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台風17号 上陸の恐れ 懸念される大雨と竜巻

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
3日(火)昼の雨と風(矢印)の様子。九州の南西海上で渦を巻くのが台風17号。

台風17号が、東シナ海を北上中です。早ければ4日(水)にも九州にかなり接近、上陸する恐れもあります。

今回の台風は、なかなか上空の風に乗れず、動きが遅いのが特徴です。自転車でスピードが落ちるとふらつきやすくなるように、台風も動きが遅いとコースがぶれやすくなります。そのため、北上のタイミングが遅れて、影響が長引く可能性もあります。

台風が引き起こす竜巻

台風は、様々な激しい現象を引き起こしますが、その中には竜巻も含まれます。

国内で発生する竜巻のうち、2~3割は台風が関係しています。最近では、台風の接近時に、2012年6月に沖縄県の南大東村や、2011年9月にさいたま市で竜巻が発生。2006年9月には宮崎県で、列車が横転するような強い竜巻が発生しています。

台風による竜巻は、台風中心の北東側で特に多く発生しています。積乱雲が発達するエネルギーとなる高温多湿の空気が流れ込んでいることが多く、また、スーパーセル(巨大積乱雲)を回転させるような上下の風の差があるためです。

もちろん、確率的には竜巻が起こらないことのほうが多く、一地点で見ると数千年~1万年に一度というような確率ですが、雷を伴うような積乱雲の下では、竜巻が起こってもおかしくないという認識が必要です。

雨が長引き、大雨の恐れも

そして、竜巻よりはるかに高い確率で起こるのが大雨です。今回は、台風の動きが遅いため雨が長引く恐れがあります。

本州付近には秋雨前線が停滞。台風周辺から大量の水蒸気が流れ込むことで、今週後半にかけて、九州~東北の広範囲で、次々と活発な雨雲が発生します。晴れていても、急な激しい雨に油断できません。

台風+秋雨前線の組み合わせは、一日だけでも危険な大雨のパターンですが、それが長期間続くことで、災害のリスクがどんどん高まります。台風がどこまで勢力を保てるか次第ですが、今回は持久戦も覚悟する必要がありそうです。

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気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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