FRBは長期金利の2.5%を最終防衛ラインに?
ペロシ米下院議長が2日に台湾を訪問する見通しだと複数の米メディアが報じ、訪問に反対する中国との間で緊張が高まる地政学的リスクも意識され、1日の米10年債利回り(米長期金利)は2.57%に低下した。2日の東京時間では2.54%に低下した。
米長期金利は2.5%が心理的な節目とされている。中立金利についてFOMC内で多少の意見の相違はあるが、平均的には2.25%~2.5%程度と想定されている。そして先月の利上げによって政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は2.25~2.50%となっていた。ここを下回ると典型的な長短金利逆転現象となる。
これが意識されていたのかどうかはわからないが、地政学的リスクも加わって米長期金利に低下圧力が強まり相なタイミングで、FRB関係者がそれにブレーキを掛けた格好となった、
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁の発言で、同総裁は約40年ぶりの高インフレとの闘いはほぼ完了の状況から「ほど遠い」とコメント。シカゴ連銀のエバンス総裁は物価圧力抑制のため来年も利上げを続ける必要性があるとの見解を示唆した。週末にはミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が中銀目標の達成には「長い道のりがある」との認識を示した(3日付ブルームバーグ)。
セントルイス連銀のブラード総裁は2日、FRBが米経済にリセッション(景気後退)を引き起こさずに高インフレを抑制できるとの認識を示していた。「政策金利の急速な引き上げと量的引き締めの開始で対応している」と説明していた(3日付ブルームバーグ)。
クリーブランド連銀のメスター総裁は、インフレの制御が「健全な経済の基本部分」であるため、米金融当局はそれにコミットしていると述べた(3日付ブルームバーグ)。
これにより米長期金利の2.5%割れはひとまず回避され、2.5%近辺がいったんボトムとして認識される可能性がある。