これが経団連の狙いだったのか!就活ルール見直し

(写真:ロイター/アフロ)

 9月21日、政府は現在の大学2年生が対象となる2021年春入社の就職・採用活動について、会社説明会などを大学3年の3月、面接などの選考活動4年の6月に解禁する現行ルールを継続する方針を固めた。

 経団連(日本経済団体連合会)の中西宏明会長が「経団連が採用日程を采配することに違和感を覚える」として、経団連が主導している選考解禁6月という就活ルールを見直す姿勢を示したのは9月3日のことだった。この経団連による就活ルールは、当然ながら経団連の会員企業に対してしか拘束力をもたない。

 経団連会員以外の中小企業、外資企業は、このルールに縛られることなく、経団連会員である大手企業が選考活動を始める前に、採用を決めることができるのだ。とはいえ大手志向の強い学生が多いため、せっかく中小企業が内定をだしても、大手から内定をもらったとたんに簡単に採用を辞退するケースは少なくなかった。大手企業としては、経団連が定めたルールのなかで、安心して大手同士だけで競争していればよかったのだ。

 しかし、学生の大手志向にも変化があらわれてきているようだ。「入社して3年以内の退職」が普通といわれる状況が強まる傾向のなかで、「働きがい」を求める学生が多くなっており、彼らには「就職先は中小企業でもいい」といった意識が生まれつつある。

 これは、中小企業に遅れて選考活動を始めなければならない大手企業には不利となる状況だ。経団連の就活ルールを遵守していれば、優秀な人材を採用できなくなってしまう。

 だから、経団連の中西会長の見直し発言があった。ただしルールがなくなると、競争は激しくなる。大手企業も中小企業も入り乱れての競争となり、過剰な「青田刈り」が行われる懸念も強まる。採用には人手も予算もいっそう割かなくてはならなくなり、大手企業としても負担が増す。

 そして、今回の政府方針だ。中西会長の発言から、たいして間もないことで、政府としては迅速すぎる対応である。

 経団連ではなく政府の決めるルールなので、守らなければならないのは大手企業ばかりではない。政府は対象を、中小企業やベンチャー企業、外資系企業にまで広げる方針のようだ。つまり、日本中の企業が、経団連の会員企業と同じルールのなかで採用活動をしなければならないことになる。

 大手企業にしてみれば、これほど都合のいいことはない。経団連会長の先の発言も、こうした流れの布石と考えれば腑に落ちる。政府は、あいかわらず経団連会員である大手企業の味方らしい。