3日に渡り日本の長期金利が消え、ドル円が146円台を付けたのも、原因は日銀にあり
11日の日本の債券市場で、新発10年国債の業者間取引(日本相互証券ベース)において、6日、7日に続いて成立しなかった。3営業日連続で売買未成立となるのは、1999年3月に新発10年物が指標銘柄となって以降初めてとなる。
日本の長期金利は新発10年国債の業者間取引(日本相互証券ベース)において出合った利回りで示される。つまり、3日に渡り日本の長期金利が示されなかったことになる(気配値は存在する)。
どうして新発債の出合いがなかったのか。
日銀がイールドカーブコントロールと称した政策を行っていることが原因である。長期金利をゼロ%に抑える(何のために?)。具体的には長期金利のプラスマイナス0.25%(0.25%という数値に特に意味などない)で押さえ込む。そのために0.25%で日銀は無制限に最近発行された新発の10年国債(カレントとも呼ばれる)の3銘柄を買い入れる。
しかし、欧米の長期金利の上昇を受け日本の国債利回りにも上昇圧力が強まり、超長期国債の利回り主体に上昇しており、10年債のカレント以外の国債利回りは0.25%を超えて上昇している。
それだけ10年国債カレントは割高となっている(利回りが低い=価格は高い)。このため0.25%近辺での買い手が引いてしまい、売り手は日本相互証券に売らずとも、日銀の指し値オペで売却すれば良いということになる。すでに売るための10年カレントがなくなりつつある。
長期金利が示されなくても問題はないかもしれない。しかし、これは日本の国債利回り構成が異常に歪になっていることを示す。
英国は年金絡みで行き過ぎ感はあるものの、国債が警鐘を鳴らすという炭鉱のカナリア機能を発揮しているともいえる。それを日本では日銀が無理矢理押さえ込んでいる。これは臭い物に蓋をしているということにもなり、それだけマグマが貯まりつつあるともいえる。
そして今度は円安である。
ドル円は12日に146円台に上昇し、9月22日の円買い介入前に付けた安値145円90銭を上回り、22年ぶりの水準を付けた。政府・日銀は再び介入を実施する可能性も当然あるが、特にドル売り介入には限界もある。
介入を繰り返すとそれだけ効果が薄れる。順張り、つまり円安が進んでいるときは円売りを仕掛けるといったのではなく、円安がすすんでいるとき円を買うという逆張りの介入は、その円安の原因を絶たない限りにおいて効果は一時的でしかない。
その原因が日銀のイールドカープコントロールとマイナス金利政策にある以上、それを修正しない限りはドル円の方向を無理矢理変えることは困難となる。