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インテル不振でミラン好調も、サポーターは現実的? 8割が「逆転はない」

中村大晃カルチョ・ライター
2017年10月15日のミラノダービーでのインテルとミランの選手たち(写真:ロイター/アフロ)

2カ月前まで、この状況を想像した人は少なかったはずだ。1カ月後はどうなっているだろうか。

12月3日のセリエA第15節、ヴィンチェンツォ・モンテッラを解任してジェンナーロ・ガットゥーゾを指揮官としたミランは、最悪のリスタートを切った。終了間際のアディショナルタイム、相手GKに同点弾を献上。史上最低記録となる開幕14連敗を喫していた最下位に初の勝ち点を許した。

同日、本拠地サン・シーロにキエーヴォを迎えたインテルは、イヴァン・ペリシッチのハットトリックやマウロ・イカルディのゴールで5-0と圧勝。ユヴェントス、ナポリを抑えて首位を走り、開幕前には予想だにしなかったスクデットの可能性まで騒がれていた。

続くユヴェントス戦でも敵地で引き分け、インテリスタは熱狂した。だが、ここを境にチームは不振に陥る。17節ウディネーゼ戦で初黒星を喫し、続くサッスオーロ戦で連敗。コッパ・イタリア準決勝ではミランとのダービーを落とし、以降のリーグ戦でも4戦連続ドローと白星に見放されている。

一方、監督交代からリーグ戦4戦1勝1分け2敗と苦しみ、批判も浴びたミランは、年末から徐々にガットゥーゾ効果を出し始める。2018年に入ってからリーグ戦で3連勝。特に指揮官が「テスト」と位置付けた3位ラツィオとの前節の勝利は、ガットゥーゾ・ミランの株を急上昇させた。

15節終了時点で、インテルとミランの勝ち点差は18ポイントだった。インテルがチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得はもちろん、優勝も狙えると言われたのに対し、ミランのCL出場は夢のまた夢、ヨーロッパリーグ(EL)に集中すべきとの声もあったのは当然だ。

だが、それから2カ月で、両チームの勝ち点差は10ポイントとなった。特にここ4試合で、ミランはインテルとの勝ち点差を6ポイントも縮めている。残りは16試合。ついに、ミランがインテルを逆転する可能性も騒がれ出した。

筆者作成
筆者作成

それでも、イタリアのファンは現実的なようだ。現地時間2月2日付イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が紹介した世論調査では、サッカーファンのうち約8割がミランの逆転は不可と回答している。「差は大きく縮まるがインテルがミランを上回る」が47%、「大差を維持してインテルがミランを上回る」が31%だった。

「ミランがインテルを逆転する」と回答したのは、わずか22%。ミランサポーターに限っても、29%にしか達しなかった。一方で、インテルサポーターの57%は、差を維持したまま上位を保てると回答している。

2018年2月2日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2018年2月2日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成

CLへの切符についても、ミランに対する見方は現実的だ。72%が5位から6位、つまりEL出場圏が関の山と答えており、CLを狙えるとの回答は16%だった。ミランサポーターに限れば、84%がEL圏という回答だ。対するインテルは、54%がCL出場権を獲得できるとし、38%が「EL出場圏」と答えている。

2018年2月2日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2018年2月2日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2018年2月2日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2018年2月2日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成

実際、ミランがCLを狙うには、インテルだけでなく、ラツィオやローマとの競争にも勝たなければならない。しかも、ミランはこれからの1カ月、厳しい日程を控えている。4日の相手ウディネーゼはマッシモ・オッドが就任してから絶好調。25節の相手サンプドリアも難敵で、続く26節はローマとのビッグマッチだ。加えてEL決勝トーナメント1回戦とコッパ・イタリア準決勝セカンドレグもある。

対するインテルは、カップ戦がなく、リーグに専念できる。そのうえで、クロトーネやベネヴェントなど、今後1カ月は白星が計算できる(はずの)カードが続く。

だが、裏を返せば、インテルはここで復調できなければ、近年のように転がり落ちていく恐れもある。ミランはここを乗り切り、自信を深めれば、一気に上昇気流に乗るだろう。2カ月前と今を考えれば、両者がダービーで対決する3月4日までに何があるかは決して分からない。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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