日本の個人の金融資産は約2000兆円に対し、米国の個人の金融資産は約1京2900兆円もの金額に
日銀は12月20日に資金循環統計(2021年7~9月期速報値)を発表した。9月末の個人の金融資産額は1999兆8311億円となり、2000兆円に接近し過去最高を記録した。金融資産がはじめて1000兆円となったのは1990年。それから30年あまりで倍増した格好である。12月末では2000兆円を突破する見込みとなっている。
2000兆円もの金額が本当にあるのか。実感がわかないが、それどころではない国もある。米国である。21日付日本経済新聞によると米国の個人金融資産は114兆ドル(約1京2900兆円)にも達している。国民1人あたりでみても約2.5倍の資産を持つ。
どうしてこれほどの金額となったのか。日銀が年一回出している「資金循環の日米欧比較」にその謎を解くヒントがある。
「資金循環の日米欧比較」 https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf
このなかの家計の金融資産構成をみると一目瞭然となる。日本では現預金が半分程度占めるのに対し、米国では株式が4割程度占める。投資信託を含めると株と投信で約5割を占めることになる。
つまり、米国では株高による恩恵を被っているということになる。米国株式市場では今年に入り、株価指数が過去最高値を更新していた。株高が米国の国民の資産や消費を押し上げた格好ともなっていた。日本の金融資産は約30年で2倍になったが、米国は6.7倍に膨らんでいたのである。
日本でも「貯蓄から投資へ」とのキャンペーン活動もあったが、結果として将来不安から消費を抑え、預金に回すなどリスク回避の動きを強め、投資は増加してこなかった。ただし、その貯蓄が結果として膨大な発行量となった国債を買い支える原資ともなっていたことも確かである。