那覇に続き東京でもデング熱が 広がる危険性は?

5年前に国内デング熱が流行した際の代々木公園(写真:アフロ)

東京都で国内デング熱事例

東京都は10月16日に東京都で国内で感染したと考えられるデング熱の事例について報道発表しました。

先月、那覇市からも国内感染が疑われる事例について発表がありましたが、今回の事例は海外渡航歴がないということで正真正銘の国内で感染したデング熱の事例のようです。

デング熱は蚊に吸血されることで感染する疾患です。東南アジア、南アジア、中南米、アフリカなど熱帯・亜熱帯地域を中心に流行している感染症であり、日本では輸入感染症(海外から持ち込まれる感染症)として年間約300例の患者が報告されています。デング熱は発熱、頭痛、関節痛、皮疹などの症状がみられ、通常7日程度続きますが多くの場合自然に治癒します。稀に出血症状や臓器不全などが出現し重症化するデング出血熱に進展すると命にかかわることがあり注意が必要です。

デング熱が国内で流行する原因は?

国内にはデングウイルスは常在していませんが、日本国内にはデングウイルスを媒介するヒトスジシマカという蚊が分布しており、海外でデング熱に感染した人が国内でヒトスジシマカに吸血されることによって、ヒトスジシマカがデングウイルスを増幅させ、このデングウイルスを持った蚊に吸血されると、海外渡航歴はないのにデング熱に罹るということが起こりえます。

デング熱の国内感染が起こる原因(筆者作成)
デング熱の国内感染が起こる原因(筆者作成)

今回10代の2名の方がデング熱と診断されたようですが、

・発症日から、両名の感染は同時期と考えられるが、感染したとみられる期間(発症前14日から発症前2日)に両名が行動を共にした場所は、学校と修学旅行のみ

・修学旅行では、同じ班で行動

ということで、奈良市内又は京都市内で感染したのではないか、と東京都は発表しています。

今のところ学校の関係者で他にデング熱患者は確認されていないとのことです。

奈良市内や京都市内で蚊に刺されて2~14日以内に発熱、頭痛、関節痛などの症状がみられた方はお近くの病院を受診するようにしましょう。デング熱というと発疹の症状が有名なのですが、発症してからしばらくは発疹は出ないことが多いので、発疹がないからといってデング熱でないとは言えません。

デング熱患者の皮疹(筆者撮影)
デング熱患者の皮疹(筆者撮影)

今後、都内や関西で広がる可能性は低い

東京都でデング熱というと2014年に代々木公園を中心に流行したことが思い出されます。

このときは東京都内を中心に162人のデング熱患者が発生しました。

ではこのときのようにデング熱が国内で広がる可能性はあるでしょうか?

私はその可能性は低いと考えます。理由は、媒介する蚊がすでに減ってきているからです。

2014年の東京都内における国内デング熱患者発生時期(東京都健康安全研究センター 「代々木公園を中心とした都内のデング熱国内感染事例発生について」より引用)
2014年の東京都内における国内デング熱患者発生時期(東京都健康安全研究センター 「代々木公園を中心とした都内のデング熱国内感染事例発生について」より引用)

2014年の国内デング熱の流行においても、最後に患者が発生したのは10月7日が最後です。これから蚊に刺されてデング熱を発症する可能性は高くはないと考えます。

しかし、地域によってはまだヒトスジシマカが活動をしています(私も昨日都内で蚊に刺されました)。私たちが注意すべきこととしては、奈良市内、京都市内、都内に限らず日頃から虫除けなどを使って蚊に吸血されないようにすることです。

また海外からデングウイルスを持ち込まないためにも海外旅行中、特に熱帯・亜熱帯地域では特に徹底して防蚊対策を行うようにしましょう。長袖長ズボンなどで肌の露出を出来るだけ避けるようにし、露出した部分には虫よけを塗布するようにしましょう。虫除けはディートまたはイカリジンという成分を含むものが望ましいとされます。

デング熱に一度感染したことのある人が二回目に感染すると、一度目と比較して重症化する頻度が高くなりますので、特にデング熱の既往のある方は流行地域に行く際はご注意ください。海外から帰国後に熱が出た場合は、速やかに医療機関を受診し、その際に海外に行ったことを医師に伝えるようにしましょう。