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中国で52.2度を記録 国内の過去最高気温

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
砂漠の広がる中国トルファン市郊外の光景(写真:ロイター/アフロ)

古代、シルクロードの拠点として栄え、三蔵法師も立ち寄ったとされる砂漠のオアシスでこの度、中国の国内最高気温がでたもようです。

16日(日)、中国北部のトルファン市郊外(Sanbao)で、日中の気温が52.2度まで上がりました。これまで中国では、同じくトルファン市郊外(Erbao)で2017年7月17日に50.5度が観測されています。

今後この記録が検証され、正式なものとなれば、中国の国内記録となります。

暑さの原因

トルファン市は、黄砂の源であるタクラマカン砂漠に位置しています。衛星で見ると、黄土色の砂漠の中に家々が所狭しと並んでいるのが分かります。

その海抜がマイナス150メートルで、中国でもっとも低い土地です。究極の盆地なため、熱がたまりやすいのです。

ただでさえ暑いこの地ですが、16日(日)には、その北を低気圧が通過していきました。そのタイミングで南西風が吹いて、さらに熱風が入り込んだためと考えられます。

観測史上もっとも暑い夏

今年中国はあちこちで、春から高温記録が塗り替えられています。

先月24日には首都ペキンにおいて、6月の観測史上最高気温となる41度を記録しました。また中国国内では、35度以上の猛暑日になった日数が今年過去最多を記録しています。

デスバレーも燃えるような暑さ

ところ変わって、アメリカでもっとも海抜の低いデスバレーでもまた、気が滅入るほど気温が上がっています。

私がこの記事を書いているいま、デスバレーの気温計は52度を示していますが、おそらく現地時間16日(日)は53度くらいまでは気温が上がってしまいそうです。

さらにもしかすると、1913年にデスバレーで記録された、いわくつきの世界最高気温56.7度以来の気温となる可能性も少なからずあります。なぜいわくつきかというと、この気温はありえないと学者たちが口を揃えて話しているからです。

記録的高温の効果

中国とアメリカで凄まじい高温が出ている今、奇しくもアメリカのケリー特使が、気候変動などの話し合いを目的に中国を訪問しています。

この高温という警告は、世界の二大CO2排出国のお尻を叩く効果があるでしょうか。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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