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アップル、既存モデルもイヤホン同梱とりやめ。イヤホンジャックも全モデルなし

武者良太ガジェットライター
Bluetoothでの音楽再生専用機となるiPhoneファミリー(写真:ロイター/アフロ)

日本時間2020年10月14日午前2時、アップルがiPhone 12シリーズを発表しました。ラインナップは4つ。5.4インチディスプレイでコンパクトなiPhone 12 mini(7万4800円~)、6.1インチのiPhone 12(8万5800円~)、高性能なカメラが搭載された6.1インチのiPhone 12 Pro(10万6800円~)、もっとも大きなサイズとなる6.7インチのiPhone 12 Pro Max(11万7800円~)です。

この発表会において、アップルは2030年までに温暖化ガス排出量ネットゼロ達成を目標とすることを目指しているとも発表しました。今までにもパーツの素材やリサイクルにおいて環境への配慮を強く考慮してきたアップルですが、今後は製造・梱包・流通・リサイクルのすべての工程において、CO2排出量を削減するカーボンニュートラルを目指すそうです。

その一環として、iPhoneから有線イヤホンおよびAC充電器が省かれることになりました。これはiPhone 12シリーズの新モデルだけではなく、併売されるiPhone SE、iPhone 11、iPhone XRからも省かれます。なお通信ケーブルとなるUSB-C- Lightningケーブルは付属します。

iPhone 7以降のモデルに付属してきたLightning端子接続の有線イヤホンは7億個、アップル製ACアダプタは20億個が出荷されており、そして多くのユーザーがワイヤレス充電やワイヤレスイヤホンの利用をしている、というのがアップルの主張です。

新モデルだけではなく、従来モデルの付属品も減らす理由としては、パッケージの小型化を目指せるから。1回の配送で従来よりも多くのiPhoneを運べることになりますし、店頭・倉庫における在庫管理スペースも削減できます。流通の段階で、年間45万台近くの自動車を走らせないで済むとのこと。

なお現行のiPhoneはすべて、イヤホン端子がありません。市販の有線イヤホンを使うには、Lightning対応DACケーブルなどが必要となります。かなりの手間となりますし、アップル製完全ワイヤレスイヤホンのAirPods、AirPods Proの売れ行きを考えると、有線イヤホンからの脱却をより推し進めたものとなるといえます。

充電環境においても、iPhone 12シリーズにはハイパワーなワイヤレス充電システムMagSafeを導入しました。従来機種もQiによるワイヤレス充電に対応しており、こちらもケーブルレスな環境を目指していることがわかります。

想像ですが、アップルはiPhoneから、コネクタそのものをなくすことを考えていると思われます。EUが通そうとしている法案次第ではLightning端子が使えなくなる可能性があるため、USB Type-Cへの採用を考慮しなければなりません。それに対抗する施策がコネクタレスではないかと考えられます。大容量のデータは高速な5G回線を使うことで高速伝送が可能になりますし、コネクタという大きなパーツの排除は生産工程の効率化ともつながり、温暖化ガス排出量ネットゼロ達成の目標にも近づくでしょう。

ガジェットライター

むしゃりょうた/Ryota Musha。1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、AI、VR、デジタルガジェットの記事執筆が中心。元Kotaku Japan編集長。Facebook「WEBライター」グループ主宰。

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