スカイマークとJAL(日本航空)とのコードシェア(共同運行)を柱とする業務提携方針をつぶしたのは太田昭宏国交相、という認識がメディア関係者のあいだでは定着している。今後のスカイマーク再建の動きは航空運賃全体にも大きく影響を与えそうな雲行きであり、そうなれば、太田国交相への風当たりも強くなっていく可能性がある。

昨年、スカイマークとJALの業務提携話が浮上し、当時の西久保慎一社長も前向きな姿勢を示していたものの、11月25日の会見で太田国交相が「(業務提携の認可に当たっては)健全な競争確保の観点から厳しく判断する」と語気を強めたことが反対の姿勢と受けとられ、JALとの業務提携話は消えてしまった。この発言を最近になって太田国交相は否定しているといわれているが、「提携話をつぶした張本人」という認識は消えていない。

JALとの業務提携が実現していれば、民事再生法の適用を受ける事態は避けられたのではないかという見方もあるのだが、スカイマークの状況がそう簡単ではなかったのも事実だ。ただしJALとの提携が消えた現在、スカイマーク再建の動き次第で、今後の航空運賃に与える影響が懸念されている。

というのも、JALに代わって業務提携を打診しているのがANA(全日空)であり、これが実現すれば、羽田発着の新興航空会社へのANAの影響力は強まり、それによって運賃全体に強力な支配権を握ると考えられるからである。現在、羽田の発着枠を持つ新興航空会社はスカイマークをはじめ、スカイネットアジア、エア・ドゥ、スターフライヤーがあるが、スカイマークをのぞけば、すべてがANA傘下なのだ。つまり、スカイマークもANA傘下になってしまえば、羽田発着枠を持つ新興航空会社のすべてにANAは影響力を持つことになる。

新興航空会社を保護するため、大手航空会社は進行航空会社と同一の路線で新興航空会社の航空運賃を下回ってはならない、という決まりがある。新興航空会社が値上げしてくれば、それを下回らないように大手航空会社も値上げしなければならない構造になっているわけだ。

大手航空会社が値上げしたいなら、まずは新興航空会社に値上げさせておいて、それを下回らないという理由で値上げすれば、合法的に値上げが実現できるのだ。そうした動きに歯止めをかけていた存在がスカイマークであり、中立のスカイマークの航空運賃はJALやANAなど大手航空会社の意向に沿う必要はなかったのだが、業務提携なりで大手航空会社の影響がおよぶとなると、中立の立場ではいられなくなる。

すでに新興航空会社に強力な影響を持つANAではなくJALの陣営になれば、まだしも、ある程度の競争力が働く構造を守れたのかもしれない。しかしANA陣営に入るとなれば、実際にやるかどうかは別にして、運賃低下による体力消耗を避けるために、新興航空会社を利用して低下に歯止めをかけるか、もしくは値上げの方向にもっていくことも可能になる。

実際にANAがそうした動きを示して、航空運賃が下がらない、もしくは上昇する傾向が強まることになれば、まちがいなく消費者の不満が高まることになる。そうなると、そうした構造をつくるきっかけをつくった太田国交相の責任を、メディアが蒸し返してくるのはまちがいないとおもわれる。