【豊洲市場移転問題】水産仲卸「総代の会」意向調査で「築地にとどまり改修・再生」が半数

築地市場(中央区)水産仲卸の東京魚市場卸協同組合(東卸=早山豊理事長)の組合員を代表する総代の会が7月12日、移転問題の意向調査を行ったところ、総代の半数は「築地にとどまり改修・再生」を望んでいることがわかった。小池百合子都知事が都議選前に公表した基本方針の「5年後に築地へ戻る」案への支持を含めると、少なくとも全体の7割近い総代が「築地での業務」の意思を示したことになる。一方で、「豊洲移転(築地に戻らない)」案支持は、全体の6%にとどまった。

総代の私的な会の調査とはいえ、半数が築地にとどまる意思を表明したことで、小池知事が進めようとしている基本方針は、今後、難航が予想されそうだ。

意向調査を行ったのは、東卸の総代85人のうち大半の80人が参加する総代勉強会「泰然会」。12日、会に参加する総代各位に無記名方式のアンケート用紙を配布し、14日に回収、集計して、15日には会員に報告した。

その集計結果によると、回収できた75人(未回収5人)のうち、最も多かったのは、「築地にとどまり、改修・再生する案」で、42人(56%)に上った。総代全体(85人)の中でも、半数を占める割合だ。

また、「(小池都知事の指針である)豊洲に一時期(4・5年~5年)移転し、オリンピック後再生し、築地へ戻る)」案には16人(21%)が支持したものの、そのうち8人は「確実に築地に戻れること」などの確約を求める「条件付き」であった。

これらを合わせると、築地での業務を求めている総代は58人(77%)に上り、全体の中でも7割弱を占めた。

次に多かったのが、「白紙」の12人(16%)。「現時点の情報では判断できない」「大物業会の意見を聞いてから判断したい」などを理由に挙げるなど、「白紙の中にも、築地を希望する人がいる」(泰然会関係者)という。

「豊洲移転する案」には、5人(7%)が〇を付けた。

総代は、東卸の組合員5人以上の推薦によって1人が選ばれる。現在の東卸理事会を構成する29人の理事も、総代3人の推薦によって選出されている。

「我々総代の後ろには400人以上の組合員が付いているわけで、理事会にも影響力を与える立場にあります。東卸執行部は、2月頃から意向調査を“やる”“やる”と言いながら動こうとしないので、我々が率先して意思を示して認識を持たなければいけない。今後は、東卸として調査することになるだろう。皆がどう考えているのか、知ることができただけでも良かったという感想が多かったです」(泰然会関係者)

東卸執行部は、都議選期間中の6月29日に会見を開いて、小池知事に説明会の開催を求める要望書を提出したことを明らかにしている。

小池知事は都議選前の6月20日、昨年11月に示したロードマップを前倒しする形で市場移転問題の基本方針を発表したものの、具体的な説明が不十分なために、市場の現場で働く人たちの間では「何から手を付ければいいのかわからない」といった不安に広く覆われている。

ロードマップによれば、今後、都の環境アセスの審議会で、盛り土に替わる追加対策などの環境への影響を審議して、知事が「総合的判断」を下すことになっている。

14日には、豊洲市場の汚染問題を10年以上にわたって調査してきた畑明郎・元大坂市立大学大学院教授や一級建築士の水谷和子氏ら専門家4人が、専門家会議が提案した追加対策は「汚染物質の実態を把握しない拙速、無謀な策」「どれも試行錯誤な対策で、無駄な出費を強いる可能性が高い」として、小池知事に再考を求める申し入れを行った。

こうした環境に加えて、総代全体の半数が「築地にとどまって改修・再生」の意向を示している中で、小池知事が基本方針にのっとって進めていく場合、どう自らが丁寧に説明して理解を求めていくのかを考えると、現状では「豊洲移転」へのハードルは非常に高い。

17日には「築地には何度も足を運ぶ」と市場の業者たちの前で約束するなど、これまでの歴代知事との姿勢の違いを見せているものの、市場の求める「安全宣言」を出せる見通しはまったく立たず、合意形成を軽視してきた従来の都政への不信感も根強く残る中で、どこまで業者たちに納得してもらえるのか、これからが大きな正念場となるだろう。