日本株式会社がブラック企業化する危機だ
甘利明経済再生担当相が、「新しい働き方」という言葉を使った。しかし、新しいどころか旧来の働き方に拍車をかける、という意味でしかないようだ。
6月29日、甘利氏は、「経済の好循環実現のため政府、経済界、労働界の3者が話し合う政労使会議について、『(労働生産性を高めるといった)新しい働き方を理解する、そういう場になれば、開催してもいいのでは』と述べた」(『SankeiBiz』6月29日付)という。
この記事では、甘利氏の「新しい働き方」の前にカッコつきで「労働生産性を高めるといった」と書かれている。こういう書き方では、甘利氏が直接に発言したということではない。そのときの話の流れで、そのように記者が判断したということだ。
甘利氏の言う「新しい働き方」が「労働生産性を高める」という意味であれば、働く側としては危機をもつべきである。なぜなら労働生産性を極めていけば、働く側に無理がくる可能性が高いからだ。
資本の論理による労働生産性向上とは、少ない労働力で大きな成果を追求することである。簡単に言えば、少ない賃金でたくさん働かせて、資本側が大きな利潤を得られるようにするということだ。これでは、問題になっているブラック企業化を強化することにしかならない。
甘利氏が労働生産性を高める新しい働き方を求めているとすれば、政府がブラック企業化を煽ろうとしていることになる。いま必要とされているのは、働く側に立った新しい働き方である。労働を奴隷化しない働き方を考えるときがきている。
甘利氏に発言に、働く側は危機感をもつべきである。