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2月のコアCPIは前年同月比プラス0.6%に。携帯料金引き下げ要因除くと2%達成

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 18日に2月の全国消費者物価指数が発表された。総合指数は前年同月比でプラス0.9%、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合指数は前年同月比でプラス0.6%、 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は前年同月比でマイナス1.0%となった。

 前年同月比でみるとコアは1月のプラス0.2%からプラス0.6%と上昇幅が再び拡大。2020年2月の0.6%以来、2年ぶりの大きさとなった。

 エネルギー全体で前年同月比20.5%の上昇となり、これは1981年1月以来41年1か月ぶりの上昇幅になるとか。エネルギー品目の上昇分だけで全体の総合指数を1.41ポイント押し上げた。

 生鮮食品を除く食料は前年同月比1.6%の上昇となり、全体の総合指数を0.35%押し上げた。食料品の値上げはこれから本格化し、小麦などの値上がりも今後さらに影響を与えることが予想される。

 携帯電話の通信料は、大手各社が2021年春から格安プランを導入した影響で53.6%下がり、この下落分だけで総合指数を1.48ポイント押し下げた。このため携帯電話の通信料による影響を除くと、全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比2%程度となる。

 ロシアによるウクライナ侵攻もあり、3月以降もエネルギー価格の上昇や食料品などの値上げの影響は拡大すると予想される。

 4月には携帯電話の通信料による影響が1.1%程度剥落するとされ、結果として日銀の物価目標の2%を達成する可能性も強まってきた。

 注意すべきは、この動きが一時的でなくなる可能性が出てきたことである。ロシアによるウクライナ侵攻によって、ロシアからの石油や天然ガスの西側諸国への供給が大きく減少している。これは停戦となっても、ロシアと西側諸国の関係は以前のようには修復できないとみられ、元には戻れない可能性が高いためである。

 そこにアフターコロナによる経済の正常化の動きが加わることで、エネルギーや原材料価格が高値で維持されることが予想されるのである。

 金融政策によって原油価格の上昇は抑えられないが、我々の物価感そのものが変化してくることが予想される。物価高への不安を軽減させるためにも、異次元の緩和を継続すべきかとの疑問は出てこよう。

 物価感の変化は賃金上昇などにも影響する期待も出てくるとともに、物価に連動した金利が形成されないことへの不信感も出てくる可能性がある。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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