Yahoo!ニュース

イーロン・マスク氏が『Love Me Tender』とツイートしたのはツイッター社へのTOBを示唆か

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 米起業家のイーロン・マスク氏は週末に「Love Me Tender」という謎のツイートを発した。これについて、ブルームバーグはツイッターの支配権取得に向け同社株主に対し「テンダーオファー(株式公開買い付け)」を行う可能性に言及したものとも考えられると報じた。

 テンダーオファーとは、買い付け期間、株価、目標取得株式数を事前に公表し、証券取引所を経ずに不特定多数の株主から株式の買い付けを行うことであり、議決権の3分の1を超える大きな買い付けを市場外でおこなう場合は、原則としてこの方法によらなければならないとされる。

 日本では株式公開買付のことを、英語のTake Over Bidを略してTOB(ティーオービー)と表すことが多い。つまりイーロン・マスク氏はTOBを示唆した可能性がある。

 ツイッターに約9%を出資するイーロン・マスク氏は、同社に買収提案したことが13日付で米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で明らかになった(15日付日本経済新聞)。

 SECへの提出資料によると、マスク氏はツイッター株を1株54.20ドルで買収することを提案。ツイッター株の13日終値は45.85ドルだった。残る全株式を取得するには約400億ドル(約5兆円)が必要になる。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは同日、ツイッターが「ポイズンピル(毒薬条項)」と呼ばれる買収防衛策の導入を検討していると報じた。ツイッターがマスク氏の買収提案を拒否し、敵対関係に発展する可能性がある(15日付日本経済新聞)。

 ポイズンピルとは、企業が敵対的な買収者以外の株主に対して事前に新株を発行し時価よりも安く取得する新株予約権を与える方法となる。

 ツイッターの取締役が最終的にマスク氏の提案を拒否すれば、同氏がTOBも辞さない構えをみせたとの見方もできなくもない。

 そもそもこのようなツイートをして、市場などに対してあらたな思惑を抱かせるような行為そのものに問題があるようにも思われるのだが。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事