保護者が知らない小学生のスマホ利用…平成28年度政府調査速報
[ 内閣府「青少年のインターネット利用環境実態調査」速報版]
先月末に、平成28年11月5日~12月11日にかけて行われた青少年のインターネット利用環境実態調査の速報が発表されました。その調査では小中高校生およびその保護者のネット利用における実態が明らかになっています。小中高校生自身のネット利用の実態については下記の記事にまとめられています。
ここでは小中高校生の保護者に視点を向けて、その実態をデータから探ってみましょう。まず小中高校生の保護者が30歳代から40歳代前半であることから、そのインターネット利用率は高く、94.2%であり、それを利用する機器としても80.1%がスマホです。ノートパソコンやデスクトップパソコンでインターネットを利用する保護者はそれぞれ44.6%、20.6%です。2年前の同様の調査ではそれぞれ46.0%、24.1%でした。青少年のパソコン離れが問題となっていますが、保護者層にも広がっているようです。
では、保護者はインターネット、特にスマホでのインターネットで何をしているのでしょうか。調査の結果ではLINE等のコミュニケーション、情報検索や地図でのナビゲーション、そして動画視聴が多いようです。小中高のそれぞれの保護者で顕著な違いが表れるのはゲームの利用です。高校生の保護者が47.6%であるのに対して、小学生の保護者は57.1%がゲームに興じています。子供とともに楽しんでいることも若干考えられなくもありませんが、やはり携帯型ゲーム機や携帯電話での保護者のゲーム体験経験からのものでしょう。
次にスマホ利用に関する子供の対する保護者の取り組みですが、95.7%の小学生の保護者が子供のスマホ利用を管理できていると回答していますが、高校生の保護者ではその数値は下がって78.1%になります。しかも小学生の保護者の78.1%が保護者の目の届く範囲で利用させていると考えているものの、子供のスマホ利用状況を把握しているかという問いでは31.5%しか肯定しておらず、中学生の保護者が同じ問いへの回答が41.9%であるのに対してかなりの差が見られます。フィルタリングを27.8%しか行っていなことと合わせて小学生のスマホ利用に関しては保護者の対策が問題となるようです。
子供のインターネット利用に関する問題を保護者がどこで啓発を受けたかという問いに関しては、小中高ともに学校からの配布資料や集会での説明という回答が圧倒的です。これはここ数年、学校等でのスマホやインターネット利用全般に対する教育や取り組みが功を成していると言えなくはないでしょう。
しかし学校からの説明という数値に関しては、小中高校の保護者ではばらつきがあります。中学生の保護者が65.3%に対して、小学生の保護者では51.3%に下がります。これは小学校でのスマホ利用に関する教育や啓蒙が必ずしも行き届いていないという一つの課題を提示しています。小学生でのスマホ利用が平成26年から28年では、それぞれ17.1%、23.7%そして27.0%と確実に増加していることを考えると、小学校での保護者に対する啓蒙や教育も必要ではないでしょうか。