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スエズ運河での大型コンテナ船の座礁による影響

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 アジアとヨーロッパを結ぶ海上交通の要衝、エジプトのスエズ運河で愛媛県の会社が所有する大型のコンテナ船が座礁し、いまだ解決のメドは立っていない。

 座礁したコンテナ船の「エバーギブン(22万4千トン)」は全長400メートル、全幅59メートルと世界最大級のコンテナ船。

 両端で待機する船は200隻以上にのぼるとされている。1日当たり約96億ドル(約1兆円)相当の海上交通が停止し、両方向で輸送がストップしているとの概算が示された。

 26日付の日経新聞朝刊によると、スエズ運河はアジアと欧州を最短で結び、1日あたり50隻、年間18880隻(2019年)が通る大動脈。世界貿易の約1割を占めるとされる。スエズ運河庁によると運河を通過する荷物の重量ベースでは原油・石油製品が23%をしめた。

 スエズ運河で大型コンテナ船が座礁したことを受けて、原油の供給が混乱するのではとの警戒感が強まり、24日の原油先物は大幅反発、WTI先物5月限は3.42ドル高の61.18ドルとなった。25日は新型コロナウイルスの世界的な感染再拡大を懸念した売りが入り、原油先物は反落し、WTI先物5月限は2.62ドル安の58.56ドルに。しかし、26日にはスエズ運河で座礁した大型コンテナ船が航路を塞いでいる問題で、目先の原油供給が細るとの見方から、再度買い戻しの動きを強め、WTI先物5月限は前日比2.41ドル高の60.97ドルとなるなど荒れた動きとなっていた。・

 原油先物市場では、ひとまず目先の材料とはなっているが、欧米や日本の株式市場などでは、それほど材料視しているわけではない。

 スエズ運河庁は各国の専門チームとも協力して復旧作業を急ぎたいようだが、いまのところ通航再開に向けたメドはたっていない。

 加藤勝信官房長官は25日の記者会見で、エジプトのスエズ運河で発生した大型船の座礁に関し「わが国の物流や企業活動への影響は現時点で明らかではない」と述べた。作業完了の時期も見通せないと語った(25日付日経電子版)。

 物流の停滞が長期化するとなれば、サプライチェーン(供給網)などへの影響がじわりと出てくる可能性もある。

 また、このままスエズ運河の遮断が長びくと、アジアで供給が潤沢になる可能性もある。中東産原油やLNGのスポット品を欧州で売ろうとしていたトレーダーらがアジアに振り向けようと動く可能性があるためと27日の日経新聞電子版の記事での指摘もあった。

 とにもかくにも、一刻も早い復旧を願いたい。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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