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「カムカムエヴリバディ」で脚光の昭和レトロファッション 今風に取り入れるコツは?

宮田理江ファッションジャーナリスト/ファッションディレクター
レトロな花柄スカーフを頭に巻いたスタイル(写真:IMAXtree/アフロ)

NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』をきっかけに、「昭和レトロ」のムードを帯びたファッションが見直されています。100年にわたる物語だけに、登場する装いも幅広く、とりわけ昭和のスタイリングが話題に。古着やヴィンテージのブームもあり、「昭和レトロ」人気はさらに高まっていく気配です。

たとえると、テレビアニメ『サザエさん』的な懐かしげで穏やかな雰囲気が「昭和レトロ」ファッションの持ち味。昭和を知らない世代には新しく感じられて、大人層には思い出深く映る装いです。勢いづいた背景にあるのは、新型コロナウイルス禍の2年余りを経験して生まれたノスタルジックな気分。気張らないほっこりムードは、癒やしに惹かれる今の空気に寄り添うかのようでもあります。

着物から洋服へと移り変わっていった昭和の名残りも感じられる装いは、洋服に憧れていた日本ならでは。昔感の濃い和柄や刺繍を、モダンシルエットのウエアに写し込むと、100年にわたる『カムカムエヴリバディ』に登場するファッションを1着に詰め込んだかのようなミックステイストが生まれます。

着物を思わせる和柄や刺繍をモダンに昇華 KEITA MARUYAMA 2022年春夏コレクション(出典:prtimes.jp)
着物を思わせる和柄や刺繍をモダンに昇華 KEITA MARUYAMA 2022年春夏コレクション(出典:prtimes.jp)

DREAMS COME TRUEや浜崎あゆみ、野宮真貴(元ピチカート・ファイヴ)など、多くのミュージシャンやタレントのステージ衣装を製作してきたことでも有名な丸山敬太デザイナーが手がける人気ブランド「KEITA MARUYAMA(ケイタマルヤマ)」。2022年春夏コレクションでは日本の伝統的な季節感をテーマに据えました。

「春はあけぼの 夏は夜」という、随筆『枕草子』の冒頭フレーズをモチーフに、百花繚乱の装いを提案しました。着物風の和柄が現代的に再解釈され、昭和の装いにも通じる日本情緒が漂います。懐かしげな雰囲気をまとうことによって、時代にとらわれないタイムレス感を醸し出すのがレトロテイストの賢い取り入れ方です。

実際に現代的にアップデートしたおしゃれスナップを参考に、昭和レトロファッションの魅力と、着こなしに取り入れる際のポイントをお伝えします。

頭に巻くスカーフ「真知子巻き」 トレンドの「柄on柄」コーデに

顔周りが華やいで小顔効果も発揮
顔周りが華やいで小顔効果も発揮写真:REX/アフロ

昭和に大ヒットしたスカーフ(ストール)使いが「真知子巻き」です。1953年に公開された映画『君の名は』で、岸惠子がヒロインの氏家真知子役を主演した際のスタイリング。具体的にはスカーフで髪を包み込むように、頭の後ろ側から首にかけて巻き、前髪だけをのぞかせるかぶり方です。余った端は首に巻いています。

こちらは、クラシック柄を配したスカーフを選んで、顔周りに古風な華やぎを添えています、装いはジャケット、ブラトップ、ミニスカートを、赤系のチェック柄でまとめた3点セットアップ。同じく赤を基調にしたスカーフと組み合わせて、モチーフの異なる「柄on柄」の着こなしに仕上げました。

エリザベス女王のタイムレスなスカーフ技

2021年10月の英女王即位70周年記念の植樹にて
2021年10月の英女王即位70周年記念の植樹にて写真:代表撮影/ロイター/アフロ

英国のエリザベス女王はおしゃれでチャーミングな「真知子巻き」がお好み。顔に近いポジションにあしらう「真知子巻き」は、スカーフの色・柄が顔周りに照り映える効果が期待できます。「昭和レトロ」に限らず、様々な雰囲気を呼び込めるのも、このスカーフ使いのいいところ。グリーンの植物柄を迎えて、ナチュラル感をまとわせました。

スカーフを巻くだけで済むというお手軽さも魅力です。たとえば、髪がうまくまとまらない場合のレスキュー技としても便利。「昭和レトロ」風に仕上げたい場合も、布1枚を加えるだけで、手持ち服からノスタルジックな風情を引き出せます。

花柄ワンピースは「くすみカラー」がベース スポサンではずして

フレンチスリープで淑女のようなムードも演出
フレンチスリープで淑女のようなムードも演出写真:IMAXtree/アフロ

押し花や壁紙を思わせる、ややくすんだトーンの花柄は、レトロテイストを印象づけてくれます。様々な服に生かせますが、おすすめはワンピース。面積が広いので、レトロな花柄のイメージを全身でまとえます。

カラフルな花模様がたくさん施されていますが、地色がくすんだパープルなので、穏やかな印象。「昭和レトロ」風味に整えたいなら、このようなくすみ色が重宝。手描き風の花柄はそれ自体がノスタルジックな雰囲気を帯びているから、クラシックにまとめやすい柄です。

全体を古風にまとめすぎないのが、今年らしいアレンジです。たとえば、足元にアウトドアで履くようなアクティブなスポーツサンダルを迎えて。別テイストを帯びたアイテムを差し込むことによって、全体のトーンを適度にずらす「はずし」のコーデがこなれ感を高めます。

ロマンティックな大襟ブラウスは、あえて「甘さ控えめ」に

ソックス×ヒールサンダルで足元にもミックス感
ソックス×ヒールサンダルで足元にもミックス感写真:REX/アフロ

「昭和レトロ」テイストの特徴に、女学生風の愛らしさも挙げられます。大正時代を主に描く漫画『はいからさんが通る』では着物(和服)が多く登場しますが、昭和に入ると、洋服が一般化し、襟やリボンなどに女学生っぽさを感じさせる装いが広まりました。

大きめの襟は近年、モード界でもキーディテールとしてブームになりました。タイムレスのトレンドを追い風に、ヨーロッパ中世の貴婦人を連想させるような大襟が復活しています。「昭和レトロ」の雰囲気を出すなら、愛らしい丸襟や、レースを配したタイプを選んで。キュートさと気品をダブルで取り込めます。

着こなしのポイントは、過剰にかわいらしく見せない点です。大襟やレース襟にはもともとフェミニンなムードが寄り添っているので、トップス以外のパーツは、あえてお嬢様感を薄めるようなアイテムを選ぶと、バランスが整いやすくなります。

写真のように、ショートパンツを引き合わせて、ヘルシーな気分を投入。鮮やかレッドのバッグを小脇に抱えて、スパイスも加えました。このような「甘×辛」トーンのミックスコーデは、現代的な動きやすさを取り入れたグッドバランスに導いてくれます。

定番アイテムのカーディガンやベレー帽でのどか&ヘルシーに

赤のバッグが差し色効果を発揮
赤のバッグが差し色効果を発揮写真:REX/アフロ

色や素材をそろえた「アンサンブル」の装いは、昭和の風情に通じる、穏やかなたたずまいが持ち味です。色数を絞って、統一感を高めるだけでも、上品な着映えに仕上がります。こちらは、グリーンとアイボリーをキートーンに位置づけて、ナチュラルでヘルシーな雰囲気にまとめました。

キーアイテムになっているのは、裾を遊ばせて着たカーディガンです。ニットならではの風合いを生かして、ほのぼのムードを寄り添わせるのも、昭和テイストを醸し出す着こなしです。胸のワンポイントや、袖の2本ラインなどのディテールとベレー帽にも、レトロな面影が感じられます。

今風に着こなすなら、カーディガンは少しオーバーサイズをチョイス。縦落ち感を帯びた、ゆるっとした感じのシルエットが生まれ、リラックス気分も備わります。チラリとお腹を見せるヘルシーな着こなしは2022年春夏シーズンのトレンドコーデに浮上しています。

懐かしくて新しい「ニューレトロ」ファッションに注目!

「Another Day in Paradise」をテーマにバーチャル逃避行に誘うかのようなスタイリング ANNA SUI 2022年春夏NYコレクション
「Another Day in Paradise」をテーマにバーチャル逃避行に誘うかのようなスタイリング ANNA SUI 2022年春夏NYコレクション写真:IMAXtree/アフロ

テレビアニメの『サザエさん』に出てくるような、ソックスを穿いて、つっかけサンダルを履くという足元コーデは、いかにも昭和風。でも、ニューヨークブランド「ANNA SUI(アナ スイ)」2022年春夏コレクションのようにカラフルに取り入れると、ぐっと今っぽいムードに様変わりします。

ヘッドスカーフや花柄、くすみトーンなど、「昭和レトロ」と共通する要素を盛り込みながら、Z世代を意識した若々しさや、「ポスト・コロナ」を見据えたポジティブ感もしっかり打ち出されています。

スカーフ、大きな襟、花柄ワンピース、カーディガン、ベレー帽、ソックスなどのレトロアイテムを着こなしに取り入れることによって、タイムレスな印象をまとえるのに加え、気持ちが落ち着く効果も期待できそう。盛り上がる古着ブームにもなじみます。がんばり過ぎないおしゃれにも通じる「昭和レトロ」の着こなしはさらに関心が高まっていきそうです。

(関連サイト)

『カムカムエヴリバディ』

『サザエさん』

KEITA MARUYAMA

ANNA SUI

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ファッションジャーナリスト/ファッションディレクター

多彩なメディアでコレクショントレンド情報をはじめ、着こなし解説、スタイリング指南などを幅広く発信。複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積み、バイヤー、プレスも経験。自らのテレビ通販ブランドもプロデュース。2014年から「毎日ファッション大賞」推薦委員を経て、22年から同選考委員に。著書に『おしゃれの近道』(学研パブリッシング)ほか。野菜好きが高じて野菜ソムリエ資格を取得。

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