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欧州で唯一激しい優勝争いのセリエ、識者予想は王者ユヴェントスの7連覇?

中村大晃カルチョ・ライター
2017年12月1日のナポリ対ユヴェントスより。前回の対戦は1-0で王者に軍配(写真:ロイター/アフロ)

まるで、セリエAだけ欧州主要リーグの“トレンド”から外れているようだ。

マンチェスター・シティ、バルセロナ、バイエルン・ミュンヘン、パリ・サンジェルマン(PSG)…セリエ以外のリーグでは、首位が2位に勝ち点10差以上をつけて独走している。シーズンはまだ3カ月も残っており、優勝確定とは言えない。だが、タイトル争いへの興味が薄れつつあるのも事実だ。

一方、セリエでは史上稀に見るデッドヒートが繰り広げられている。28年ぶりの悲願を目指す首位ナポリ(勝ち点60)を、6連覇中の王者ユヴェントス(同59)が1差で追う展開だ。

現地時間2月6日付『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、23節を終えて上位2チームの合計勝ち点119は、勝利が3ポイント制になった1994-95シーズン以来、初めてという。2013-14シーズンの勝ち点114(ユヴェントスが60、ローマが54)をも上回っている。

13-14シーズンといえば、ユヴェントスが史上最多の勝ち点102という偉業を達成。勝ち点85のローマに大差をつけて3連覇を飾った。だが、今季は、2チームが勝ち点100に迫る勢いをみせている。現在のペースを保てば、ナポリは勝ち点99、ユーヴェは同97に達するのだ。

実際、両チームの勢いはすさまじい。現在は7連勝中。ナポリが15得点・4失点、ユーヴェが18得点・1失点と、それぞれ圧倒的な強さをみせている。今季、ナポリが首位から陥落していたのは、わずか2節のみ。ユーヴェもほぼ常にそのすぐ後ろを追いかけている。

筆者作成
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インテルとローマの失速に続き、3位ラツィオもここにきて連敗を喫しており、スクデット争いは2強に絞られたと言えるだろう。ただ、それは開幕前の下馬評どおり。やはり世間が気になるのは、最後に笑うのはどちらのチームかということだ。

7日付『コッリエレ・デッロ・スポルト』は、現役の選手や監督をはじめ、ディレクター、元選手など計100名の関係者を対象としたアンケートの結果を発表した。「優勝するのはどちらのチーム?」。この上なくシンプルな質問の結果は、56対44でユーヴェに軍配が上がった。

両チームのOBも含まれているため、純粋な分析による結果とは言い難いかもしれない。それでも、戦力では王者に分があるという見方が少なくないのも確かだ。1月の補強を実質的に不要としたユーヴェに対し、ナポリがシモーネ・ヴェルディやマッテオ・ポリターノの獲得に動いたのも、選手層の厚みの違いと言えるだろう。しかも、ナポリは結局補強を実現できなかった。

だが、マウリツィオ・サッリ率いるナポリが見せるサッカーが、セリエのみならず欧州で高く評価されているのは事実だ。それだけに、ナポリにタイトルを獲得して欲しいという声も少なくない。先月の『ガゼッタ』のインタビューで、カリドゥ・クリバリも「スペクタクルなサッカーをしながらでも勝てることを僕らは示している」と誇りを強調している。

ナポリはユヴェントス王朝に終止符を打つことができるのか。確かなのは、4月22日の直接対決が大きな鍵を握るということだ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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