35人でも「密」になる教室の現実を菅首相も自分自身の目で見てみてはいかがだろうか

(写真:アフロ)

 2月15日の衆院予算委員会で菅義偉首相が中学校の35人学級について言及し、「初めて」と注目されている。しかし、「飛んできた矢をかわした」だけの印象が強い。

■36人でもぎゅうぎゅう詰めの教室の現状

 菅首相の発言は、畑野君枝議員(共産)の質問に答えたものだった。畑野議員は、『教育新聞』(Web版 2月15日付)によれば、次のように質問している。

「小学校の35人学級の動きは評価できるが、世界の流れは30人学級や20人程度の学級になっている。小学校にとどまらず、中学校でも進めるべきではないか」

 これに対して菅首相は、「(小学校の)35人学級を実施するなかで、少人数学級の教育に与える影響や外部人材の活用について検証を行ったうえで、その結果も踏まえて、望ましい指導体制の在り方についてしっかり検討したい」と述べている。

 この発言について、『教育新聞』の記事は「菅首相が中学校の35人学級の検討に言及したのは初めて」と書き、同日の『日テレNEWS24』も「今後、検討する考えを初めて示しました」と報じている。こうした報道だけをみると首相発言が画期的であるかのような印象でもあるが、中学校での35人学級導入の検討についてはすでに萩生田光一文科相が何度も繰り返し述べている。

 菅首相の発言は、これまでの萩生田文科相の発言から一歩も踏み出していない。首相が発言したことで「重み」は違うのかもしれないが、にわかに中学校の35人学級導入が現実味を帯びてきたわけでもない。30人学級や20人学級に菅首相が理解を示したというなら大きなニュースだとおもうが、「検討」を口にしただけでは、飛んできた矢をかわしたとの印象でしかない。

 その菅首相の答弁があった日、筆者はたまたまある公立中学校を訪問していた。いくつかの教室の授業も拝見させてもらったのだが、最初に感じたのが「ぎゅうぎゅう詰め」だった。

 狭い教室に生徒が詰め込まれている、という印象をもったのだ。生徒同士の前後左右の間隔も狭く、教室には余裕の空間はほぼない状態でしかない。

 まだ35人学級が実現していないからなのかとおもい、生徒の数をかぞえてみた。すると、36人だった。これでは、中学校での35人学級が実現したところで「ぎゅうぎゅう詰め」は解消しないことになる。

 物理的な問題だけでなく、指導にとっても大きな問題があることは一目瞭然である。黒板を背にした教員が一人語りですすめていく従来の講義型授業ならいざしらず、この学校では教員が対話的な授業を心がけているようだったが、1人の教員が30人以上の生徒を相手に対話的な授業をやることには無理があるのは一目瞭然である。

 国会で「飛んできた矢をかわす」だけの答弁をするくらいなら、中学校の教室の現状を菅首相も自分の目で見てみてはいかがだろうか。学校現場や子どもたちを第一に考えるなら、「検討」などと言っていられない状態であることをひと目で理解できるのではないだろうか。