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カフェでもどこでも会議室になる、大型サイズのポータブルホワイトボード

武者良太ガジェットライター
A3サイズ2枚をつなげてA2サイズとして使えるポータブルホワイトボード。筆者撮影

思いついたアイディアを書き留めていけるホワイトボードは、会議や打ち合わせに欠かせないアイテムです。壁一面をホワイトボードとしてつかえるようにコーティングした会議室を持つ企業もあるほどです。しかし働き方改革が進んできた今の時代において、会議するための場所が限られてしまうことに抵抗を持つ人もいるでしょう。

かといって持ち歩けるタブレットは面積が狭いために、複数メンバーのアイディアを一覧できるように書き留めるのは難しい。可搬性が高く、もっと広い面積を使えるポータブルなホワイトボードは多くの人から求められていました。

そして2017年に公開されたのがポータブルホワイトボードの「バタフライボード2」です。日本のクラウドファンディング、Makuakeにおいて3402人が支援し、目標金額の4946%・1484万円もの資金調達に成功したすぐれモノです。

当時、バタフライボードを開発した福島英彦さんはこのように語ってくれました。

「人が思いつくアイデアは、ホワイトボードのキャンヴァスの広さに比例して広がるはず。そこで、持ち運びできるサイズとキャンヴァスの広さという、相反する要素をひとつの商品に盛り込むことができれば、と考えていました」

出典:WIRED

専用トートバッグに入ったバタフライボードPro A3。筆者撮影
専用トートバッグに入ったバタフライボードPro A3。筆者撮影

時が経ち、福島さんがより大きなサイズのポータブルホワイトボード「バタフライボードPro A3」の開発にチャレンジしたとのことで、改めてお話を聞いてきました。今回のサイズは基本がA3サイズ。2枚をつなげてA2サイズとして使えるモデルとなります。

「4~5人が参加する会議の中でバタフライボード2を使うとなるとちょっと小さい、というお話を多く頂いたんです。またワークショップを運営されてる方から、グループワーク時に使えるサイズのものがほしいという要望がありました」(福島さん)

A5およびA4の2サイズ展開だった「バタフライボード2」は、それぞれ4枚のパネルが付いていました。特殊な磁石を用いて接続すればA4またはA3サイズでの利用が可能で、さらに卓上に並べたり、鉄製のパネルにくっつければA3またはA2で使えました。

それであっても、1枚が大きなサイズのポータブルホワイトボードが欲しいという声があった。立てかけたりして使いたいという潜在需要があることが窺えます。

イーゼルにもなるケースから取り出したバタフライボードPro A3。筆者撮影。
イーゼルにもなるケースから取り出したバタフライボードPro A3。筆者撮影。

そこで段ボール製のケース部にも一工夫。組み立てるとイーゼルとなり、卓上に置いて使えます。誰でも簡単に組み立てられるように、直感的な仕組みともなっています。

軽量な作りであり、磁石で鉄製のドアにくっつけても落ちない。筆者撮影
軽量な作りであり、磁石で鉄製のドアにくっつけても落ちない。筆者撮影

さて、テスト中の「バタフライボードPro A3」を持ってみると、これが軽い! A3サイズのパネルとは思えないほど軽い! 

「ホワイトボードの価値は誰でも使える、書けるところです。その良さを残しながら大きくしていきました。ただ従来モデルの素材のまま大きくすると重くなってしまうので、 軽い比重の素材を使いました」(福島さん)

しかし柔らかい素材だと使いにくくなってしまうため、素材の目をコントロールすることで剛性を高めたとのこと。同時にスナップバインディング部の磁石を変え、極性のバランスを変えて大きなパネルをつなげても安定するように設計されたそうです。

また消去性を高めるために、様々なコーティングのテストが行われました。「バタフライボードPro A3」は業務用としても使われることが考えられるため、ホーローのガラスコーティングが使われたホワイトボードの消去性を目標として設定。日本で入手できる一般的なホワイトボードマーカーも多数揃えて長い線を引き、毎日少しずつ消していって何日目で消えにくくなるかを調べたそうです。そして採用したのが、半年を経過してもまだ線を消すことができるコーティングだったそうです。

広いパネルだからこそアウトプットしやすい。筆者撮影。
広いパネルだからこそアウトプットしやすい。筆者撮影。

福島さんは「バタフライボードPro A3」を設計する上で、ユーザビリティを最も重視しているということを強く感じました。ホワイトボードという実用性を重視するプロダクトだからというのもあるのでしょうけど、従来の日本のモノづくりにあった高級志向・多機能志向ではなく、どんな環境でも気にせずに使えるような存在となるように、軽さや消去性を追求したのでしょう。

数多の機能があるけれども使いづらいより、単機能で使いやすいもの。ユニバーサルデザインの観点からも、このようなモノづくりは今後重要な視点となっていくような気がしています。

現在「バタフライボードPro A3」Makuakeでクラウドファンディングのプロジェクトを実施中。記事執筆時、ゴールまで15日を残した状態で目標金額の2524%を達成。757万円の資金を調達しています。

バタフライボード 公式サイト

ガジェットライター

むしゃりょうた/Ryota Musha。1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、AI、VR、デジタルガジェットの記事執筆が中心。元Kotaku Japan編集長。Facebook「WEBライター」グループ主宰。

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