教員免許更新制の廃止が話題となったのは、中教審の教員免許更新制小委員会で制度の廃止も検討されていることが明らかになったからだった。文科省の調査でも廃止を希望する教員が多いという結果がでているが、萩生田文科相は「廃止」を口にしない。

|教員免許更新制は廃止がテーマだったはず

 教員免許更新制小委員会のとりまとめ役である加治佐哲也・兵庫教育大学長が、小委員会で制度の廃止も検討していることを明らかにしたのは、今年5月24日に開かれた小委員会の第2回会合後のことだった。

 そして7月5日に第3回会合が開かれたが、そこで教員免許更新講習をめぐる現場教員へのアンケート調査の結果を文科省が報告している。その調査結果で制度の廃止を求める教員の声が多かったことを、各マスコミも伝えている。

 こうした声を尊重するなら、制度そのものの廃止が大きな検討課題にならなければならない。しかし文科省としては、「単純な廃止」にはしたくないようだ。

 小委員会で調査結果が示された翌日の7月6日、定例記者会見で萩生田光一文科相は、「今回の調査結果は、教員免許更新制に負担感や不満を感じている教師の方が相当数いらっしゃるという状況を反映しているのではないかと思います」と教員の不満を認めている。ただし、その教員の不満と制度の廃止を結びつけようとはしない。

 萩生田文科相は、「ミスマッチがよく浮き彫りになった結果じゃないかと思っています」と続けている。調査結果では、教員免許制更新のための講義には満足の声も多い一方で現場でのスキルと関係性がないものもあるとの不満もあるという「ミスマッチ」があることが分かった、と述べているのだ。しかし、「廃止」を求める声があることには、まったく触れていない。

|廃止をテーマにしたくない文科相と文科省

 その姿勢は、文科省が小委員会で示した調査にも表れている。調査には、講習を選ぶにあたって重視する点、希望する講習の受講状況、希望する受講方法、受講した内容の満足度、最新の知識・技能を修得できる内容であったか、講習が現在の教育現場で役に立っているか、といった質問項目が並んでいる。こうした質問なのだから、萩生田文科相が調査の結果から「ミスマッチ」とコメントすることになったといえる。そういう内容を訊いているのだ。

 制度の廃止そのものを、ストレートに問うている質問はない。問うつもりはなかった、ともいえる。だから、萩生田文科相も廃止には触れなかったのかもしれない。にもかかわらず、なぜ、「廃止を求める教員の声が多かった」と報じられたのだろうか。

 廃止を求める教員の声は、質問項目の最後にある「自由意見」のところで述べられている。訊かれたわけではなくて、「自由な意見を述べろ」と言われて教員が答えたものなのだ。

 だから、さまざまな意見がでてきて当然でもある。バラバラでまとまりのない結果になったとしても致し方ない。

 それにもかかわらず、数の多さで第1位となっている回答には全回答者の50.4%が集中している。「自由に」と言われたにもかかわらず、半数以上が同じことを答えたことになる。

 それが、「制度自体を廃止すべき・免許更新制度に意義を感じない」というものだ。廃止を求めているのだ。

 意図していなかったとはいえ、その結果については、もっと尊重してしかるべきである。しかし、萩生田文科相は無視した。

 調査の質問項目、そして文科相の発言からも、教員免許更新制を「廃止するかどうか」を文科省は考えていないようだ。それでも文科相と文科省が教員免許更新制の「改善」に執着するのは、さらに教員を管理できる内容へと教員免許更新制を「改善」したいからではないだろうか。