新型コロナと脳梗塞・心筋梗塞 コロナが軽症であっても最大4ヶ月脳梗塞のリスクが高くなるという報告

(写真:PantherMedia/イメージマート)

新型コロナに感染した場合、心筋梗塞や脳梗塞などの塞栓症が増加することが知られていますが、この塞栓症リスクの影響がこれまで考えられていたよりも長期間続くことが分かってきました。

新型コロナでは凝固異常が生じる

新型コロナ感染時の凝固系の経路(https://doi.org/10.1161/JAHA.120.019650より)
新型コロナ感染時の凝固系の経路(https://doi.org/10.1161/JAHA.120.019650より)

新型コロナに感染すると、過剰な炎症反応に伴い血管内で凝固異常が生じることによって血管が閉塞し、

・肺塞栓

・心筋梗塞

・脳梗塞

・深部静脈血栓症

などが生じることが知られています。

新型コロナの流行初期に多くの新型コロナ患者が報告されていたニューヨーク市では、30代〜40代の脳梗塞患者や、若い世代の心筋梗塞が急増していることが注目されていました。

その後、新型コロナに感染することで心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることが複数の研究によって明らかになっています。

他の感染症でも、例えばインフルエンザと診断されて7日以内に心筋梗塞を発症するリスクが6倍になるとされています。

新型コロナでも、感染症の急性期(熱や咳などの症状がみられる時期)の間だけ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなると考えられていました。

無症状または軽症コロナであっても回復後に脳梗塞と診断

シンガポールから、新型コロナと診断され数ヶ月経過した後に脳梗塞と診断された18人についての報告がJAMA Network Open誌に掲載されました。

18名は全員男性であり、新型コロナと診断された際には17人が無症状、1人が下痢のみの軽症だったとのことです。

18名の年齢の中央値は41歳と、一般的な脳梗塞を起こす年齢(70歳前後)よりもずっと低くなっています。

新型コロナと診断されてから脳梗塞を発症するまでの期間は中央値で54.5日で、最大130日後に発症した人もいます。

つまり新型コロナと診断された後最大4ヶ月程度は、脳梗塞のリスクが高くなる可能性が示唆されます。

同じ年齢、性別、人種において脳梗塞を発症するリスクは10万人当たり38.2人ですが、新型コロナ感染後数ヶ月はそのリスクが2.16倍高くなると試算されています。

この報告の重要な点として、

・新型コロナは無症状、軽症であっても脳梗塞リスクは高くなる

・新型コロナによる脳梗塞のリスクは診断後数ヶ月続く

が挙げられます。

無症状、軽症であっても後遺症が8ヶ月以上続く、という別の報告も出ており、新型コロナに罹ったときの重症度だけでなく、その後の長期的な影響も含めて考えた上で、新型コロナに感染した場合のリスクを捉える必要があります。

現時点では、これらの脳梗塞や後遺症を防ぐためには、新型コロナそのものの感染を防ぐしかありません。

特に現状のように新型コロナ患者が急増しており、一部の地域で緊急事態宣言が発令されているような状況下においては、

・できる限り外出を控える

・屋内ではマスクを装着する

・3密を避ける

・こまめに手洗いをする

といった基本的な感染対策をより一層遵守するようにしましょう。

手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作成)
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