デジタル円はパイロット実験に移行か
日銀が「デジタル円」の発行に向け、3メガバンクや地銀と実証実験を行う調整に入った。2023年春から民間銀行などと協力し、銀行口座での入出金といったやりとりに支障がないか検証する。災害時などを想定し、インターネットの届かない環境でも稼働するか確かめる。2年間ほど実験を進め、2026年にも発行の可否を判断する考えだ(24日付日本経済新聞)。
「デジタル円」という通称となっているが、これは中央銀行デジタル通貨のひとつといえる。中央銀行デジタル通貨はCBDC(Central Bank Digital Currency)とも呼ばれている。各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨であり、法定通貨となる。
黒田東彦日銀総裁は今年1月の国会審議で、CBDCの発行に関して「個人的には2026年までに発行の可否を判断できると思う」と発言していた。ただし、デジタル円を発行する計画はないとの立場を改めて示していた。
5月に国際決済銀行(BIS)は世界の中央銀行(81行)の内、約90%がCBDCについて何らかの動きを見せていと指摘していた。
日銀は2021年4月に実証実験の第1段階を始め、基本的な機能を検証した。今年4月からは第2段階に移行し、保有額や1回当たりの取引額、付利などより複雑な機能を確認している。第2段階は今年度中に終わる予定で、順調に進めば2023年春からパイロット実験に進む。
このパイロット実験というのが、3メガバンクや地銀と実証実験となる。政府は骨太の方針で、パイロット実験の実験検討を日銀に求めていた。
インターネットの届かない環境でも、どのように稼働するのか。記事等では具体的な言及はなかった。Suicaのような方式となるのか。もしインターネットの届かない環境でも稼働するとなれば、普及における大きな障害がなくなることにはなる。