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2月1日の規制開始前に、一部でPSEマークのないモバイルバッテリーが投げ売りされている

武者良太ガジェットライター
安売りされているからと、安易に飛びつくことなかれ。筆者撮影。

ここ数日、Twitterなどで「モバイルバッテリーが安くなっている」といった趣旨の書き込みがバズっています。「モバイルバッテリー」で検索すると、普段は数千円する製品に1600円の値札が貼られていたり、380円となっていたり、2円(!)という投げ売り以外の何者でもない証拠写真が見つかります。

モバイルバッテリーがこのように安く販売されている背景には、法改正が関係しています。

モバイルバッテリーで使われているリチウムイオン電池はその特性から熱を持ちやすく、状況によっては膨張、発煙、発火、爆発する可能性があります。その危険性から、ノートパソコンや、スマートフォン、デジカメなどに使われているリチウムイオン電池は、2007年よりPSEマークの記載(登録検査機関による検査)を義務付けられました。

その際に体積エネルギー密度が低いことから対象外となったモバイルバッテリーですが、近年モバイルバッテリーに起因する発火事故などが増えてきたことから、2018年2月1日、経産省は「モバイルバッテリーを電気用品安全法に基づく規制対象と扱う」と発表しました。1年の猶予期間を経て、2019年2月1日より規制開始。以後はPSEマークを記載したモバイルバッテリー以外は製造、輸入、販売ができなくなります。

そのため店頭ないしはメーカー・代理店の倉庫で在庫していた、PSEマークなしのモバイルバッテリーが安売りされるようになったのでしょう。

PSEマークが入ったモバイルバッテリー。商品パッケージにも記載されている。筆者撮影。
PSEマークが入ったモバイルバッテリー。商品パッケージにも記載されている。筆者撮影。

もしも安売りされているモバイルバッテリーを見つけたとしても、個人的に購入はおすすめできません。モバイルバッテリーは値段が高くとも、知名度が高く信頼のおけるメーカーの商品を買うべきです。

例えば一部のメーカーは、2018年中の早い段階で自社の製品にPSEマークを記載できる取り組みを進めていました。こういったメーカーは技術力が高く、高品質なモバイルバッテリーの開発に長けています。充電時の発熱を抑え、無駄の少ない回路と精度の高い部品を用いることで変換ロスを少なく抑えていますし、スマートフォンの高速充電に対応した商品も手がけています。

いくら安かったとしても、公式スペックの蓄電容量の半分も使えないモバイルバッテリーなどを買ってしまったら、使いにくいと感じるでしょう。事実、筆者が今月某コンビニで購入した新品の某モバイルバッテリーは、大容量をうたいながらもスマートフォン1台をフル充電させることができませんでした。

このスマートフォン全盛時代において、モバイルバッテリーは重要な周辺機器です。大事なことなのでもう一度記します。モバイルバッテリーは高くとも、知名度が高く信頼のおけるメーカーの商品を買うべきです。

ガジェットライター

むしゃりょうた/Ryota Musha。1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、AI、VR、デジタルガジェットの記事執筆が中心。元Kotaku Japan編集長。Facebook「WEBライター」グループ主宰。

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