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2023年の金融市場を振り返る、10~12月

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

10月

 10月7日、パレスチナ暫定自治区のガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが突如、イスラエルへの攻撃を開始。

 全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は10日、銀行間送金システム「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」に障害が発生したと発表。全銀システムの対外的な影響のある障害は1973年の稼働以来、初めて。

 米10年債利回りは現地時間の19日の夕方に5%を16年ぶりに付けた。現地時間23日早朝の取引で一時5.02%と2007年7月以来の水準に上昇した。

 25日のニューヨーク市場でドル円は一時150円32銭と2022年10月以来の水準を付けた。

 日銀は10月31日の金融政策決定会合で、金融政策の方向を変えることはせず、イールドカーブ・コントロールの柔軟化を行った。長期金利の目標を引き続きゼロ%程度としつつ、その上限の目途を前回の0.5%から1.0%に引き上げて「目途」とした。

11月

 1日に10年国債の利回りは0.970%と2013年5月以来、約10年5か月ぶりの水準に上昇した。

 FRBは1日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いた。2022年3月のゼロ金利解除後で初めて2会合連続で利上げを見送った。

 プロ野球、日本シリーズの第7戦が5日夜、大阪市の京セラドーム大阪で行われ、阪神がオリックスに7対1で勝って対戦成績を4勝3敗とし、1985年以来となる38年ぶり2回目の日本一に輝いた。

 個人向け国債の利率が3年固定と5年固定が2011年以来、10年変動初期利子は2012年4月以来の水準に。

 ドル円は13日に一時151円92銭と昨年付けた151円94銭に接近した。

12月

 日銀は1日、「債券市場サーベイ・特別調査」として過去25年間の債券市場の機能への評価を問うた調査の結果を公表。

 6日の氷見野日銀副総裁の講演では出口を意識した発言が。

 日銀の植田和男総裁は7日の参院財政金融委員会で、年末から来年にかけて「一段とチャレンジングになる」と述べた。

 ブルームバーグは11日の夕方に「マイナス金利解除、日銀は今月急ぐ必要ほとんどないとの認識-関係者」との記事を掲載。

 12日から13日に掛けて開催されたFOMCで、政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.50%のままとして、政策金利を3会合連続で据え置いた。。

 ECBは14日の政策理事会で、政策金利を2会合連続で据え置くと決めた。ECBは主要政策金利を4.5%、銀行が中銀に預ける際の中銀預金金利を4.0%で据え置く。

 イングランド銀行は14日の金融政策委員会(MPC)にて、3会合連続で政策金利を5.25%に維持することを決定。

 経団連の十倉会長は18日の記者会見で、日銀ができるだけ早期にマイナス金利政策の解除など金融政策の正常化に動くべきだという考えを示した。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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