米政府がロシアをデフォルトに追い込む可能性が出てきた
米国の金融機関や個人がロシア国債の利払いを受けることを可能にしているライセンスは今月25日に失効する。米国のイエレン財務長官は10日、延長の是非について「積極的な検討」が行われていると発言。決定は近く下されるとした(12日付ブルームバーグ)。
この制裁免除措置は、ウクライナ侵攻を巡り2月に米国が対ロシア制裁を科した後に講じられたもので、これによりロシアに投資家への支払いを継続する余地を与え、同国のデフォルト回避を後押しした。
ロシア財務省は先月29日、今月4日に期限を迎えたドル建て国債の利払いと元本償還について、約6.5億ドル(約840億円)をドルで支払ったと発表。支払いの猶予期限の5月4日までに国債保有者に届き、ロシアの債務不履行(デフォルト)は回避されたのである。
ロシア財務省は先月6日に、支払いを仲介する米金融機関に「ドル払いが拒否された」として、利払いと元本償還を自国通貨ルーブルで送金したと発表していた。しかし、ロシア債を購入している米投資家などへの影響も懸念されたことで、米当局が米金融機関の関与を認め、これによりドルによる支払いが可能になった。
しかし、米財務省外国資産管理局(OFAC)は、債務返済を認める一般許可が25日の期限で失効するのを容認すると見込まれている。財務省内では許可を延長して支払いを容認し、ロシアの軍事資金低減を図るべきだとの声もあったが、ロシアに対する金融面の圧力を維持するため延長しないことが決まったと、複数の関係者が語った(18日付ブルームバーグ)。
財務省では最終的な決定を下していないとの見方もあり、ホワイトハウスやOFACの報道官はコメントを出しておらず、決定の有無ははっきりしない。
ロシアの戦争継続能力に打撃を与える上では、債券利払いで資金を減少させるよりもデフォルトに追い込む方が効果的だと指摘する専門家の声も出ていた。これはまさに政治的な判断となり、いかにしてロシアを資金的に追い込めるのかが、検討されて、その結論がロシアをデフォルトに追い込むということになった可能性が出てきた。