◆奇跡は繰り返されない?

だが、バルセロナのときとは違うという意見もある。

『Calciomercato.com』のジャンカルロ・パドヴァン記者は、圧倒的な強さでプレミアリーグ優勝を飾ったマンチェスター・シティを沈めたリヴァプールが「バルセロナより強い」と主張。攻撃のチームではあるがむやみに攻めるわけではないとし、「奇跡は繰り返されない」と断じた。

『メディアセット』のクラウディオ・ブラキーノ記者は、逆転を期待するとしつつ、サラーという規格外の選手の存在が違いになるとの見解を示している。実際、セリエ時代からさらに飛躍したサラーには、イタリアでも「バロンドールにふさわしい」「5人目のビートルズ」など、続々と賛辞が寄せられた。

世論はどうだろう。『スカイ』のアンケートでは、77%のユーザーが「逆転可能」との見解(対象数不明)。一方で、『メディアセット』では、8600名超のユーザーのうち、7割以上が「逆転不可能」と回答している。まったく逆の回答で、ファンの意見は二分されているようだ。

◆一筋の光明

忘れてはいけないが、準々決勝で3点差を跳ね返したのは、史上3度目という極めてまれな快挙だった。昨季、パリ・サンジェルマン相手にその快挙を成し遂げたバルサも、続くユヴェントスとの準々決勝では「奇跡の再現」を果たせていない。何度も繰り返されるのでは、「奇跡」ではない。

『メディアセット』や『スカイ』が掲げた「信じるべき理由」は、暗闇の中でうっすらと見えた一筋の光明でしかないのだ。だが、その光を信じなければ、その瞬間にキエフへの道は閉ざされる。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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