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株価急落の原因、ここを見逃してはいけない

前屋毅フリージャーナリスト

■株価を動かしている正体

日経平均株価が1万3000円を切り、為替も1ドル=100円を切っている。「意外にもたなかったアベノミクス」ということだが、もともとアベノミクスとは「期待感」だけだったのだから、この状況も不思議ではない。

6月7日付の『日本経済新聞』(電子版)は、「1ドル=97円台前半に円高・ドル安が進んだことから、業績期待の後退した主力の輸出株に売りが先行した」と株価急落の理由を説明している。円高が株価急落の原因、というわけだ。

しかし、そうした見方だけでは、今後の株価の行方を見誤ることになるかもしれない。株価急落の原因として、もっと注目すべき動きがあるからだ。

『日本経済新聞』(電子版)は、円高が株価急落の原因とする記事を掲載する前日、6日付で「海外投資家、日本株2週連続売り越し 取引なお活発」という見出しの記事を載せている。その記事は、財務省が6日に発表した対外及び対内証券売買契約等の状況(週間・指定報告機関ベース)によれば「5月26日~6月1日の海外投資家による日本株への投資は2週連続で売り越しとなった」と伝えている。

海外投資家が日本株を買う額より売った額のほうが多かった、というのだ。売りが買いを上まわれば、当然、株価は下がる。株価急落の背景には、こうした海外投資家の動きが関係しているとおもわれる。

■海外投資家にチャンスをあたえたアベノミクス

アベノミクスを「錦の御旗」に株価が上がりはじめたころ、「アベノミクスの何が評価されて株価が上がっているのか?」と大手証券会社の幹部に訊ねたことがある。戻ってきた答は、「わからない」だった。

大胆な金融緩和に踏み切った安倍政権だが、その効果が長続きするはずもなく、株価に影響をあたえるのは確実な効果が期待できる具体的な経済政策でしかない。それがはっきりしないうちから株価は上がりはじめたのだから、プロである大手証券会社幹部も説明に窮したのだろう。

そして、「しかし、これだけ大きな資金が海外から流れこんできているのは、すごいことですよ」と大手証券会社幹部は付け加えた。日本の株価を押し上げている正体が海外投資家であることを、すでに承知していたのだ。

その海外投資家が引けば、当然ながら株価は下がる。しかも、急激に上げた株価のなかで、彼らは確実に儲けたにちがいない。

株価が動けば、投資家は儲けるチャンスをつかめる。わけはわからないが株を踊らせることだけには効果のあったアベノミクスは、海外投資家に絶好のチャンスをあたえたのだろう。そのアベノミクスは、これからホンモノになるのだろうか。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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