自民党総裁選9月17日に告示された。岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎規制改革担当相、野田聖子幹事長代行の4名での争いとなった。29日が投開票となる。

 総裁選の行方については不透明である。通常の選挙と違って投票率が100%に近い。そのなかでいろいろな思惑が重なり合うことで、結果を見えにくくさせている。

 最大の争点はコロナ対策とされるが、ここにきて新型コロナウイルスの感染者が急減している。これで感染拡大が止まるとは断言できず、第六波が来るとの予想もある。しかし、戦前のスペイン風邪などと同様にいずれ終息するであろうことも確かではなかろうか。

 コロナ対策というよりも、コロナ禍後の経済財政運営なども実は議論が必要と思われるが、やや先走り過ぎと捉えられるか。

 他の争点として外交・安全保障や原発を含めたエネルギー政策などについても論戦が繰り広げられている。しかし、元々自民党内でのことであり、それほど意見に隔たりがあるようには思えない。

 個人的に注目しているのは日銀への対応である。こちらには温度差が感じられる。問題となるのは、日銀との距離感であろう。

 アベノミクスと呼ばれた安倍政権による経済政策については、いわゆるリフレ派と呼ばれる人達の意見を組み入れたものである。内閣官房参与や日銀の政策委員にも安倍政権や菅政権はリフレ派を任命している。

 しかし、結果としてリフレ派の主張した2%の物価目標は異次元緩和でも達成されていない。それだけでなく、2%の物価目標にとらわれるあまり、日銀の金融政策の自由度を奪った格好となっている。

 FRBやECB、イングランド銀行が正常化に向けて舵をとりつつあるなか、日銀は大胆な金融緩和政策からの出口に向けた修正がしづらい状況にある。

 このように日銀の金融政策の縛りを少しでも緩められる政策を打てる自民党総裁が出てくるのかを注目している。

 安倍元首相が推している高市早苗前総務相もいわゆるリフレ派であり、2%の物価目標が達成できるまでプライマリーバランス目標は凍結すると主張している。日銀がダメなら財政という発想ではあるが、もし高市氏が勝てばリフレ的な政策を一段と進めてくることが予想される。

 しかし、ほかの3氏が勝利すると、これまでの安倍政権から菅政権にかけてのリフレ的な思想が後退してくる可能性がある。それによっては日銀への対応が変化してくる可能性もあるかもしれない。脱コロナ禍となれば、当然ながら日銀の緩和政策の出口政策も必要になってくるはずである。