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“フェイスブック婚活”が日本でスタートしたらどうなる?あなたは成婚できると思う?

村上れ以子成婚率東日本トップの仲人士(結婚相談所運営) 元新聞記者
(写真:ロイター/アフロ)

SNS(交流サイト)世界最大手である米フェイスブック(Facebook)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)が、フェイスブックに「出会い機能」を追加すると発表しました。

同社の発表によると、「ユーザーは通常のプロフィールとは別に、出会い機能専用のプロフィールを作ることができ、デート相手の好みや共通点、共通の友人を基に、マッチングの候補がお薦めされる」という。出会い用の非公開プロフィールを作成すると、地元のグループやイベントの情報や、参加予定の人のプロフィールが閲覧可能になる。

ザッカーバーグ氏はこの新機能の発表に際し、米国で結婚するカップルの3組に1組がインターネット上で出会っており、フェイスブックのユーザー2億人が独身と自己申告していることにも言及した。

出典:フェイスブック、出会い機能を導入へ CEOが発表(AFP=時事)

フェイスブックの参入は、婚活業界の“勢力図”を一新するかもしれないな、と感じます。

実際、この発表により、出会い系アプリを手掛けるマッチ・グループや同社の筆頭株主であるIAC/インタラクティブの株価が急落したといいます。

マッチの株価終値は22.1%安と、上場来最大の下げとなった。マッチは「ティンダー」や「オーケーキューピッド」といった出会い系アプリを手掛ける。IACも17.8%下落した。

出典:フェイスブックが出会い機能追加へ-マッチやIACの株価急落(Bloomberg)

日本でフェイスブックのマッチングサービスが始まったらどうなる?

現在、日本の婚活は「結婚情報サービスセンター」や「結婚相談所」「婚活サイト」「婚活アプリ」など、婚活したい独身者を集客してデータに登録し、マッチングや閲覧からの申し込みで出会いを創出するシステムが主流です。

特徴は、「婚活する人限定で、そのシステムに登録する」こと。有料であることがほとんどです。

一方のフェイスブックは、独身・既婚者問わず、登録したい人が無料で登録して自分のプロフィールを作成し、他のユーザーを友達追加して、メッセージの交換や友達の投稿閲覧などができます。

共通の関心を持つユーザーグループへ参加するなどで新しいつながりを作ることもできますが、既知の友達とつながることが多くて便利だと感じています。

ここで重要なのが、「フェイスブックに登録する目的が、出会いのみではない」ということです。

結婚情報サービスセンター、結婚相談所、婚活サイト、婚活アプリに登録する人は「婚活する」と決めた人ばかりですが、フェイスブックは、そうではありません。

既婚でも独身でも登録できます。婚活したい人は、登録したサイトの中で「婚活したい人だけが参加する機能」を使うだけ。

フェイスブックのほうが、気軽に登録できるといえるのではないでしょうか。

(機能が有料か無料かわからないので、今は言及しません)

フェイスブックの発表によりマッチなどの株価が下落したように、日本でも打撃を受ける既存の婚活業者は出てくる可能性はあります。

仲人が考える“フェイスブック婚活”の長短

フェイスブックの出会い機能で婚活することを仮に“フェイスブック婚活”と呼ぶとします。

“フェイスブック婚活”は、結婚したくても出会いに恵まれない人が気軽に婚活をスタートできるという意味で、素晴らしい長所だと思います。

また、ランディングを終えて軌道に乗ったとしたら、その規模の大きさは魅力になるかもしれません。

一方で、“フェイスブック婚活”がスタートしたら、注意する点も多々あります。

まず、知らない人同士の出会いですから、「リスク回避の自衛策」を理解してから開始したほうがいいと思います。

現在、ほとんどの結婚相談所は、過去の経験からリスク回避の策を持ち、会員に指導しています。

タイムリーなので例として使わせていただくと、お見合い場所は「TOKIOの山口達也さんが女子高生を呼んだような密室や、人気の少ない場所」ではなく、多くの場合は周囲に人が多いホテルのラウンジなどである、などです。

また、筆者の仲人経験から言わせていただくと、フェイスブックでの出会いを使う人の数が莫大だとすると、成婚数は多いかもしれませんが、成婚率が高いかというと、クエスチョン(?)です。

仲人の仕事は

・集客

・契約

・会員のプロフィール作り

・マッチング

・プロの結婚相談

・成婚後に指輪や式場などのご紹介

など多岐にわたりますが、成婚に重要なのは「プロの結婚相談」の分野です。

そして、推測ではありますが、フェイスブックの機能では、人の悩みや疑問に答える「プロの結婚相談」が難しいのではないでしょうか。

人は迷い、悩みます。そのとき、多くの人が頼るのは「機能」ではなく「人」だと思うのです。

経験がある人、信頼できる人、プロのアドバイスが、悩みを解決したり、前向きに進む原動力となることは多々あります。

婚活で重要な自己責任とリスク回避を頭に入れ、実行しながらでしたら、“フェイスブック婚活”だけでなく、どんな出会い方でもいいと思います。

結婚したいと考える多くの人が婚活をすることで、たったひとりのパートナーと出会えるのでしたら、幸せな結婚を応援する仲人である筆者としても、喜ばしいことです。

成婚率東日本トップの仲人士(結婚相談所運営) 元新聞記者

キャリア5年で成婚数、成婚率とも東日本1位仲人士に。17年間のスポーツ担当記者時代に取材した国内外トップスポーツ選手・コーチの必勝ノウハウを婚活にいかし、難しいといわれる30代・40代・50代の中高年と親の婚活で、通常の8倍の割合で会員を成婚に導く。慶應義塾大法学部政治学科卒業。既婚、二児の母で、趣味は子どものスポーツ応援。

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