地球外知的生命体に向け、宇宙空間にメッセージを送るのは是か非か。今年に入り、米国でこんな論争がヒートアップしている。高名な天文学者やSF作家、実業家らが両陣営に分かれて議論を展開しており、将来人類を滅ぼす原因となるかで見解が分かれる人工知能(AI)をめぐる論争に続き、全米の関心を集めている。

出典:宇宙メッセージめぐり大論争 宇宙人は友達?それとも恐ろしい侵略者? SankeiBiz

SF大作テレビドラマである「スタートレック」と「アンドロメダ」、ともに同じ原作者ですが、どちらも連邦を作ったり、壊したり、そして人類がその中心になりたがるという点で共通しています。なぜなのでしょう。それを数学的に解き明かすのではなくて、その前提である人類以外に知的生命体は存在するのかという問題です。ここでも自己中心的な人類を踏襲して、それを宇宙人と呼ぶことにしましょう。宇宙人は地球以外にも存在するのでしょうか。さすがの自己中心的な人類であっても、自分以外の宇宙人が存在するであろうことは暗に認めています。では存在だけではなく、交流することはできるのでしょうか。この問題への一つの回答がドレイクの方程式と言われるものです。

ドレイクの式
ドレイクの式

この方程式の解Nは、人類がコンタクトできる可能性のある宇宙人の数を与えています。この式に異論をはさむ人は多くなく、広く認められています。Nが1以上であれば、コンタクトできる可能性が高いということになります。それぞれのパラメータ(変数)の値に異論はあるものの、Nが1以上になる説得力ある回答も数多く見られます。一時期、宇宙人探索で有名になった著名な天文学者であるカール・セーガンはNが1以上になる可能性が高いことを指摘しています。では、人類はすでに宇宙人と交流をもっているのでしょうか。一般には肯定的な意見が強そうには思えません。ドレイクの方程式は認められていますが、その変数に適当な理由をつけて代入するだけで、宇宙人とコンタクトできることになってしまうのです。ちなみに、ドレイクの方程式だけに頼ったわけではありませんが、38年前に打ち上げられ、現在も太陽から約195億Km離れた地点を航行しているボイジャー1号には、宇宙人への音声やイラスト等で表されたメッセージが搭載されています。

最近でも、新聞やテレビで、地球に良く似た、太陽系外の惑星が発見されたというニュースが流れます。インターネットでも,その惑星の予想図が流され,また掲示板等で盛んに話題として取り上げられています.

天の川銀河(Milky Way)には、主星のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)内を公転している惑星が数十億個存在する可能性があるとの研究論文が18日、英国王立天文学会の学会誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society、MNRAS」に掲載された。太陽系外に存在する、いわゆる「系外惑星」の探査を目的として2009年に打ち上げられた米航空宇宙局(NASA)の宇宙望遠鏡「ケプラー(Kepler)」により、これまでに数千個の惑星が発見されている。その多くは、1つの恒星の周りを複数の惑星が公転する太陽系に似た惑星系内に存在しているという。

出典:生命居住可能領域内の惑星、銀河系に数十億個存在か AFP BB NEWS

例えば5年前に発見された、グリーゼ581gと呼ばれる惑星ですが,岩や海で覆われていると予想され、平均気温は0度から40度程度であろうとされています。このことが地球に良く似ているかもしれないと予測している根拠です。まだ水や空気が存在するとは証明されたわけではありません。地球で言えば、太陽に当たる恒星からの距離と、その恒星の温度から気温を推定しているだけなのです。しかしながら、現在まで発見された数千個の太陽系外の惑星で、最も地球に似た惑星の一つであることには違いがありません。では、その惑星に生命、さらに知能を持った生命体が存在するのかというところに夢が広がります。

さてドレイクの式はいくつもの惑星で文明が栄えていることを示しています。しかし、存在することと地球を訪れることとはまったく別物です。宇宙人の存在を否定する人は少なくなりましたが、その来訪を肯定する人は多くないでしょう。この惑星と地球との距離は20光年以上あります。現在、最も早く移動している人工物は、1977年に打ち上げられたボイジャー1号ですが、太陽から195億キロメートル離れたところを、さらに太陽系外に向けて飛行を続けています。地球から最も離れたところに位置するこの人工物の速度は、秒速約17キロメール(新幹線の200倍以上の速さ)であり、このボイジャー1号ですら、この惑星に向かったとしても約40万年かかります。宇宙人がいたとしても会えるのは、そう容易いことではなさそうです。