小児と新型コロナ 重症化しないから安心ってホント?

(写真:アフロ)

新型コロナウイルス感染症の国内での流行が続いています。

小児は国内では感染者数が少なく、重症化が少ないと言われています。

小児は新型コロナに感染しても本当に問題ないのでしょうか?

小児の新型コロナ感染者は少ない

中国での約45000人の感染者の年齢分布(中国CDCのデータより)
中国での約45000人の感染者の年齢分布(中国CDCのデータより)

こちらは中国での約45000人のデータから見た新型コロナ患者の年齢分布です。

20歳未満の患者が明らかに少ないことがおわかりいただけるかと思います。

「そうか・・・中国の一人っ子政策もついにここに極まったか・・・」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

中国の人口分布と中国での新型コロナ感染者の年齢分布との比較(中国CDCのデータより筆者作成)
中国の人口分布と中国での新型コロナ感染者の年齢分布との比較(中国CDCのデータより筆者作成)

中国の人口分布を見ると、20歳未満の人口もそれなりにいることが分かります。

しかし、一方で感染者は圧倒的に少ない・・・。

この傾向は中国だけではありません。

日本での新型コロナ感染者の年齢分布(厚生労働省4月17日発表資料より)
日本での新型コロナ感染者の年齢分布(厚生労働省4月17日発表資料より)

日本での感染者の年齢分布が厚生労働省から発表されています。

これを見てもやはり小児の感染者が少ないことが分かります。

確かに日本は少子化が進んでいますが、それにしても圧倒的な少なさです。

これは、小児では感染しないわけではなく、感染しても軽症で済むために大半の症例が見逃されていることが原因であると考えられます。

小児は大半が軽症例である

アメリカでの新型コロナ患者の年齢別に見た入院者数、集中治療室入室者数、死亡者数とその頻度(CDCのデータを元に筆者翻訳)
アメリカでの新型コロナ患者の年齢別に見た入院者数、集中治療室入室者数、死亡者数とその頻度(CDCのデータを元に筆者翻訳)

小児では重症化する頻度が低いことが分かっています。

アメリカでの症例では、入院する症例、集中治療室に入る症例いずれも小児では稀です。

日本での新型コロナ患者の年齢分布と致死率(厚生労働省4月17日発表資料より筆者作成)
日本での新型コロナ患者の年齢分布と致死率(厚生労働省4月17日発表資料より筆者作成)

4月17日時点で、海外と同様に日本でも年齢が高くなるほど致死率も高くなっています。

私の周辺の小児感染症医からもほぼ軽症例ばかりと聞いています。

小児での新型コロナの臨床症状

小児と成人との臨床症状の比較( http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm6914e4より筆者作成)
小児と成人との臨床症状の比較( http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm6914e4より筆者作成)

小児での臨床症状も明らかになってきています。

アメリカでの新型コロナ感染者の成人と小児の臨床症状を比較した報告では、発熱、咳、息切れなどほとんどの症状の頻度が成人よりも低いようです。

つまり、成人に比べて小児は症状が乏しいことが分かります。

新型コロナウイルス感染症は、軽症であれば風邪と区別が付きません。

年齢別にみた1年間に風邪を引く回数(Lancet. 2003 Jan 4;361(9351):51-9.)
年齢別にみた1年間に風邪を引く回数(Lancet. 2003 Jan 4;361(9351):51-9.)

これは年齢別に見た「1年間に風邪を引く回数」です。

大人の方はなんとなく気づいていると思いますが、子どもから大人になるにしたがって、風邪を引く回数は減っていきます。

子どもが熱を出すことは日常茶飯事であり、新型コロナに感染したとしても「ただの風邪」として見逃されている可能性は十分あるでしょう。

重症化しないわけではない 特に乳幼児や持病のあるお子さんは注意

小児であれば新型コロナに罹っても軽症なので大丈夫、というわけではありません。

もう少し年齢を細かく見てみると、重症度の違いが分かってきます。

小児における新型コロナの年齢別の重症度の違い(Pediatrics April 2020, e20200702より筆者作成)
小児における新型コロナの年齢別の重症度の違い(Pediatrics April 2020, e20200702より筆者作成)

中国の小児例2133例の報告によると、確かに小児例の大半は軽症~中等症です。

しかし、最重症の症例もゼロではありません。

特に1歳未満の乳幼児では、重症と最重症を足した割合が1割を超えています。

10代であっても16人に1人は重症または最重症になります。

これは決して安心できる数値ではありません。

子どもであっても絶対に「感染しない方が良い」感染症であることは間違いありません。

また持病のあるお子さんは特に注意が必要です。

アメリカで新型コロナと診断された小児345症例のうち、80例(23%)には少なくとも1つの持病がありました。

最も頻度が高いのは慢性肺疾患(喘息を含む)(40人)、心血管疾患(25人)、および免疫抑制状態(10人)だったとのことです。また重症度が判明した295人小児例のうち、ICUに入室した6人の患者全員を含む37人中28人(77%)の入院患者は、1つ以上の持病を抱えていたとのことです。

入院していない258人の患者のうち、持病を持っていたのは30人(12%)だったとのことですので、やはり小児でも持病があると重症化しやすいものと考えられます。

大人も子どももやるべきことは同じ

アメリカでは小児の90%が家庭内または市中で感染しているとのことです(doi: 10.15585/mmwr.mm6914e4.)。

日本でも大人が持ち帰った新型コロナウイルスが家庭内で伝播し、子ども同士が遊ぶことで感染が広がる可能性があります。

子どもは重症化のリスクが少ないとしても、周囲に感染を広げないためにはやるべきことは大人と同じです。

新型コロナウイルス感染症が重症化しやすい人が気をつけるべきこと

・外出を控える

・こまめに手を洗う

・人との距離を保つ(2M以上)

・よく触る環境表面をこまめに消毒する

です。

正しい手洗いと咳エチケット(首相官邸HPより)
正しい手洗いと咳エチケット(首相官邸HPより)

咳やくしゃみなどの飛沫から感染することから、これらの症状のある人は周りの人にうつさないようにマスクの着用など咳エチケットを心がけましょう。

また手など触ったところからウイルスが広がり感染する可能性もあるため、こまめな手洗いを行うようにしましょう。

「子どもが咳エチケットとか手洗いとか難しいよ!」と思われる方も多いと思いますが、可能な範囲で、感染を広げないような工夫をしていきましょう。

3つの密を避けましょう(首相官邸HPより)
3つの密を避けましょう(首相官邸HPより)

新型コロナウイルス感染症は、「密閉・密集・密接」の3要素を持つ空間で広がりやすいことも分かっています。

このような「3密空間」にいる感染者は、いない感染者よりも18.7倍も他の人へ感染させやすいとのことです。

老若男女、全ての人が「3密空間」を避けることが新型コロナ対策では重要です。

特に16日以降は全国に緊急事態宣言が出されています。

家の中でも換気を良くし、適度な運動を行いながら、できるだけ外出をしないようにしましょう。

※本投稿に当たっては小児科専門医、小児感染症認定医である国立国際医療研究センター 日馬由貴先生にご助言いただきました。