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【対談企画】「”生産性”を考えよう」井上一鷹×倉重公太朗 第2回 個人単位の生産性とは?

倉重公太朗弁護士(KKM法律事務所代表)

(第2回 個人単位の生産性)

第1回の記事はこちら

井上:僕が申し上げたいのは、僕が子どもの時、30年前からホワイトワーカーの生産性は先進国で一番下だとずっと言っているということなんですね。

倉重:そうですね。

井上:だけど、多分、日本人って、さっき言ったその製造ラインとかにいるブルーワーカーさんの生産性は世界で一番高いんですね。これ、何の差かというと、もう大好きな改善という言葉のとおりで。何を言っているかというと、昨日5秒で回していたネジをどうやったら3秒で回せるか、4秒で回せるかという定量的な階段を作ると、日本人は真面目だから勝手に改善活動をしてくれると思うんです。

倉重:なるほど。

井上:一方、ホワイトワーカーでは何が起きるかというと、昨日より今日良かったかどうか。例えば、夕方、上司に聞かれても「今日、どうだった?」って聞かれても「うん、まあ」みたいな。

倉重:すごく感覚的な話になっちゃいますよね。

井上:そうなんですよ。だからその感覚値をできるだけ何かの物差しにしてあげれば、きっかけがつかめるのは僕らだと思っていて。

倉重:なるほど。そういう着眼点ですか。

井上:なので、データを基にすると、ものすごくAIを回して「こうやったほうがいいよ」というリコメンドエンジンを作りたくなるんですけれども、そうあるべきじゃないと思っていて。物差しがあって、小さな階段が見えたら、僕らは勝手に改善を個人が試みると思うので。それのきっかけになるようなデバイスが必要だなと思って作っていますね。

倉重:例えば、それは昨日の集中度合いが60%、今日は50%だとしたら、それはどうやって10%上げようかと、そういう話ですよね。

井上:そうです。しかもどの時間帯にちゃんと集中すべきタスクを置くかとかって、すごく具体的な話に落としやすいので。

倉重:やっぱりそうやって数値化、定量化していかないとホワイトカラーの場合、特にそうですけれども、「お前、生産性を上げろよ」というのは何かすごく精神論になっちゃいますよね。

井上:正にそうです。

倉重:「お前、頑張れよ」というのと同じということですよね。

井上:そうです。根性論ばっかりなので。

倉重:それでは意味がないと。そのためにも見える化しようというのがこのデバイス、MEMEであるということだと思うんですけれども、その意味で、導入したMEMEは実際にいろんな企業とかサラリーマン個人で導入されていると思うんです。

   そこで、井上さんの目から見て、実際「あ、こんな駄目なところが分かった」とか、そういう例はありますか。

井上:個人のほうで言うと、僕の事例で言うのが一番分かりやすいので。僕で言うと、まず1個目が、僕は自分が夜型だと思っていたんですね。

倉重:ほうほう。

井上:もともとわりと夜寄りの、夜寄りって言うと変なふうに聞こえますけれども、コンサルティングファームにいたので、もう夜中まで働いていくのが常時だったので。

倉重:コンサルの方はみんなそうですもんね。

井上:夜働くのを是としてきてしまったんですけれども、測ってみたらもう全然、朝の6~8時のほうが全然集中していたんですね。

倉重:そんなに違うんですか。

井上:夜はもうずっと取っています。夜のほうもAM3時ぐらいまで取ってみたら、やっぱりもうどんどん落ちているんですよ。そうなると、やっぱりちゃんと朝の2時間を取れば夜の4時間ぐらいの価値がもしかしたらあるなと。

倉重:なるほど。倍くらい違うんですね。

井上:そういうのが集中という切り口では見えてきたので。なので、まず朝型にしていく。あともう1つがお昼ご飯ですね。お昼ご飯をドカ食いした日は2時~4時の集中はむちゃくちゃ落ちていると。

倉重:今現在、「絶賛集中力落ち中」ですね。さっき担々麺食べましたもんね(笑)

井上:そうなんです。倉重さんがお薦めの担々麺美味しかったから、もうそろそろだいぶ落ち始める頃かなと。

倉重:なるほど(笑)

対談前に食べた担々麺
対談前に食べた担々麺

井上:だからお昼ご飯を気にしています。で、もう1個が結構これは皆さんにも通ずると思うんですけれども、寝る前スマホをした日としていない日、もう次の日の集中はだいぶ違います。これは本当に実際皆さんに測っていただくと分かるんですが、これは映像じゃないんで伝わりにくいですけれども、寝る前スマホをやるのって、僕は、実は眼鏡屋なのにコンタクトレンズをしていますと。

倉重:ええっ!?コンタクトなんですか!?メガネ屋なのに!?

井上:うちのJINSはコンタクトレンズもやっているんです。

倉重:そういうことですか。

井上:コンタクトレンズを当然外して夜ベッドに入るので。そうすると目があんまり見えないので、かなり近い位置にスマホを置くんですね。スマホはそもそもブルーライトという青い光が多いので、昼の空って青くて夕方は赤いじゃないですか。青という光は動物に対して「昼だ」と勘違いさせる光なんですよ。

倉重:なるほど!

井上:それが近くにあって、しかも最悪なことに周り部屋が暗いので、瞳孔が開いているんですよ。なので、瞳孔が開いて一番ブルーライトが近くでガンガン来ているんですね。

なので、真っ昼間だと勘違いして、メラトニンという睡眠導入ホルモンが出ないというのが研究結果であるんです。

 そして、実際に測ってみると、寝る前スマホをやった次の日は駄目なんだというデータが出ています。

倉重:それはもう集中度合いが数値で出ちゃっているんですね。

井上:そうです。もうこれは人によるんで、時間軸は本当に人によってどこが集中できるかが違うので、朝型が絶対いいという話じゃないですけれども、僕でいうと朝型に振り、昼はご飯を考えて低GIの血糖値をぐっと上げないようなものを食べ、夜寝る前はスマホをちゃんと離しておくことが大事ですね。

倉重:私も寝る前にネットの某掲示板とか見たりするんですけれども、それは駄目だということですね。

井上:もう最悪ですよ。

倉重:最悪なんですね…

井上:やっぱりスマホだと内容的にも興奮するような材料のものを見たくなるじゃないですか。それも明らかに交感神経を優位にして。

倉重:なるほど。睡眠が浅くなるんですね。(第3回へつづく)

【対談協力】井上一鷹

JINS JINS MEME事業部 事業統括リーダー Think Lab兼任

大学卒業後、戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトルにて大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事後、ジンズに入社。JINS MEME Gr マネジャー、Think Labプロジェクト兼任。算数オリンピックではアジア4位になったこともある。最近「集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方」を執筆

弁護士(KKM法律事務所代表)

慶應義塾大学経済学部卒業後司法試験合格、オリック東京法律事務所、安西法律事務所を経てKKM法律事務所 第一東京弁護士会労働法制委員会外国法部会副部会長、日本人材マネジメント協会(JSHRM)理事 経営者側労働法を得意とし、週刊東洋経済「法務部員が選ぶ弁護士ランキング」 人事労務部門第1位 労働審判等労働紛争案件対応、団体交渉、労災対応を得意分野とし、働き方改革のコンサルティング、役員・管理職研修、人事担当者向けセミナー等を多数開催。代表著作は「企業労働法実務入門」シリーズ(日本リーダーズ協会)。 YouTubeも配信中:https://www.youtube.com/@KKMLawOffice

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