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経団連会長の一言に経団連と政府の関係が表れていた

前屋毅フリージャーナリスト

あれっ、とおもった。

年収1000万円以上の労働者を対象に時間ではなく成果で賃金を決める制度の創設を、政府は新たな成長戦略の素案に盛り込んだ。それについて経団連(日本経済団体連合会)の榊原定征会長が、記者団にコメントしている。

時事通信は16日付で、「どこまで対象職種を広げるか監視したい」と榊原会長が述べたと伝えている。そして同日のTBS動画ニュースサイトは、「非常に画期的な制度だと思います。問題はどこまで対象職種を広げるか、それについては今後しっかり監視をしていきたい」と語ったと報じた。

微妙に表現が違うが、それはさておいて、榊原会長が「監視」という表現を使ったことは一致しているので、事実なのだろう。「期待する」とか「お願いしたい」ではなく、「監視」なのだ。これが、ひっかかる。

監視とは、『大辞林』(三省堂)には「不都合な事の起こらぬように見張ること」とある。そして、「沿岸を監視する」「厳しい監視のもとにおかれる」といったぐあいに使う。

つまり「監視」とは、監督している側からの視線なのだ。経団連会長にとって政府は、監督する対象であり、経団連の意志に従って動くプレーヤーという認識らしい。

安倍晋三政権がやろうとしている新しい成長戦略は、経団連から監視されて、経団連に都合のいいことを実行することなのかもしれない。それが、国民の幸せにつながることならいいのだが、どうも逆行するところも多いようだ。

経団連に監視されている立場に、安倍政権は満足しているのだろうか。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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