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3月16日にロシアがデフォルトを強行する可能性が強まる

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 3月16日にもロシアがデフォルトを強行する可能性が強まっている。

 3月16日にドル建てロシア国債は2本で計1億1700万ドルの利子の支払日を迎える。米欧などの経済制裁を受けるロシアがこの利子をドルで支払わずデフォルト(債務不履行)を強行するとの観測が強まってきた。

 ロシア政府は手元資金でドルを支払うことは可能とみられており、デフォルトを回避することも可能ながら、シルアノフ財務相は米欧などがロシア中銀の外貨準備凍結を解除するまでルーブルで支払うと主張している。

 もしドルでなくルーブルで支払われたとなれば、約束と異なる通貨での返済となり、格付け会社はこれをデフォルトとみなす可能性が高い。

 すでに格付け会社は相次いでロシア国債を格下げした。S&Pグローバルは投資適格の「トリプルBマイナス」から投機的水準の中でも信用リスクが極めて高い「トリプルCマイナス」まで9段階引き下げている。

 また、ロシア国債の利払いには技術的な困難さも生じている。15日付日本経済新聞では下記のような指摘をしていた。

 「ルーブルでの元利払いには実務上の問題もある。世界の2大証券決済機関であるベルギーのユーロクリアとドイツ取引所傘下のクリアストリームはルーブルを決済通貨から相次ぎ除外した。ロシア政府は「臨時」のルートを使う予定だが、各国が制裁を強める中で、海外投資家が受け入れるかどうかは不透明だ」

 ロシア中銀は、モスクワ証券取引所の株式売買を14~18日も一部例外を除き停止すると発表した。停止中の株式・債券取引が再開された場合、混乱を招くことも予想される。

 投資信託協会は3月11日、ロシアの国債や株式に投資する投資信託について、7日時点で二十数本(純資産総額計200億円超)が新規の買い付け、解約を停止していると明らかにした(14日付朝日新聞)。

 ロシアがデフォルトを強行し、ロシアの株式市場が混乱すれば、ロシアの国債や株式に投資する投資信託などにも影響が出ることもたしかである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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